田山了一さんのTVドラマ批評『No.149 夏目漱石の妻』をアップしましたぁ。鶴山裕司さんの漱石論に続いて二日連続の漱石関連コンテンツのアップです。NHKさんで土曜日21時から放送されていたドラマです。尾野真千子さん主演で長谷川博己、黒島結菜、満島真之介、竹中直人、舘ひろしさんらが出演しておられました。原案は漱石の妻・夏目鏡子の口述を漱石門の松岡謙がまとめた『漱石の思い出』で脚本は池端俊策さんです。

 

石川も見ていましたがけっこう楽しめるドラマでした。やっぱ尾野真千子さんが良かったなぁ。漱石門の弟子たちと妻・鏡子の間にあった齟齬のようなものが描かれたりしたわけですが、弟子たちから見ると鏡子さんは悪妻ってことになっちゃうんだなぁ。そのあたりのことを田山さんは『文学者としての漱石像をはっきり捉えたと思うなら、妻から見た姿とまったく矛盾する、まるで意外な言動である、先生がそうであるはずがない、などということはおかしいのではないか。結局それは捉え方が甘いのだ。素人ならともかく、プロの物書きの目を誤魔化せるほど、自身の本性を隠して書き続けられる作家などいない』と批評しておられます。

 

文学には〝人間とはなにか?〟という問いを巡る学問という側面があります。詩人であれ小説家であれ、人間の本質をある程度正確に捉えることができる人でなければ優れた作品は書けません。はっきり言えば優れた文学者は孤独です。孤独な文学者同士がお互いの作品を認め合うことでほのかな友情を育むことはあります。しかし群れたりしない。地元のヤンキーのように『友達最高、友情最高っ!』と言っている文学者にろくな人たちはいないな(爆)。

 

また漱石は明治維新以降の文学者の中で特権的な位置を占めます。しかし文学者ならその理由を〝文豪〟といったステレオタイプで済ますわけにはいきません。漱石は〝新たに何かを始めた人〟です。具体的に言えば現代日本文学の基礎を作った人ですね。文学史を俯瞰すればすぐわかりますが、新たな文学の創始者は必ずと言っていいほどその名を文学の歴史に刻んでいます。過去文学を正確に認識把握した上で、それを更新するような仕事を残した文学者だけがその歴史に残るのです。

 

 

田山了一 TVドラマ批評 『No.149 夏目漱石の妻』 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

第04回募集要項_cover_01

 

■ 予測できない天災に備えておきませうね ■