寅間心閑 新連載小説『ど、泥卍』(第01回)をアップしましたぁ第6弾連載のスタートです。
三十歳を一年過ぎて夢だった自分の店を開いた男が、三年後の明け方にひとりシャッターを下ろす。コロナ禍の収束という「追い風」のタイミングで船出したはなのに、どうして潰れてしまったのか分からないまま店を閉じる。劇的な事件は何もありません。ただ、客が来なくなった。それだけのことなのですが、それは人の足元を静かに崩してゆく。
重大局面のはずなのに、夜明けの商店街のカラスや隣の居酒屋の店員との会話、安アパートの壁越しに聞こえるテレビの音などの細部が次々に描写されます。そのささやかな日常の積み重なりの中にこそ、人が本当に追い詰められる瞬間の質感があります。「無職透明」というつぶやきはいかにも寅間さんらしい。
閉店を誰にも告げず親にも報告できず、玄関で靴も脱がずに倒れ込む主人公の男が次回以降どこへ向かうのか。タイトルの「泥卍」が何を意味するのかも含めて続きが楽しみです。
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