山際恭子さんのTVドラマ批評 『No.027 たべるダケ』 をアップしましたぁ。これまたテレビ東京さんの深夜ドラマです。主演はパンクバンド、元ミドリの後藤まりこさん。主演の 〝たべるダケ〟 の女・シズルを演じておられますが、セリフは 『いただきます』 と 『ごちそうさま』 のほぼ二つだけ (笑)。でも好演しておられます。
そんでミドリ、すんげぇいいバンドだったなぁ。パンクは元々はイギリス階級社会から生まれた反体制系音楽ですが、日本ではロックの原点回帰の役割を担っていると思います。簡単に言えばでかい音を出して、叫び、騒ぐ。その純粋なロック原理にどこまで忠実でいられるかが日本のパンクの倫理のような気がします。パンクロッカーである後藤まりこさんには元々人間の生の原点とでも言うべきパワーがあったわけで、それを 『たべるダケ』 の女に抜擢した方のカンはドンピシャ当たったと思います。
山際さんは 『テレビ東京の快進撃は、「大衆」 を前提とするテレビ的文脈と切れた潔さ、ネット時代に呼応するのでも迎合するのでもなく、対抗し得るような視点を模索し始めていることからもたらされているように思われる』 と書いておられますが、その通りだと思います。『たべるダケ』 の原作は高田サンコさんのマンガですが、大変恐縮ですが、『ワンピース』 や 『20世紀少年』 のように大ヒットするマンガではないと思います。実写版の 〝絵が見えた〟 方がこの原作のドラマ化を企画したのだと思います。
大ヒットした原作を人気俳優を使って実写化すれば、ある程度の反響と収入が見込めます。それがビジネスのベースになるのは当然のことです。しかし本当の意味での 〝コラボレーション〟 というものは、何かと何かを組み合わせることで、双方の新たな魅力を引き出すことにあると思います。『たべるダケ』 はこのコラボレーションの成功作だと思います。後藤まりこさんはもちろん、準主演の新井浩文、石橋杏奈さんも好演されています。不肖・石川、『たべるダケ』 で初めて新井さんと石橋さんのお名前を覚えましたぁ。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.027 たべるダケ』 ■