SMAP×SMAP
フジテレビ系列
月曜日 22:00~
「笑っていいとも」の放送終了とともに、そろそろこちらも、と言われているらしいが、そう言われて始めてからすでに久しいとも聞く。特に見はしないけれど、ずっとやっているものだと思われている番組がなくなってしまうのは残念だ。SMAP がお爺さんたちになるまで、なんとか続けてもらいたい。
打ち切りを決定するのは、単純に視聴率ということだろう。スポンサーがいてこその番組ならば、それは仕方のないことだ。しかし最近では、数字では測れない価値、すなわち視聴率には必ずしも反映されない注目度をいかに捉えるか、という研究も始まったようだ。あの「あまちゃん」が数字的には、朝の連ドラとしてはたいしたことなかった、と聞くと、確かに別のフェーズで捉えるべきものがあるとも思える。
数字が伸びない大きな要因として、マンネリ化ということがよく言われる。マンネリ化とは、果たして何だろう。パターン化は、長寿番組の重要な要素だ。水戸黄門が印籠を取り出さなくなったら、陽が西から昇るようなものだ。マンネリ化とはパターン化の裏返しに過ぎず、結局それで「人が観なくなった」ことを非難していることにほかならない。
しかし人が観なくなる理由は、飽きて注目度が下がったから、とはかぎらないのではないか。いつもそこにそのようにしてある、となれば、毎週目を離せないということはない。エスタブリッシュされたという証し、安心感があるのかもしれない。
エスタブリッシュ感は、それが過剰になれば無論、創作物としては終わったと言えるが、スポンサーとしてはどうだろう。その安定感がスポンサードに結び付けて認知されているなら、お宝と呼ぶべきものではないか。それともやはり、流れる CM をリアルタイムで観ている人数が重要だということだろうか。
SMAP は現在、極めて安定した、なおかつ中間的、したがって日本国芸能界において中心的位置にある存在と言える。決して若くはないが、歳とっても見えない。この中間的な雰囲気をいつまで保ちつづけられるのか、そのくらいのことしか課題はない。そんな王者のようなグループの冠番組が打ち切りのすってんのと言われなくてはならないのは、芸能人というのはいつだって少し前のめりの、不安定な感じが面白がられ、求められるものだからだろう。
その意味では、SMAP も個々のメンバーも今、一番難しいところに差しかかろうとしている気もする。SMAP×SMAP の人気コーナー「ビストロSMAP」でどれだけの料理が出てきても、「この男の子たちが…。」という感動はもはやない。かといって、いまだ国民的「アイドル」である彼らに、金子信雄ばりの煮くずれたようなオヤジの手腕を期待するのもいかがなものかと思われる。
グループの中で居場所を確立するため、それなりに厳しくキャリアを磨いてきた彼らは、もっともっと歳を重ねることで、おそらく個々に本当の安定感がある存在に変化してゆくだろう。それを長い目で見てゆく番組というのも、企業としてそのような存在になることを目指すスポンサーがつけば、なかなかいいと思う。視聴率低迷気味の SMAP×SMAP だが、メンバー全員で素のまんま旅行するという企画がいきなり 20% 超えたというのは、その現われではないか。
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■