田山了一さんのTVバラエティ批評『No.037 プロフェッショナル 仕事の流儀』をアップしましたぁ。NHKさんで放送されている、各ジャンルのプロの仕事をドキュメントタッチで紹介する番組です。TV批評は田山さんと山際恭子さんにお好きな番組を選んで書いていただいているのですが、このお二人の批評は鮮やかだなぁと思うことしばしばです。今回の批評も冴えています。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』は『プロジェクトX』の後続番組ですが、田山さんは『プロフェッショナル』は個を追う番組で、『X』は集団(つまりプロジェクト)の仕事を追う番組だと整理されています。その上で、『グループのメンバー、他者への期待はたいてい徒労に終わるので、プロフェッショナルの仕事に自身が納得する方が充実感はある。つまりはより生産的になったとも、より個別化が進んだ時代に対応したとも捉えられる』と批評しておられます。そのとおりでしょうね。
ある集団が〝プロジェクトX〟を成功させられるかどうかは不確定です。成功した仕事だけがテレビで取り上げられるのだと言っていい。これに対して〝プロフェッショナル〟は、個ですから仕事の量や規模には限りがありますが、安定しています。またどのジャンルでも、プロフェッショナルは多かれ少なかれ職人化してゆきます。これも田山さんが、『プロフェッショナルたちが皆、ひどく似ていると思う。プロとして出来上がってゆくと、人間というものはそのようになってゆくのかもしれない』と書いておられるとおりです。
田山さんは『人選には、よほど気を張る番組だろう』と書いておられますが、それはプロフェッショナルの職人仕事を表面的に真似する人が現れた場合、果たしてそれを見抜けるのかといふ問題があるからです。たとえばどの業界にも有名人がいますよね。その中には誰がなんと言おうとあいつはマガイモノだ、ニセモノだといふプロがいたりします。文学者の場合、作品よりも〝文学者的〟言動や立ち居振る舞いの方が目立ってしまふ作家はだいたいアヤシイですね(爆)。
■ 田山了一 TVバラエティ批評『No.037 プロフェッショナル 仕事の流儀』 ■