山際恭子さんのテレビドラマ批評『No.164 セシルのもくろみ』をアップしましたぁ。フジテレビさんで木曜10時から放送されているドラマです。真木よう子、吉瀬美智子、伊藤歩、板谷由夏、長谷川京子さんらの豪華女優陣のほかに、金子ノブアキ、徳井義実、リリー・フランキーさんらが出演しておられます。原作は唯川恵さんの同名小説です。
原作もしっかりしていて出演俳優も豪華なのに、どーも視聴率が伸び悩んでいるやうです。そのあたりの原因を山際さんは、『昔のフジテレビが得意とした華やかな業界トレンディドラマは、今の若い人たちに届かない。彼らは生まれてこのかた、ずっと不景気だったのだ。そして主婦たちはといえば、奇しくも女主人公の言うとおり、そんな世界のことなど、自分の幸せとはなんの関係もない。すなわち最近のフジテレビの、なにもかも揃っているのだが、誰に観せるつもりかわからない、という低迷パターンだ』と分析しておられます。
なんとなくですが、フジテレビさんにはまだバブル後遺症のやうな雰囲気が漂っていますねぇ。ブランド服に身を包み、青山や鎌倉に住んでいるのがステータスだといったような。もち今だってそれはステータスかもしれませんが、もはやかつてのような特権性はない。たくさんある豊かさの一つに過ぎません。清貧に振る舞うといった豊かさもアリの社会で、何をもって本当のVIP、リッチなのか、その方向性が掴み切れていないように思います。豊かさ、華やかさの捉え方が一面的なんだな。この点はテレビ東京さんの方が遙かに上手です。
朝の情報番組を見ていても、フジテレビさんが一番和気藹々としている。それが金持ち喧嘩せず的なバブルにちょっと見えてしまう。社会全体はそういった皮相な豊かさを抜けようとしているのであり、生涯にわたるやりがい重視の職人番組なども増えています。今は単に、リッチで華やかな世界に憧れる人はそんなに多くないかもしれない。そういった世界を描くにしても、〝なんのために〟という問いかけが一番重要かもしれません。
■ 山際恭子 テレビドラマ批評 『No.164 セシルのもくろみ』 ■
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