星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第23回)をアップしましたぁ。「夕顔」の帖の始まりです。
「夕顔」は『源氏物語』の中でちょっと異質な帖です。光源氏をめぐる女性たちの多くは身分と教養と矜持を備えています。しかし夕顔は(当初は)素性も定かでなく、六条の粗末な家に身を潜めるように住んでいる。源氏は身分や教養などで女性を選んだりしないのですね。
「夕顔」はまた一種の〝異界譚〟でもあります。光源氏は貴族社会の外縁へと踏み出し、そこで名も知れぬ女と出会いが彼女を失うことになる。そこのちょっとした〝怪異〟が紛れ込みます。いずれにせよこの帖で源氏という人物の輪郭はいっそう深みを帯びます。
『源氏物語』では〝失われた女性への追慕〟というモチーフも重要です。これは後の帖でもしばしば繰り返されます。「夕顔」の帖は物語全体に影を落とし続ける源泉でもあります。末松謙澄がこの帖をどう英語に移し替えたのか。その痕跡をぜひお読みください。
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第23回)縦書版■
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第23回)横書版■
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