山本俊則さんの美術展時評 『No.029 実験工房展-戦後芸術を切り拓く』 をアップしましたぁ。実験工房は 1950 年代に、シュルレアリストで詩人・美術批評家の瀧口修造を中心として結成された前衛芸術グループです。50 年代から60 年代の多くの前衛芸術グループが、美術家と詩人の集団だったのに対して、実験工房には作曲家 (演奏家) の佐藤慶次郎、鈴木博義、武満徹、福島和夫、湯浅譲二、園田高弘らが集ったのが大きな特徴になっています。
不肖・石川も、以前から実験工房にちょっと興味があって、何本か評論などを読んだことがあるのですが、どーもピンときませんでした。その理由が山本さんのコンテンツを読んでいてわかりました。やっぱ音楽家が参加していることが、実験工房の全体像をわかりにくくしているやうです。音楽が与える影響は、詩 (文学) と美術のように明確な形として残りにくいのですね。とはいえそれは 〝わかりにくい〟 といふことであって、優れた成果がなかったといふわけではありません。メンバーを見ればおわかりのように、すんごい音楽家が参加しておられます。実験工房の研究はむしろ今後本格化するでしょうね。
そんで山本さんのコンテンツは読みやすいなぁ。ひとことで言うと常識的 (笑)。専門知識をお持ちですが、それを振り回すことがない。ある対象に初めて触れる人でも、読み終われば一定の知識が得られるようになっています。『実験工房展』 は神奈川近代美術館での展示は終わりましたが、現在全国を巡回中です。20世紀の日本の前衛芸術に触れてみたい方は、是非、足を運んでみてください。
■ 山本俊則 美術展時評 『No.029 実験工房展-戦後芸術を切り拓く』 ■