藤徹 連載小説『ビューチーコンテストオ!』(第09回)をアップしましたぁ。今回はいよいよ「九、審判(前編)」。審判員の席に名指しされた針巣一郎の、絶妙な〝目立たなさ〟が物語の焦点に浮上してきます。
稗田亜礼の長大な語りが今回の読みどころ。幼稚園時代の幻の発案から始まる「ビューチーコンテストオ」命名の由来、イデ山の遠足でこっそり羊の群れを操っていたイチロー君の謎めいたエピソード、そしてギリシャ神話のパリスの審判へとつながってゆく。稗田の語りは止まりません。でもこれが遠藤ワールドの醍醐味です。語りが語りを生み、神話が現実に侵食し、コンテストという場がいつの間にか宇宙規模の話になっている。
そして最も印象的なのは「ビューティー」と「ビューチー」の差異についての説明です。幼児の言い間違えに過ぎないはずのその一音が通常の美の概念を「異化」してしまう。ロシア・フォルマリズム的な発想ですが、遠藤さんはそれを理論としてではなく、お祭り騒ぎの会場の熱気のなかから自然に引き出す。これが小説の力というものです。
エリスの黄金のリンゴをめぐる神話の解説、ヘラクレスがジャガリコをつまみながらアポリアをやり過ごすなど、遠藤さんの古典改変の遊び心は本当に底なしです。審判はいかなる結末を迎えるのか。続きが楽しみです。
■遠藤徹 連載小説『ビューチーコンテストオ!』(第09回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『ビューチーコンテストオ!』(第09回)横書版■
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