小原眞紀子さんの連作詩篇『ここから月まで』『干/晩/未』(第27回)をアップしましたぁ。小原さんのCool抒情詩第27弾です。小原さんの新しい詩の書き方が、じょじょに自在になってきているのがわかりますね。
ぼくは泳ぎながら
溺れている
ぼくがぼくであることに
どこまでもぼくであることに
誰かが見かねて
タオルを投げる
ぼくに敗北したぼくは
ふらふらと陸に上がり
ぼくの裏側を干す
(小原眞紀子『干』)
もうずいぶん昔になりますが吉岡実という詩人がいて、『神秘的な時代の詩』という詩集を出しました。〝神秘的〟という曖昧なタイトルからしてちょいと危機的な詩集でした。よーするに〝時代の本質〟を捉え切れていないから『神秘的』という曖昧なタイトルが頭についたんですね。ただここから吉岡実は彼の詩を立て直して、『サフラン摘み』以降の後期全盛時代に向かいました。『神秘的な時代の詩』が転換期だったわけです。
ただ吉岡実は戦後詩・現代詩の詩人として出発して、その詩法を転換するまでに30年ほどの時間的余裕があった。21世紀の詩人にはそんな余裕はないでしょうね。今すぐにでも吉岡実的な大胆な詩法の転換を迫られています。現代詩的な詩法ではもう絶対にダメです。小原さんは21世紀の詩人として詩法の転換を試みておられると思います。
で、金魚屋最初の単行本も大詰めに差しかかっていますがハプニングは起こるもので、当初の出版計画がちょいと変更になり、小原さんに急遽本をまとめていただいています。仕事が早い方ですから、すぐに定稿になるだろうことが救いです。この本についても近々インフォメーションできると思います。石川は全部読みましたがいい出来です。ちょいと厚い本になりますが、厚いだけのことはあると、読者に納得していただける本だと思います。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『ここから月まで』『干/晩/未』(第27回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『ここから月まで』『干/晩/未』(第27回)横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■