岡野隆さんの詩誌時評『No.032 月刊俳句界 2015年10月号』をアップしましたぁ。『月刊俳句界』の特集は『小説を味わう 俳句を味わう』です。岡野さんは太宰治『桜桃』を取り上げて、『俳句と小説はやっぱり相性が悪いなぁとしみじみ感じてしまった』と書いておられます。
「蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は珊瑚の首飾りのように見えるだろう」という記述は太宰ならではのものである。太宰好きの読者のように素晴らしい抒情表現だと感嘆してもいいのだが、別の捉え方もできる。少し語弊はあるが、石坂洋次郎や寺山修司にも通じるような、東北人独特のハイカラ趣味である。(中略)田舎者が生粋の都会人よりもシティーボーイになりたがる道化的振る舞いが、ある種の美と物悲しさを感じさせるのである。(中略)(葛西)善蔵にも愛人がいて子供を産ませているが、男女の究極の愛の合一を示唆するような心中など考えたこともないだろう。善蔵はあくまで現世の穢土に執着する作家だった。(中略)
つまり私小説で表現されているのは作家の移ろいゆく内面である。そこで表現された感情にも思想にもなんら決定的な点はない。主人公の自我意識が、家庭などの狭い空間いっぱいに肥大化している。それは身勝手で傲慢だが、家庭=世界となるくらい自我意識が肥大化すれば、かえってそれは客体化されるのである。だから私小説作家は醜く愚かでもある自己の内面を、まるで人ごとのように書くことができる。しかしこの自我意識の肥大化くらい俳句から遠いものはない。
(岡野隆)
俳句界では藤田湘子の特集も組まれています。湘子には『枯山に鳥突きあたる夢の後』などの内面を感じさせる句があるのですが、富澤赤黄男のように、謎めいた句としていくらでも多様に解釈できるわけではありません。岡野さんは『湘子の観念的に見える句の背後に作家思想があるわけではない。それらはあくまで俳句表現の中の一つである。その微妙で繊細な言の葉の妙技を堪能できなければ湘子作品は魅力を持たない』と批評しておられます。
あぶらげとはうれん草と夢すこし 藤田湘子
こういった句の方にこそ、湘子俳句の魅力があるのだと岡野さんは論じておられます。岡野さんは『たいていの場合、俳人の存在格は、年を取れば取るほど縮退してゆく。(中略)外界をなぞり切り取るカメラのような暗室になってゆくのである。ただこの暗がりの主役はあくまで印画紙であり、もっと言えばその中で現象する写真、つまり俳句である』とも批評しておられます。
俳句はそういった文学であってかまわないわけですが、まだ体力・気力が充実していて新しいことにチャレンジすることができる間に、俳人は俳句文学の絶対セオリーについてもっと考えるべきでせうね。
■ 岡野隆 詩誌時評 『No.032 月刊俳句界 2015年10月号』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
テーマは〝ジャンルの越境〟です。そしてジャンルの越境は、人の現存在では性の越境にも置き換わる。文学金魚大学校第1回セミナーでは、早稲田文学の表紙を飾った伝説の仙田学さんの美しい女装姿が見られます! あらゆる制度の脱構築を意識することで、ジャンルの越境は初めて可能になるのです。我こそはという皆さまも、ぜひ女装・男装・コスプレのドレスアップでご来場ください。 超ステキな開催会場、日仏芸術文化協会もそれって大歓迎!とのこと!
■ 日時と会場 ■
・2016年06月18日(土曜日)
セミナー:15:30PM 開場 16:00PM 開演
① 16:00~16:30PM 第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について 三浦俊彦×遠藤徹 対談
② 16:30~17:00PM 第二部 ラノベと(純)文学について 仙田学×西紀貫之 対談
③ 17:00~17:30PM リード小説大賞決定!
懇親会:17時30分~19時30分(第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介を含む)
・会場:日仏芸術文化協会 (東京都目黒区中根2-19-2 東急東横線・都立大学駅より徒歩約10分)
* 閑静な住宅街の中に位置する素敵な一軒家です。
・日仏芸術文化協会地図
・参加費:3,500円
* 参加者の皆さんには金魚屋刊行書籍一冊(定価1,500円)をプレゼントします。
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
■ 参加お申込用メールアドレス ■
お申込みはseminar@gold-fish-press.comへ! 。氏名・電話番号、パーティ(懇親会)参加の有無を明記してください。
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■