偏った態度なのか、はたまた単なる変態か(笑)。男と女の性別も、恋愛も、セックスも、人間が排出するアノ匂いと音と光景で語られ、ひしめき合い、混じり合うアレに人間の存在は分解され、混沌の中からパズルのように何かが生み出されるまったく新しいタイプの物語。
論理学者にして気鋭の小説家、三浦俊彦による待望の新連載小説!。
by 三浦俊彦
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■ 282 :名無しさん@ベンキー :02/06/10 05:13
遊覧船の後部にトイレが一つしかなくて緊急の人は船倉でバケツの中にしていた。わざわざ遊覧のためになんでこの環境?て話だが。定員大幅オーバーって話だな。
なんか当然のようにルールが出来て、トイレは女性専用で船倉は男性専用(バケツ4個で共用)だったが、俺のダチの彼女がトイレの前で順番待ってて「お腹痛い! 痛い! もれる! もれる!」というので船倉に降りて(ダチはたまたまそのとき行方わからず)俺が後ろからジャンパーで彼女の尻を隠してさせた。
パンツ下ろしてすぐバケツに激しく当たるオシッコ音とおならの反射音とブリビリ・ビリビリ炸裂音と生ゴミっぽい猛烈な匂いが立ち昇って、音が収まった後も彼女は中腰で十分くらいうなっていた。恥かしい思いさせて俺が謝りたいくらいだったにもかかわらずあとで彼女が「ごめんね、ごめんね」と何日にもわたって謝り続けたのが可愛かったでしたとさ。
あと、当然のことながらまもなく彼女はダチと別れて俺と付き合うようになりましたとさ。
俺のジャンパーの内側に付いた無数の染みはそのままレディメイドの模様になりきりましたとさ。
■ 当面重要なのは、敗北感かつ罪悪感に打ちひしがれた蔦崎公一が、一連の修業を決意し実行し続けたということだけである。
香坂美穂とのかくもブザマな別れ、
しかもあまりに普通すぎるブザマさを晒したけじめをつけようと、
(己を罰する……)
その一念で蔦崎公一一連の修業兼修行はごくごくプライベートに行なわれ、日記にもほとんど記載されず、友人知人の誰にも話されなかった。
ゆえに現在となっては蔦崎的軌跡の再構成は至難である。その中で比較的現場周囲の関係者に知られ一部人口に膾炙した蔦崎関連事項として、新宿二丁目のホストクラブ『ξ』でのイベントがあった。『ξ』に至るまでには蔦崎は決死相応の研鑚を積み、生糞ジカ食いに涙ぐましい挑戦を続けていたようだが、自発的にできるまでに成長していたかどうかは諸説分かれている(生糞を口に頬張るレベルまで達していたことは確かめられているが、嚥下しおおせた確証はない。ただし、自発性条件を取り除けば、拘束拷問状況下において非自発的、というより半自発的に黄金丸ごと完食をすでに果たしていたことは後述する)。そこで蔦崎試練のターニングポイントとなった『ξ』イベント。当時、というのはおろち紀元で言えばB.C.19年夏ということになるが、二丁目界隈では、常連の典型的かつ古典的超有閑マダム・S.W.(イニシアルしか伝わっていない)の提出した「課題」が珍しく真剣な検討にさらされていた。あの種のクラブでは話題は客ごと、ボックスごとに分裂しつつ、同一サークルでも一箇所にとどまらず拡散し薄く広く速やかにというのが基本なのだが、〈S.W.の難題〉(陰でそう呼ばれていた)は、例外的に共通の話題として、近辺四つのクラブを統括する「パラダイム」を形成していたのである。
〈S.W.の難題〉の内容は単純で、S.W.の表現どおりに言えば「出したての私の黄金」を全部食べきったホストちゃんには五百万円あげるわよ、それとは別にお店には百万あげるわよ、というものである。ホストの専業はマルチだ、煽てと喋りと回春サービスだけじゃない、名うてのホストが集まった二丁目であれば至極容易な課題であると思われるかもしれない。しかし難点が三つあった。
まず第一に、S. W.は五十九歳の未亡人であり、立居振舞は若々しくも純視覚的にかなりディープな「醜女」に属していたのである。その容貌については、鼻の頭よりも唇の方がざっと二倍高く突き出ているとだけ記せば十分だろう。そして寸胴尻すぼみスタイルにはエロ要素の一片すら宿らず単なる肉塊、それも年齢の割にすでに尻先端まで深皺の重なり詰まった裸体であるとの見聞が「決死の覚悟で寝た」ホスト四名により報告されていた。彼らによるとS.W.はファッションセンス的には洗練され、今どきオカマ系列でしか使われなくなって久しい〈のよ、だわ、かしら系女性言葉〉を天然多用するトークも機知に富み、朗らかかつ聡明かつ情緒豊かな内面を有する反面肝心の肉体面では、何ともはやあの皺皺黒尻の奥の門からひり出されるものを口にするなど、いや目にするだにおぞましいという一致見解だった。同報告ではS.W.はとてつもなく口臭がきつい。田舎のドブのような臭いがする。入口ですらああであっては、消化管の幾層をくぐり粘りぬけた末端発酵物質を……と考えるだに「込み上げてしまう」というのだった。現に、決死隊経験者四名とも、〈S.W.の難題〉がボックスの話題になるや否や胸を抑えて席を離れていったのだった。
第二の難点も厳しい。「ただ食べるだけじゃダメ。おいしそうによ」とS.W.が何気なしという感じで付け加えたのが少なくとも二度明瞭に聞きとられているいるため、正確にどういう意味なのかを焦点とした解釈学的議論がフロアで大展開していたのである。ただ食べるだけなら、借金返済に追われているNo.4ホストが五百万目当てに死ぬ気でできないこともなさそうだと宣言してはいた。だが、さすがに「おいしそうに」は決死精神の逆に位置する不随意筋的課題であるだけに、単純に不可能と諦めざるをえなかったのだ。すなわち、S.W.の普段の謎かけ的トーク内容から推して「おいしそうによ」が当然、
「しっかり勃起しながらよ」
の意味であることに疑問を差し挟む余地はほぼなさそうだという多数意見が正しいとしたならもう全員が一斉にお手上げなのだった(手の方を挙げてどうする! という絶望的な茶々が客のレディ二人の口から同時に唱和された)。その条件をクリアできる男など地上にいるだろうか。
しかしひょっとして「おいしそうに」は文字通りの非下半身的意味に過ぎないかもしれず、表情を作ればすむ話かもしれず、しかも単なるトッピングであって必須条件ではないかもしれない。「完食」さえ遂げればマズソウニであっても泣きながらであっても店への百万だけは放出するつもりかもしれない。ならば特攻隊員にそれなりの取り分は。しかしその保証はない。S.W.本人に確かめようにも、薮蛇を怖れて誰も聞き出せない。というわけで、S.W.の気まぐれ一言解釈学がホストクラブ内、ホストクラブ間での一大流行になってしまったのである。
第三は、S.W.以外の客、ホストの本心をくすぐる魅力女も少なくなかったが、彼女らがお気に入りのホストに「〈S.W.の難題〉にノッたりしたらただじゃおかないから」と釘を刺していたという事情がある。有意義なライバルにはなりえないS.W.の皺尻に目当てのホストが口寄せる光景が本当に彼女らにとって我慢ならぬものであったかどうか、そうした牽制が「虚構の愛」の証明に使われただけなのかは定かでないが、色恋営業志向乏しからざるホストらに大いに二の足を踏ませる要因となったことは確かだ。
こうして、〈S.W.の難題〉は一人歩きをはじめ、スカトロAV男優への打診も重ねられ、それだけS.W.本体の視覚的・嗅覚的試練度が強烈だったという証しなのだろうが、そんな折に一連のひとり修業をもがき回っているまっしぐら男の存在を聞きつけた関係者が一人くらいいてもおかしくない。実際末端ホストの一人が、S.W.恒例来店日に蔦崎公一をクラブ『ξ』へ連れて来たのである。来店早々いつものように〈難題〉を似合わぬ流し目とともに回りのホストに打診し始めたS.W.の前に、
「秘密兵器です」
とばかりNo.1ホスト兼代表兼店長が蔦崎を押し出したのである。
「やらしていただきます」
あ~新顔ちゃんね~ぇヘルプちゃん、やるの、やってくれるのうれしい~シャンパンタワー二つでも足りないね~と立ち上がったS.W.は、照明の円錐に入るや新ホストが超醜男に属する事実に気づいて顔をしかめたが、回りの喝采と盛り上がりの雰囲気とは恐ろしいもので、あれほどの――二丁目サッチーと陰で呼ばれていた――傍若無人我侭無比の難物S.W.にして、違う、あたしが指名したかったのは……的巻き戻しのタイミングを失してステージに上がってしまったということである。実際あらかじめ指名などしていなかったのだからどんな御面相が登場しようが難題挑戦にケチはつけられない的にフェアな常識は備えたS.W.だったわけで、とにもかくにも客ホスト三十一名が見守る中、S.W.が皺とだぶつきに満ちた下半身を露出させただけでモワッと生暖かい異臭があたりに漂い、仮設洋式便器にその尻が腰掛けて十秒も気張らぬうちに――
底にパンツ一枚姿で仰向けに寝た蔦崎公一の口めがけて五センチ四方的不定形軟塊を二つ落としたあと、ブバッどろどろドロと大量の黒茶粘体を本格的に迸らせ始めたのである。花弁のような真っ赤な裂け痔がぴらぴら捲れ撚れ、黒下痢は出口でぴちぴち細かい黒しぶきを飛ばして、飛沫一粒一粒が空気との反応で発火し爆ぜては紫燐光を放ち、蔦崎の上半身全体に細かい紺蕁麻疹を描いた。
熟女下痢の超絶猛臭ぶりは〈S.W.の難題〉をとことん論じ詰めてきた一同の予想と覚悟の範囲に少なくともはじめのうちはかろうじて収まっていたものの、それより一同の感動を呼んだのは、蔦崎が本当に熟女の黒汚泥をどぶどぶ飲み込みつつあることもさることながら、S.W.尻の速射ぶりそのものだった。全くすぐに出た。腰掛けるや否やすぐに。ということはS.W.は、その尊大な戯言めかした難題提示口調にもかかわらず、いつも真剣に、本当の準備万端、常時スタンバイの状態にあったということではないか。真面目だったのだ。あれほどの論議に見合った本当の真面目さを、この傲慢奔放な未亡人は秘めていたのだ。
しかし一同はやがてモロたじろぐことになる。熟女黒下痢の超絶猛臭がますます強くなって鼻をつままざるをえなくなってきたことに驚いているうちは序の口、どろどろが三十秒も続いてもうおしまいかと思われた頃、ぶすっ、ぶすぶすぱフッ、と湿った放屁が黒下痢の泡を三四発吹き飛ばしたかと思うと、ぴゅすっ、ふずっ、ふすっ、ふすふすふすっ、次第に連屁が乾いた音に変わっていって、なんとぽろっ、ぽろっ、ぽろぽろぽろっ、硬く小さい便秘秘結塊が落下し始めたのである。これには一同はおおぉおと声を上げた。直腸末尾で固まった物が先に出て、内奥の軟らかいものが後から出てくるのが人体メカニズムの常であるところ、あれだけの軟泥の後にこの岩石、順序真逆たるこのパターンはきわめて珍しい現象といわねばならない(池見葦次の鼻面を襲ったあの姫里美沙子ロケットおろちも必殺秘結弾を先端に備えていたがゆえの破壊力だったことを想起せよ)。いや、現象というよりも「芸」だったとしたら? 一同はハッと気づくことになる。S.W.はかわいい糞食いホストが名乗り出た暁のためにこの芸を溜めに貯めて晴れの舞台に備えていたのではなかったか。この備えの周到ぶりが自ずと示す「真摯な食われ衝動」、かくもひたむきなるマダムの自意識に対してξ一同、露骨な醜男をあてがわざるをえなかった緊急避難ぶりに罪悪感の滲みを胸中噛みしめかけたのだったが――
現場ではS.W.の腸性能への感嘆が罪悪感を当然上回っていた。
「逆おろち」と後に名づけられるこの〔軟→硬〕排便法がS.W.の特殊体質が関わっていることは、後半の秘結弾が褐色に輝くさまが複数の携帯動画に残されていることからわかる。褐色の輝き。そう、前半の下痢部は直腸末尾で発酵しきっているのに対し、秘訣弾の形成間もない新鮮ぶりが輝きで察せられるからである。つまり、秘結弾は当初直腸末尾にあったものが排便時に奥へ移動したり後続軟泥に道を譲ったりしたというより、奥の軟泥が排泄時の攪乱において急遽固まったものと察せられるのである。こうして、姫里美沙子のロケットおろち、かえで亭まゆらの「おろち戻しの術」と並んで蔦崎食ワサレ体質めぐりの三大おろち芸がそろったことになり、どれも後世のおろち文化伝承にて特異な位置を占めることになるが、このS.W.式「逆おろち」だけは唯一誰も再現することができていない恐るべき貴重な技なのである。
しかし現場では後世でなく現在進行中の光景に皆の目鼻耳は集中している。
「すーげー……」
〔軟→硬〕変換途上では褐色秘結密集弾まじりの黒軟泥大洪水、しだいに褐固形の比率高まってゆく雨あられを休まずぼふぼふ飲み込みつつある蔦崎の顔が、顔が、顔がどんどん赤黒く苦しげに変色してきたからである。五十九歳尻からぼろぼろ生み出される茶色玉が、液体・個体の差、前半の下痢とは比すべくもない高密度で蔦崎の口蓋を満たし始めたのであろう。自力咀嚼で粘状化せねばならぬ便秘便は傍目に反して水状便より粘着密度の試練が大らしいという……。さらには、明色化のイメージとは反対にS.W.糞はどんどんどんどん、天井知らずに臭くなってきたのである。いまや、本格的週月単位の便秘臭、あの「クレゾール臭」に達していた。つーんと目に染みる激臭に、みなハンカチ等で鼻のみならず目をも覆い始めた。あの磯臭い大量下痢のあとでこの本格醗酵便秘便とは、S.W.の腸内技芸はすでにこのときおろち文化最高峰の域に達していたと言えよう。
がばがば噛み飲み込みつつある蔦崎の瞬きが一秒おきに速まり、目尻から黄色い涙があふれ出ていた。なんといっても公に証明された中では蔦崎にとって初の生糞嚥下体験。あまりといえばあんまりで、彼のパンツは勃起テントの標しを微動だにみせてはいなかった。
「おいしそうに」のオーソドックスな解釈は充足されなかった。
医療機器関係のアルバイトをしたことがあり海水浴場の救命監視員を何度か務めたこともあるNo.1ホスト兼代表兼店長は、天井知らずに臭く臭くなってゆくS.W.烈糞を目の当たりにしつつ、後ろの方ではハンカチで口鼻覆いゲエゲエ喉鳴らしてトイレに駆け込んでゆく客・ホスト・ボーイも十人を下らないのを横目にもはや蔦崎の命が危ない、これまでだと止めに入ろうとした。そして、半ば仰向いて醜い横顔斜め後ろをギャラリーに見せているS.W.の頬にも涙が流れ落ちているのに気づいたのである。
No.1ホスト兼代表兼店長は悟った。そうか、オレのような定番イケメンが行くべきだったんだ、心高ぶるためにはイケメンじゃなきゃダメなんだ、S.W.はただ糞を食わせる酔狂をやりたかったんじゃない、どうしてこんな基本がわからなかったんだ。この涙。と感動して、
「わかりましたS.W.さん。ドクターストップです、ドクターストップ。蔦くんももういい。賞金は店の方から払おうじゃないか」
実際、悶絶寸前だった蔦崎は、ほとんど放心状態で、両脇をNo.2ホストとNo.4ホストに抱えられながらふらふらとステージから下がってきた。S.W.はぴたっと、蛇口を閉めたように団塊放出をとめて――直前までの無休連発ぶりとの瞬時のけじめがこれも名人芸的だったという――涙声で「いいわよ、がんばったんだもの、坊やに約束の全額あげるわよ」
皺尻だぶつき腰をスカートに収めた六十路直前猛女S.W.がなぜ鼻を啜り啜りしんみりしていたのかについては諸説あるが、やはり定型イケメンをイメージしていたイベントが事前定義の欠如ゆえによりによってこの極めつけブサメンをあてがわれてしまった我が迂闊さへの悔いおよび屈辱の念、そしてセレブ特有のステレオタイプといおうか些事にこだわらぬ太っ腹猛女キャラを演じ通さねばならぬ暗黙展開ゆえにこの期に及んで文句も言えず五百万円支払わねばならなくなったことへの苦々しさ、そのやり場のない悔しさゆえだろうという定説が一番説得力がある。ただし、最近第11回おろち心理学会例会で「実はS.W.は蔦崎という超醜男と同類共鳴し極上のひと時を過ごしていたのである、その感激と容姿上平均ホスト基準クリアを求めていた自分の心との矛盾への驚きと食糞醜男への愛おしさとのない交ぜ感涙」という「醜女醜男共振説」が唱えられ論争を呼んでいることを付け加えておこう。
醜女醜男共振説の証拠として挙げられた事実として、S.W.は店側の辞退にもかかわらずあくまで払うと言って聞かず、糞臭強き息も絶え絶えまだぐったりしている蔦崎の青い顔を自愛の眼差しで見つめながら小切手を渡し、フロアを去っていった。思い残すことはなかったのか、S.W.は新宿界隈のホストクラブを二度と訪れていない。S.W.の美青年願望と蔦崎の食ワサレ体質との壮絶なる中和均衡現象が二丁目ホストクラブ界に安寧をもたらした瞬間といえよう。
やや細部にわたるが、以下の諸点をも簡潔に注釈しておく。
『ξ』側は実はS.W.に対し、店の取り分百万だけいただきましょうと言っていた。外注ホストは限界をさらしたが、店はイベント自体を実現させたから、という論理である。しかしS.W.は、「店には百万」の約束の方は守る必要を認めなかったようである。というより「この子はえらかったけどお店は失格」と、それだけはS.W.も譲らなかった。理由は、S.W.の眼前に蔦崎を送り出したときの「秘密兵器です」の一言だった。いや、店側がそう声に出したという確証はないのだが、いかにも稀なる人材です的な構えが見透かされてしまったのである。「秘密兵器はないでしょうよ。坊やは美味しそうに、お店は嬉しそうにって言ったはず。特別な兵器が必要だなんて。失礼しちゃうわねぇ……」。
むろん五百万提示した時点で、相手にとって嬉しくない試練であることはS.W.自身重々承知というロジックが成立しているわけなのだが、自発的提示とこれとは別である。予期せぬ醜男をあてがわれた屈辱を、直接にでなく論理で憂さ晴らししたという構図だろう。意思表示は十分伝わり、二丁目界隈の教訓となった。やはり賢いマダムである。ちなみに「ドクターストップ」の明言についてS.W.の苦情が一切吐露されなかったのは興味深い。
蔦崎は、小切手は持ち帰ったようだが、それを換金した気配はない。蔦崎もどうやら「悟って」、美男子ならぬ自分にはこれをもらう資格はないと考えたのかもしれない。そうだとすると、「醜女醜男共振説」の一面は崩れる。S.W.の感涙と、蔦崎の修業の悶えとは共振どころか見事にすれ違っていたことになるからだ。このさらなる傍証として、二人はこの後二度と会ってない。S.W.があの日即『ξ』を去ったのは、蔦崎が自分の電話番号を書いて渡したからであるとの証言が複数得られているが、再会していないところからすると、蔦崎は偽の番号を教えたのだろうという推測が成り立つからである。
いずれにせよ蔦崎公一にとっては、この醜女有閑マダム体験は外力強制無しに完全自発的に成し遂げた最初の完全食糞であって、修業というよりも修行色の濃いものとなった。なぜなら、
「美穂に対してあの咳込みだったんだから、今回のこんなのはもちろん……」
最愛の恋人への概念的貞節というか、あれを上回る拒否反応が当然求められた。
美穂の美尿を吐き戻したこととのバランス上、すぐにS.W.の穢糞を吐き戻そうと試みた。試みまくった。
しかし込み上げもしなかった。どうしても吐き出せなかったのである。『ξ』のトイレでも、帰宅途上のタクシー内でも、自宅でも、凄絶な不快感と熟女臭が胸にわだかまっりつづけたにもかかわらず、どうしても、吐き戻せないのだった。
「なんで……? ミホのとき痛恨の醜態演じた俺があんなババアになぜ……?」
腐糞は内臓粘膜にフィットしてしまった。
むしろ安らぎの満腹感に満たされてしまった。
体が温まり、リラックスしてしまった。
もちろん心の方は香坂美穂への罪悪感が深まるばかりだった。
美嬢美尿と醜婆腐糞に対するこの不条理的アンバランスが、蔦崎に致命的なトラウマを植え付けた。
醜熟女腐糞完食は、達成感はおろか「トラウマの本質はアンバランスにあり」というそれ自体トラウマ的教訓として心身に絡みついてしまった。
醜熟女腐臭は愛しい恋人の面影のように蔦崎公一の口蓋から食道、胃の奥まで何日も何週間も何ヵ月も心地よく灯りつづけた。これこそ、醜女醜男共振説を支持する一証拠と見なすことができるかもしれない。
■ 302 :名無しさん@ベンキー :03/07/24 16:55
中二の夏休み明けだったな……。五時間目と六時間目に「選択科目」ってのがあって
体育、音楽、美術、技家の中から選ぶやつ。
俺は体育のバドミントンを選んでたんだけど・・・・人数がアホみたいに多くて順番待ちばっかでホントつまらなかったのよ・・・。
暇なもんだから友人Qが「どっか行こ」てわけで、ついていった。
ブラブラ歩いてて二人とも女子トイレ前で自然に足が止まった。
俺たちはあうんの呼吸で覗きをすることに決定。授業中だし誰も来ないだろうから堂々と入っていった。臭いはないし、便器にシミもなくて。男子トイレはもっと汚いのにね。
綺麗すぎてつまんないのでトイレの近くのホールで二人でダベってた。
303 :名無しさん@ベンキー :03/07/24 17:00
続きキボンヌ
305 :名無しさん@ベンキー :03/07/24 17:06
そのうち五時間目終了。休み時間になった。
そこの女子トイレは理科室の近くで、近くに教室もないのでしーんとしてた。
どうせ誰も来ないだろうと思いつつ待ってると・・・・
女子が一人走ってトイレに入っていった。その子はKで、地味で普通で見ようによっちゃブス可愛い系の子だった。その瞬間はかわいかった。
こういう時に限ってわざわざ罠にかかりに来てくれるってだけで可愛いよね。
あんまりしゃべったことはなかったけど・・。俺たちは猛ダッシュでKが入った個室の後ろの個室にすかさず入った。
306 :名無しさん@ベンキー :03/07/24 17:07
二人で頭くっつけて下の隙間にへばりついて見てると、もぞもぞパンツ脱いでるとこで……そのあと目の前におしりがでーんと降りてきたからすごいびびって叫びそうになった。
もう目と鼻の先におしり状態初体験で、お尻の間から勢いよく放尿が始まった。もうあそこはビンビンで、からだが固まってしまって音をたてまいと努力する必要もなかった。そしてオシッコがポタポタっと静まったと思ったら!
「バフッ」とか気持ちよくオナラがでて、肛門がもこっと盛り上がって、山吹色と焦茶色の二色がよじれあったぶっといニュルニュルがでてきた。Qと俺はウンコに驚いて同時に隙間から顔を離していて、Qは呆然と逝ったような目だった……。俺はまたひとりで顔を隙間にくっつけながら、どくんどくんと射精していた……。
長くて太いうんこが少なくとも三回出た。次に「びゅるるるる」とか音がして、Kが「う~ん、う~ん」とか泣いてるのかってくらいの声とともに、
「ぶう~~っ、ぶう~~っ、ぷうぅ~っ」と音はやけに乾いてるのに下痢っぽいのをドバドバ出した。そして出きったのかどうかわからないうちにおしりを拭いて水を流して行ってしまった……。一回しか拭かないのが意外だった。
あんだけ出しまくって、ニオイは全然なかった。
そのあと俺とQは帰ったが、帰途ずっと無言だった。いつもはずっと馬鹿話しゃべりながら帰っているのに。射精していたのが決まり悪かっただけでなく、厨房の心にはあまりに刺激が強すぎたんだと思う。夢見ごこちで二人ともただただ歩いた。これは俺が中学時代に限らず全人生で最上級なエロ興奮をおぼえた出来事でした(;´Д`)
いま思うと、あれほどのウンコだから、人に聞かれたりしたくないってんでわざわざひとけのないトイレに来たんだな。それが裏目に出て俺たちに覗かれちゃったってわけ。
やっぱかわいいな。
314 :名無しさん@ベンキー :03/07/25 00:38
>>302>>305>>306
乙~
最近、妄想ネカマ野郎の駄弁でウンザリしてたから、
こういうリアリティあるレポって嬉しいね~
318 :306 :03/07/25 02:28
これには後日談があります。リアルと思ってくれるかどうか。
Qとはその後一ヶ月くらいしてまたいっしょに、はっきり可愛いむしろ美人だろう系のSのも覗いた(同じトイレで)。
Sは、ふつうの中太二段ちぎれ糞に終わった。Kみたいに二色がよじれあった面白みはなく、のっぺりしたただの黄土色一色だった。ちゅるんっと出て、オナラもフンバリもナシだった。あっさりしていた。ふつうにウンコ臭が漂ってた。お尻を丁寧に五回も拭いてたのもKとは違ってた。
このときは俺は逝かなかった。Qも逝きはしなかったと思う。帰り道も普通にしゃべりつつ帰った。
それで、やがてQはKと付き合った。
俺はなんとなくSと親しくなって付き合った。
Qにはずっと劣等感を抱き続けた俺だった。いっしょに目撃したお互いの彼女の(近未来彼女たちの)ウンコ比べではっきり負けていたのだから当然だ。
これはQもテレパシーでわかっていて、社会人になったふたりとももうとっくに彼女とは別れたのだけど今でも俺はQにたまに会うたびに頭が上がらない。
俺のSとあいつのKの埋められない差が。
これが俺の一番のトラウマです。
(第32回 了)
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■ 三浦俊彦さんの本 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■