遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第23回(九)象のお腹(パリンプセスト)(中編)』をアップしましたぁ。「パリンプセスト」、つまり「奇妙な重ね書き」が行われています。遠藤さんの小説には緻密な仕掛けがあるんだな。だからゆったりと、余裕をもった書き方ができる。
ラノベもいろんな種類がありますが、推理モノの場合、キレモノの主人公(たいてい男性)に、若くて可愛い女の子が配置されるのが一般的です。ほのかな恋愛感情を絡めながら事件を解決してゆくわけです。で、事件は突拍子もない猟奇殺人とかではなく、現代風俗、たとえば引きこもりとか貧富の格差などを、やんわり含んだライトなものであるのが望ましい。基本は主人公とヒロインの活躍を読む物語だからです。
遠藤さんの『ムネモシュネの地図』も、ラノベ推理モノの鉄則に大枠では合致しています。しかしスタートするとだんだん外れてくる。いや、外れざるを得ないと言った方がいいのかな。遠藤さんという作家はフツーの小説では満足できないんだな。ジャンルなどの掟にキッチリ沿いながら、それを脱構築しようとする。
『ムネモシュネの地図』では種山先生の駄弁がえんえんと続くわけですが、それは最初から終わりまで一つのポイントに向けて発せられている。そしてその方向性は、ヒーロー、ヒロインが解決しようとしている事件とは関係があるようで関係がない。事件そのものがメタ化されるわけです。どんでん返しは忘れた頃にやってくる。Very遠藤さんなのであります。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第23回(九)象のお腹(パリンプセスト)(中編)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第23回(九)象のお腹(パリンプセスト)(中編)』横書版 ■
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