星隆弘さんの 『 Ongaku & Bungaku by Kingyo 』 『 No.013 空の見えかた-『16』 by andymoriと 『風を集めて』 by はっぴいえんど 』 をアップしましたぁ。小山田壮平さんを中心とした andymori の楽曲 『16』 と、細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂さんの四人のメンバーから構成され、1972 年に解散したはっぴいえんどの楽曲 『風を集めて』 を比較して論じておられます。二つの楽曲が発表されるまでには約 40 年の歳月が流れているわけですが、同じような主題を扱いながら、それがどう変化したのかに注目されています。
はっぴいえんどが活動した 60 年代末は、安保闘争などの激動の時期でした。ただ彼らには金子光晴的な 〝背中を向けたおっとせい〟 のような姿勢がありました。それがはっぴいえんどを時代の寵児にしなかった代わりに、いつまでも日本の音楽に影響を与える普遍的バンドにしたと思います。andymori も声高になにかを主張するバンドではないようですが、それがかえって 40 年という時間の変化を際立たせているようです。
それを星さんは 『小山田が 『16』 でうたうことは、『風をあつめて』 がうたわなかったこと、少なくとも詞語選択からは漏れたにちがいない街の観察記録だ。・・・ 風をあつめて』 が暗に含んでいた午後の不安、靄が雲になって太陽を覆ってしまうような不安は、こうして 『16』 の午後の青空に解消される。空っぽの空であることを暴露されることを代償にして。『16』 もまた、取り込んだ午前の時間へと回帰する回路によって完結する』 と論じておられます。
andymori の 『16』 の歌詞は平穏ですが、本源的な不安を感じさせますね。確かにわたしたちはこのような精神風土にいるわけです。それを詞とメロディで人の感性に直接的に訴えかけるのが優れた音楽なのだと思います。
■ 星隆弘 『 Ongaku & Bungaku by Kingyo 』 『 No.013 空の見えかた-『16』 by andymoriと『風を集めて』 by はっぴいえんど 』 ■