第02回 文学金魚奨励賞受賞作 ルイス・キャロル著 星隆弘訳『アリス失踪!』(第06回)をアップしましたぁ。今回はチェシャ猫が登場します。『アリス』の中で、最も有名なキャラクターかもしれません。この猫、論理的で頭がいいのですが、その論理はちょいと常識外れです。言葉をリテラルに解釈して揚げ足を取るのと、その逆に裏の意味を導いて意表をつくのがキャロル先生お好みの方法であります。
Alice♡@ALICEs_wndrland
「さっきの、『豚』だっけ?それとも『服』だっけ?」
そんなこと聞きにきたんだ、わたし「豚です」って答えてから言ってやったの。「お願いですから、そんなふうに突然出たり消えたりしないでください、こっちは頭がくらくらしちゃいますから!」って。
Alice♡@ALICEs_wndrland
「はいよ、そんじゃ」
そう言って、今度は猫さんゆっくりと消え始めたんだけど、まず尻尾の先からはじまって、ニヤニヤ笑いが最後まで残ってたんだけど、そのニヤニヤは体が全部消えちゃってもしばらく残ってたの。
Alice♡@ALICEs_wndrland
なにそれ!ニヤニヤしない猫ならたくさんいるけど、ニヤニヤしてるのに猫がいない!こんなヘンなの、いままで見たことない!
(ルイス・キャロル著 星隆弘訳『アリス失踪!』より)
この訳し方、チェシャ猫のシーンにはよく合いますね。このくらいの軽さがオリジナルのテイストだと思います。詩人さんなら、『ニヤニヤしない猫ならたくさんいるけど、ニヤニヤしてるのに猫がいない!』といふ文章だけで、一篇詩が書けるかな。ま、アリスちゃんもおませで頭が良くて、でもやっぱ不思議の国に影響されて、奇妙な論理を駆使するようになっておりまふ(爆)。
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