高島秋穂さんの詩誌時評『No.017 角川短歌 2015年07月号』をアップしましたぁ。特集『若山牧水生誕130年 今こそ牧水――「あくがれ」の心を求めて」』を取り上げておられます。牧水は石川啄木と並ぶ近代で一番有名な歌人ですが、高島さんは「明星」派との関わりから牧水について考察しておられます。牧水と啄木、それに北原白秋、木下杢太郎、吉井勇は同じ世代で、牧水以外は「明星」の同人です。

 

高島さんは、『「明星」は晶子を中心にして論じられることが多いですがそのベースを作ったのは鉄幹です。(中略)しかしこのあたりの経緯がまとめにくいのです。(中略)鉄幹が「明星」初期に若い詩人たちを惹きつけた思想的なものとはなんだったのでしょうか。(中略)鉄幹の処女作品集は『東西南北』で歌集ということになっていますが新体詩(自由詩の祖型)も含まれます。内容も統一性がありませんが文字通り東西南北に広がるような気宇壮大な思想(のようなもの)が表現されています。この極めて向日的かつ楽天的な文学の可能性(の示唆)が「明星」ロマン主義の原点になったと思います』と批評しておられます。

 

鉄幹的な茫漠としたロマンは確かに牧水や啄木、白秋、杢太郎、吉井勇らに共通しています。白秋は大正時代に三木露風とともに白露時代を築き、象徴主義詩人として有名になりますが、ヨーロッパのサンボリズムとはほぼまったく関係なひ詩風です。それを歌人の馬場あき子さんは、『白秋にとって、韻律とはまさに思想そのものに値する発見であった』と論じておられます。要は思想ぢゃなく、韻律に憑かれた詩人だったのですね。

 

高島さんはまた、「明星」派の茫漠としたロマンは、現代の口語短歌にも見られるのではないかと考察しておられます。『男の子の口語短歌には抽象的作風が多くちょっと子どもっぽいような記憶や体験を拠り所に作品を仕上げている場合もしばしばです。それに対して女の子の口語短歌には生活の手触りがあります。(中略)女の子の口語短歌歌人たちは一度男の子に「子どもっぽくてバッカみたい」と言ってみても面白いかもしれません。男の子たちは案外嬉しそうな顔をするかもしれませんよ』と批評しておられます(爆)。

 

 

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高島秋穂 詩誌時評 『No.017 角川短歌 2015年07月号』 ■