とと姉ちゃん

NHK

月曜日~土曜日 8:00AM~(放送終了)

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 テレビドラマの視聴率と出来不出来は、ぴったり重なるわけではない。それは最初からわかっていることだ。朝の連ドラで言えば、かつての『ロマンス』は記憶に残る実験的な作品で、なおかつ脚本にも俳優の演技にも味があったが、なにしろ視聴者がついてこられなかった。あの『あまちゃん』は大ブームとなった幸せな作品だったが、数字は思ったほど伸びなかった。

 

 反対に、なにこれ、というレベルなのに数字だけはいいというドラマも、民放を含めてたくさんある。『家政婦のミタ』とか。まあ数字が高いのはいいことなので、民度の低さを嘆くなんてことはせず、ドラマの出来以外にも何か理由があるに違いない、と考えるのが正解だろう。

 

 『とと姉ちゃん』は昨今、快進撃を続ける NHK 朝の連ドラの一作であるが、平均視聴率が朝の連ドラ今世紀歴代3位だという。テレビ局の入社試験と同様、あまり成績がよいのも切り捨てるべき、ということかもしれないが。ただ、成績がよいだけあって、うんと悪い方に比べれば、目を覆うほどひどい、ということはない。数字がいいだけに、不満の声も肥大化しているのだろう。

 

 つまりドラマの出来としては、平均的な朝の連ドラなので、そうそう、朝の連ドラってこんなもんだったよね、と思い出させてくれる。脚本の良し悪しとキャスティングは直接関係ないはずだけれど、女主人公の印象が残らないのも従来の朝の連ドラ的だ。その制度の中に組み込まれた人格に映るという。

 

 逆に言えば、このぐらいの仕上がりでも高視聴率にしてしまう朝の連ドラの企画力が、どれほど時代にマッチしているか、ということでもある。最近の路線は、「実在する女性実業家の伝記」だが、思い起こせばあの『おしん』もそうだった。そもそも女の一代記という朝の連ドラのベーシックなお約束があり、そこに「我々が聞いたことのある企業の」が加わったとき大ヒットしている。

 

 だとしたら、ずいぶん単純な構図だ。広告を許さない NHK なのに、資本主義社会において公に認知された企業がコミットする場合に数字がとれるという。制作サイドがあくまで「フィクション」を強調するのはそのためかもしれない。結果的に(学校法人も含めて)私企業の宣伝になっている、と言われてはなるまい。

 

 ただ、近代以降の歴史を描くとき、現存する私企業と無関係な組織など探してもないことは確かだ。それらの当時は利益追求型の私企業が、振り返れば時代を作ってきたのだから。今回については昭和30年代の懐かしい家電や道具、室内の佇まいや料理、それだけで観ずにいられない層もある。

 

 「暮しの手帖」という我々の記憶と感性を揺さぶるものでなくても、単なる金貸しの資本主義者のサクセスストーリーであっても、長く続く企業はそれなりの理念みたいなものを語らせれば語る。それをテーマに設えれば、ドラマはできないことはない。しかしそのテーマの強度は、細部にわたる統一感で示されると思う。『とと姉ちゃん』の主題歌は宇多田ヒカルで盤石だが、かつての『HERO』と違い、言われなければ気づかない。

山際恭子

 

 

 

 

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