第2回 辻原登奨励小説賞受賞作家・寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『証拠物件』(第04回)をアップしましたぁ。第二章後半です。半グレともインテリ崩れとも言えるような三人の男と二人の女で、仲間で最年少の高校生の女の子のお父さんを、いわゆるツツモタセ詐欺にかけるわけです。
八十万ならばすぐ払えるそうです/百万ならば時間かかるって/どうしますか?
無論八十万で即決した。欲張るのは危険だったし、元々金欲しさの犯行ではない。
お金もらいました/どこ行けばいいですか?/返信下さい
特に迷うこともなく、ボスが「本部」に戻ると決めた。シュンジには俺から連絡をする。もう全部終わった、と告げるとさすがに驚いていた。とりあえず「本部」に集合な、と伝えたが返事をしない。どうした? と訊くと「一旦清美を俺の家に置いてからでもいいかな」と言う。ボスに確認を取ると、すぐにオーケーが出た。それを伝えると、あいつは「ありがとう」と呟いた。ありがとう、か。やっぱりあいつは優しいヤツだ。
(寅間心閑『証拠物件』)
『元々金欲しさの犯行ではない』というのがこの小説のポイントですね。今のところですが、文学金魚にはインテリさんが集まっていて、インテリさんっぽい作品が掲載されることがおおござんす。あ、決して悪い意味ぢゃないですよ。でも寅間さんはちょいと異質だなぁ。石川、寅間さんのフラストレーションとバイオレンスに彩られたやうな小説がかなり好きです。ある意味小説家の王道ですね。中上健次とか西村賢太さんのやうな匂いがします。肉体を感じ取れる小説です。
■ 寅間心閑 連載小説『証拠物件』(第04回) pdf版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『証拠物件』(第04回) テキスト版 ■
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■