原作・小原眞紀子、作・露津まりいさんの新連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第02回)をアップしました。『お菓子な殺意』はパティシエになる夢をいったん諦めて、カオルという熱狂的ファンのいる芸能人の付き人になった彩子のお話です。ただ小原眞紀子さん原作、露津まりいさん作のサスペンス小説では、単純に物語は進まないわけでして。
昼間は、本当に思いがけなかった。あんなところでまさか、根木の名を聞くとは。
ここへ住み込みを始め、間もなくのことだった。あの近くで身元不明死体が見つかったという記事を見つけた。
その後の続報はないが、あれが根木だったろうか。いや、何かの間違いだ、どこかで生きているに違いない。自首などしたら、むしろ自分の居所をあいつに教えることになる。人混みの中で、姿を見かけた気がするときもあった。
いずれにせよ、些細なきっかけで知り合い、短かい交わりだったのだ。なのにこの三年、息を潜めるようにして、ずっと新聞もチェックしてきた。生きていようと死んでいようと、もう許されていいはずだ、と彩子は思っていた。
(原作・小原眞紀子、作・露津まりい『お菓子な殺意』)
彩子はどうも隠したい過去を持っているようです。だから付き人という影の存在になったわけですが、表舞台に立つスターのカオルは狂言自殺をするなど、光を浴びながら彩子よりさらに暗い内面をさらけ出します。小原・露津コンビのサスペンス小説では、こういった構造的なフレームを含めて物語が錯綜して進んでゆきます。彩子が元パティシエ希望の女性といふのも、どこかで糸がつながってくるんだろうなぁ。続きが楽しみであります。
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■ 原作・小原眞紀子 作・露津まりい 新連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第02回) テキスト ■
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