新連載翻訳小説 e・e・カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(仮)(第01回)をアップしました。e・e・カミングスは1894年生まれで1962年に68歳で没したアメリカの作家です。エズラ・パウンド、T・S・エリオット、アーネスト・ヘミングウェイ、スコット・フィッツジェラルドらと並ぶ、ロスト・ジェネレーションを代表する作家として知られます。詩人として有名ですが、エッセイ、児童書、戯曲なども手がけました。

 

カミングスの詩はアメリカではとてもポピュラーです。ウディ・アレンを始めとする映画作家などがよく引用する詩人です。内容はシンプルなものが多いのですが、タイポグラフィを多用した詩人であり、翻訳はみかけによらずけっこう難しいです。日本では藤富保男さんの翻訳などがあります。単純そうですが、一癖も二癖もある詩人なのですね。

 

『伽藍』の原題は『The Enormous Room』で、第一次世界大戦に従軍していた際に、スパイ容疑で拘留された時の体験を書いたものです。この作品がカミングスの処女作です。処女作には作家の生の資質が良く表れるというのは本当のことで、『伽藍』を読めばカミングスが一筋縄ではいかない作家だということがよくわかります。

 

第二次世界大戦後にアメリカ的な物質文明が世界に浸透したこともあり、多くの先進国ではアメリカはとても身近な存在になりました。しかしアメリカという国の本質は、とてもつかみにくいと思います。それはアメリカ文学を読めばよく分かります。アメリカ文学、けっこう暗いです。アメリカ人のパブリック・イメージには表れにくい、内面的アメリカが表現されています。

 

そういったアメリカの内面がストレートに表現された始めたのが20世紀初頭です。つまりロスト・ジェネレーション世代が享楽的な物質文明と、単純明快な理念、それと相反するような矛盾を文学として表現したのです。崇高で愚かなアメリカの本質が表現されていると言ってもいいです。カミングスの『伽藍』もそういった作品の一つです。もはやアメリカ文学の古典と言っていいですが、アメリカとその影響を受けた自由主義世界の本質を問い直すにはうってつけの作品です。

 

星隆弘さんの翻訳は文学金魚奨励賞受賞の『アリス失踪!』に継いで二作目です。シェイクスピア専攻の英文学者さんですから読解力には問題ないですが、『アリス失踪!』は現代的な〝攻め〟の翻訳でした。『伽藍』翻訳も思い切ったものになると思います。じっくりお楽しみください。

 

 

新連載翻訳小説 e・e・カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(仮)(第01回) 縦書版 ■

 

新連載翻訳小説 e・e・カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(仮)(第01回) 横書版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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