佐藤知恵子さんの文芸誌時評 『No.007 オール讀物 2012年05月号』 をアップしましたぁ。オール読物さんは「総力特集 いい男――それともダメな男?」を組んでおられます。佐藤さんは火野正平さんがご贔屓のやうです。「「こころ旅」の正平様、ぶっきら棒で優しくてやんちゃで可愛いのよ」と書いておられます(爆)。「こころ旅」はNHK BSで放送されてる番組で、火野さんが自転車で全国を回るドキュメンタリーです。深夜再放送されているせひか、石川もかなりの頻度で見てるなぁ。
んで本題ですが、佐藤さんは今号のオールから男と女のスペシャリスト、林真理子さんの作品を取り上げておられます。林さんの〝ハルコ・シリーズ〟の中の一本で、ハルコのマンションに空き巣が入り、駆けつけた菊池いずみと大江玲奈の女3人の間で、女の本音のやうなことがあけすけに語られるといふ趣向です。「泥棒と鉢合わせして強姦とかされなくてよかったじゃないですか」と慰めるいずみに、ハルコは「セックスなんてたいした問題じゃない、宝石の方が大事よ」といふ意味のことを言ったりするわけです。佐藤さんが書いておられるやうに、「強姦うんぬんのお話は、小説をスムーズに進めるための小道具」に過ぎませんが、そこから女たちのセックスを巡る議論が始まるわけです。
このセックス談義について佐藤さんは、「「女は男の下半身とセックスするわけじゃないの。男の全体とセックスするのよ」という真理子先生の言葉には、深く同感できるわけですが、もうちょっと進めると、女は男を通して別のなにかを見ていると言えるかもしれませんわ。それってどこにも存在しない・・・男と呼ばれるあるイデアのようなものかもしれませんわ。・・・この女の執着、イデアを突き詰めていくと、多分純文学と呼ばれる作品になってゆくのでしょうね」と批評しておられます。
う~ん、佐藤さんの批評はあいかわらず面白いなぁ。不肖・石川、佐藤さんのアテクシ文体が大好きでありまふ。ギリシャ危機や円安などでそうとうお忙しくしておられるやうですが、ちょいと偉くなって少しだけお暇になられたやうなので、佐藤さんにはどんどんオールさんの時評を書いていただこうと思いますですぅ。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『No.007 オール讀物 2012年05月号』 ■