長岡しおりさんの文芸誌時評総評 『No.006 新潮 2012年09月号』 をアップしましたぁ。よしもとばななさんの 『天使』 を取り上げておられます。よしもとばななさんは、吉本を平仮名表記に変えられたようですね。その方が彼女の作品の雰囲気に合っているかもしれません。
だんだん自分が年をとってきて感じるのは、人間は年齢ほど、見た目ほど老けないといふことであります (笑)。でも確かに若い頃よりは世間知もついてきているわけで、それなりの落ち着きもそなえている。しかし中身は外面ほど落ち着いていないわけであります。これは本質的に、未成熟とはちょっと違います。
年を取ると、若さの質が変わってくるといふことでしょうね。いつまでも学生時代そのままのはしゃぎっぷりを見せつけられるのは〝イタイ〟ですが、成熟した精神的好奇心といふものはあると思います。オトナが若者に誇れるものがあるとしたら、彼らには決して追いつけない知性だけですものねぇ。
よしもとばななさんの作品は、ある時点から成熟が消えたような気がして読んでいなかったのですが、長岡さんの書評を読んで、また読みたいなぁと思いました。成熟を拒否した成熟があるなら、やっぱばななさん、並の作家ぢゃないのかもしれません。