お待ちかね、小説ジャンル越境作家、仙田学さんの新連載小説『ツルツルちゃん 2』(第17回)をアップしましたぁ。『第七章 吊り橋の手塚様(上)』篇です。怒濤の修学旅行続編です。つーかいよいよ佳境であります。
だが、もし未来がいなければ。
簡単に想像がつく。おれは時間を持て余し、途方に暮れていただろう。
おれがいなければ未来はなにもできない。
それ以上に、おれは未来がいなければなにもできない。
――後で思い返すと、なんか妙に安心すんだよな。なんで羊歯のやつ、もう襲ってこないんだろ。
昨日の風呂場で、池王子はそういっていた。
羊歯に脅えながらも羊歯を求めずにはいられない。
池王子にとっての羊歯は、おれにとっての未来と同じような存在なのかもしれない。
羊歯を横目で見ながら顔を赤らめている池王子の姿に、録音された自分の声を聴かされでもしたような、いやーな汗がおれの背中を伝った。
だめだ。これ以上考えてると、自己嫌悪が募るだけだ。
ければなにもできない。
(仙田学『ツルツルちゃん 2』)
ぐるぐる恋愛感情は巡るわけですが、単なる恋や愛とも言えませんな。それぞれが本来自分に欠けているピースを探し求めているような。見た目とは違い、完璧な美少女も美少年もいない『ツルツルちゃん 2』は次回に続くのでしたぁ。
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第17回) 縦書版 ■
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第17回) 横書版 ■
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■