ショートショート_No.014_cover_01「詩人と呼ばれる人たちに憧れている。こんなに憧れているにもかかわらず、僕は生まれてこのかた「詩人」にお会いできた試しがない。・・・いつか誰かが、詩人たちの胸ビレ的何かを見つけてくれるその日まで、僕は書き続けることにする」
辻原登奨励小説賞受賞の若き新鋭作家による、鮮烈なショートショート小説連作!。

by 小松剛生

 

 

 

 

もしも世界中の勘違いが犠牲フライだったなら

 

 

 もしも世界中の勘違いが犠牲(ぎせい)フライだったらいいのに、と思うときがよくある。

 そうすれば勘違いの犠牲を払って1点もらえる。

 勘違いした本人は被っているメットを外しながらベンチに帰って「いやいやまいったな」と頭をかけばそれでいい。チームメイトが「なに、1点入ったんだから上出来だよ」と慰めてくれるからだ。

 そのことを彼女に言うと「犠牲フライってなに?」と訊かれた。

 

 

 彼女は野球を一切見ない。

 彼女の生活の中には盗塁もなければ右中間もない。ファインプレイがないのは少し残念に思うけれど、三振ゲッツーがないのは羨ましかった。あれは攻撃側にとっては最悪に近い出来事だ。

 「牡蠣(かき)フライとは違うの?」

 「ちょっと違うかな」

 僕は彼女にどう説明すべきか考えた。

 犠牲フライにはパン粉も小麦粉も卵も必要ない、ワンアウトという犠牲だけが必要なんだと言う。

 「もちろん牡蠣もいらない」

 「ふーん」

 全く興味なさそうな返事にも僕は屈しないよう自分を奮い立たせることにする。他人に何かを伝えるには根気が大事だ。

 「気をつけるのは守備側の選手の肩の強さと打球の飛んだ位置、それに三塁ベースにいる走者の足の速さなんだ。それはなんていうか、牡蠣を揚げるときの油の温度と、鍋の中から引き上げるときのタイミングみたいに決定的なものなんだ」

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 「ふーん」

 彼女は読みかけの本にしおりを綴じた。

 「1点取るとどうなるの」

 「勝てる確率が上がるんだ」

 「でも食べられないんでしょ」

 確かにそうだ。

 犠牲フライよりも牡蠣フライのほうが美味しいし、白ワインがあれば豪華な食卓となる。僕は急に自分が気恥ずかしくなった。

 

 

 今、僕たちは小さな喫茶店の店内から、玄関口に作られた鳥の巣を見守っている。

 「来たよ、スズメ」

 巣に近づいてきたのはどこから見てもツバメだった。

 彼女はずっとツバメのことをスズメだと勘違いしているのだ。たぶん、生まれてからずっと。

 それはどんな犠牲フライよりも美しい放物線を描いた、美しい勘違いだった。

 (はかな)くて。

 丸みがあって。

 そのままずっと空を眺めていたくなるほどに。

おわり

 

 

 

死体の石を思い出と呼ぶ理由について

 

 

 2241番地に住む墓堀り人は、果たして自分に休日が訪れるときはくるのだろうかと、ふと考えた。

 スコップを片手に従事していた、日曜の午後のことだった。

 今度の亡骸はかなり大きいとのことだったので、いつもの2倍は深く掘っておかなければならない。

 ――それに石もでかいやつを用意しておかないと。

 この街で死人を(とむら)う際には、必ずその人のサイズに見合った石を埋めた後の地面に立てることを風習としていた。

 たまに遺族が探してきてくれることもあるが、今回のように身元引受人すらいない孤独死の場合は自然と彼がその役目を負うことになる。

 街の役人に申請書とやらを出せば、それらしいやつをどこかから買ってきてはくれるが、手続きがかなり面倒であることを墓堀り人は実の父親から聞いて知っていた。

 彼の父も、そのまた父も墓堀人だった。

 一族の女性陣はどうやら短命らしく、母親も祖母も彼自身の目で見た記憶はなかった。

 男手ひとつで育てられてきたわけだが、つまりそれは幼いころから死体を埋める作業の側にいたことを意味していた。

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 ――まずは棺の足元から土をかけるようにするんだ。

 ――どうして?

 ――最初から頭のほうにかけたら窒息してしまうからな。

 亡骸を埋めるという作業は、どこか不思議なリアリズムに満ちていた。

 すでに生き絶えた者たちに対して不必要(少なくとも当時の彼はそう感じた)なまでの敬意を払う父親の背中は、若き墓堀り人の奥深い場所で、暗く静かに光っていた。

 夏が近づいてはいたが、開けた丘の上にある墓地には未だ冷たい風が吹いていた。名前もわからない樹の枝が、墓堀り人の行く手を遮るようにして垂れ下がっている。

 うるさそうに彼は片手でそれをどかした。

 

 

 墓に立てる石を探しに行く旅は、回が増えるごとに遠い旅路となった。

 とくに今回のように大柄な者の場合は探すのに手間取った。

 ――石がなくなるときが仕事の終わる合図じゃないのか。

 そんなことを思ったりもしたが、それは儚い願いだった。

 死体は次から次へと、彼に埋められるためかのように棺の中へと放り込まれていった。

 「ホリコシじゃない、どこへ行くの?」

 3507番地に面した通りを歩いている際に、シジンに声をかけられた。

 「石を探しに」

 「ちょうどよかった。アタシもこれから印刷所へ向かうところだから、一緒に行こうよ」

 地方新聞『街角』のコラムを担当しているシジンは、一日中机の上で取材日誌と向き合っている毎日を送っていると聞いていたので、こんな昼日中に外に出歩いていること自体に彼は驚いた。

 「暇なのか?」

 「暇じゃないわよ、今日は日曜日で印刷所のほうで働いている人たちがいつもより少ないの。そこで、一日中煙草を吸いながら机の上で髪をかきむしっているアタシの健康を考慮してくれた心優しき編集長が、外の空気を吸わせるために手伝いに行かせてくれたってわけ」と、ちっとも有り難くなさそうな表情でシジンは答えた。

 「シジンに休みの日はないのか」

 「ウチみたいな貧乏出版社で休みを願うというのは、贅沢ということらしいわ」

 ホリコシは? 休みはないの? と両目に(くま)を携えながらシジンが訊いてきた。

 「もらった試しはないな」

 

 

 2メートルにも届くかという大男の墓掘り人とシジンが並んで歩く様はどこか珍しい様で、すれ違う人々の首を幾分傾かせた。

 通行人らは通り過ぎるたびに自身の首を45度ほど傾かせるので、レンガの敷き詰められた路地そのものが傾いているかのようでもあった。

 実際二人の体重差がありすぎて傾いていたのだ、と後になって主張する者まで出てきた。

 「じゃあホリコシは誰かの死を慰めるために、石を探して毎日を過ごしているのね」

 「そうだ」

 やがて二人は三叉路に遭遇した。

 見事に3つに別れたそれらの道は、無理にでも二人を引き離そうとする街の画策かのようにも思えた。

 立ち止まった彼女は「ホリコシは…」と呟いた。

 「ホリコシはこれまでどれだけの石を運んできたのかしらね」

 ――うーん。

 彼は悩んだ。

 「1098番地に住んでいたミカワの坊ちゃん、まだ若いのに肺炎で亡くなった。4321番地のカドカワさんは運がなかった。年老いて歩くのがやっとの身体で駅のホームを散策していたばっかりに、線路に足を滑らせて頭をぶつけたんだ。棺の蓋を閉めるとき、まだそのこぶは残っていたよ。2600番地の」

 「全部憶えているの?」とシジンは目を見張った。

 「もちろんだ」

 彼の父が彼に、そうするように教えてきたのだ。

 それもまた、死体の足元から土をかける行為と同じように、不必要な敬意の一種なのだと彼は信じていた。

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 「素敵ね、ホリコシの仕事」

 ――素敵?

 彼にはその意味がわからなかった。

 彼にとって毎日は苦痛そのものでしかなかったからだ。

 「(つら)いだけだ、誰に感謝されるでもない。金もろくに稼げない」

 でもこの仕事で暮らすことしか俺にはできないんだ、と墓掘り人は答えた。

 「石を探した記憶、それがあるだけで救われる気分になったりしない?」

 「なぜだ?」

 彼にはシジンの言っていることがよくわからなかった。

 「人は思い出こそに生きる価値を見出す生き物よ。あなたは人よりたくさんの記憶をしまっておけるらしいから」

 

 

 「思い出」と彼はシジンの言っていることを繰り返してみた。

 なぜか、スコップを片手に黙々と土を掘る父の背中が思い浮かんだ。

 それは今でも、若き墓掘り人の奥に眠るようにして、静かに光っている景色であった。

 「よくわからない」

 「そんなもんかしら」

 二人はその三叉路で別れた。

 道がひとつ、余った。

おわり

 

 

 

トマトを食べる話、もしくは愛してると言うだけの話

 

 

 熟れたトマトの肌は何の色にも似ていないなとノブアキは思った。

 赤く艶光りしたそれは狭い台所で輝いていた。冷たい表皮は触れるたびにつるりと滑り、柔らかく儚い中身をしっかりと閉じ込めている。へた(・ ・)の濃い緑からは土の匂いがした。拳よりも少し大きくてずっしりと重たかった。

 極上の黄色を再現したゴッホはなぜトマトを描いてくれなかったんだろうとも思う(いや、もしかしたら描いていたかもしれないけど少なくともノブアキは知らなかった)。肘の長さ程度しかない蛍光灯が点滅した。

 午後を迎えたばかりの休日は、影が静かに部屋を埋め尽くしていた。

 「何してんの?」

 「んー」

 肩で挟んだ携帯電話の受話器口からナミの声がした。

 表で豆腐屋のラッパが鳴っていた。

 「外、なんの音?」

 「なんでもないよ」

 ノブアキは包丁の刃先でへた(・ ・)をくり抜く。柄は固定してトマトを動かす。網戸を抜けて聞こえてくる車のエンジン音が遠かった。

 「ねえ」

 ナミのナ行の発音は猫のそれに似ている。猫と電話しているというのは少し滑稽(こっけい)な姿だなと思ったりもした。

 「何してんの」

 「なんだよ」

 「なに(・ ・)をしているの?」

 「トマト切ってる」

 テーブルの上に置いているメトロノームはいつかの誕生日に彼女が送ってきたものだった。カツン、カツンと足を鳴らしている。秋がゆっくりと歩いてくるかのように、リズムを合わせるように、刃の柄に近い部分でトマトを刻んでゆく。まな板の上に8個の赤い三日月ができた。

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 日が射した。

 「ドレッシングはかけないの?」

 「かける必要があるのか?」

 食器棚は何も喋らなかった。

 流し場は押し黙っていた。1畳分のクローゼットは口を閉じていた。白樺の机は無言のままだった。会話は月曜の雨降りのように限定されていた。レースのカーテンが揺れていた。ノブアキはトマトを一切れつまむ。

 「うまい」

 「いいなぁ」

 「いいだろ」

 いいなあ、ともう一度ナミは呟いた。

 ノブアキは窓から外を見下ろした。一台のリムジンが向こう町の坂を下ってこっちに向かってきていた。蛇のように長いやつだ。それは坂の(ふもと)に着くと止まった。最後尾はまだ坂の頂上にあり、一人の太った男がそこから降りてきた。丸い影がこちらからでも覗くことができた。境界線の波打った黒い影だ。ノブアキは干したままにしておいたポロシャツに手を当てる。ベランダはない。

 「今日って雨降るっけ」

 「予報では降らないって」

 他の上着やタオルは乾いていた。携帯電話を右手に持ち替えて左手でハンガーを物干しざおから降ろす。デニム生地のブラックジーンズを手にとろうとしたところで止まる。白いカスがこびりついている。

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 「あ」

 坂の上にいた男は札束の紐を解いてばら撒き始めた。それまで静まり返っていた街が大騒ぎになった。養殖場の鮭のように、紙切れに群がる人々が坂を駆け登っていた。

 「どうしたの?」

 「ティッシュ入れたまま洗濯してた」

 「ばーか」

 その言葉はカップに入れたままにしておいた冷めたコーヒーにぽとんと着地した。短い波紋が部屋の中に拡がった。一度転んだ人間はたくさんの足に踏まれていた。悲鳴とも歓声ともとれる叫びにまみれていた。リムジンを飛び越えていく人影もいたが、すぐに群衆の濁流に呑み込まれていった。赤い何かしらが飛び散っていた。

 「汚いな」

 フックからジーンズを外して何度かはたいてみる。ついでに皺も伸ばすがティッシュは縮れて至るところにくっついている。

 「とれないでしょ?」

 受話器の向こうでほくそ笑んでいるナミが想像できた。

 「他のもダメかな」

 汚いな、ともう一度吐いた。

 「きれいはきたない、きたないはきれい」

 鼻歌を口ずさむようにしてナミが言った。

 「シェイクスピアだっけ?」

 「禅の言葉よ」

 サビついた鉄骨の手すりについた水滴をなぞった。大きかったはずの粒は肌に触れてただの水に変わった。光を反射して自分の皮膚が鱗のようにそこだけきらめいていた。雄叫びがここまで届き、その鱗を震わせていた。坂の上は潰れたトマトのように染みになっていた。

 「ゴッホもがっかりだ」

 「なに?」

 なんでもない、とノブアキは湿った指をシャツの袖で拭うと、台所に戻ってやかんに水を入れる。側面のステンレス材に映った部屋は透明で、何の匂いもしなかった。

 「きれいなものってゴースト的よね」

 「丘の上にある樹の話?」

 美しさの話題になると決まってナミはとある絵本の話をした。

 

 

              *

 

 

 丘の上に一本だけ、何かの角のように突き出ている樹があった。少女はそれに恋をした。暇を見つけては頂上へ行き、それと話をした。ある日、少女は訊ねてみる。

 ――あなたは樹そのものではないのね。

 ――僕はいろんな記憶をもっているだけ。誰のものでもない幽霊なんだ。

 

 

              *

 

 

 その話のラストは覚えてないとナミは言う。ノブアキはそれは嘘だと思っている。コンロのスイッチを捻った。

 「結局、あれの存在は単なる心でしかなかったのよ」

 だから美しいの、と彼女はつづけた。

 トマトをまた一切れつまむ。

 「テクストではないから意味は一つしかないのかな」

 「どういうこと?」

 「声しかないっていうことは、その場にいる者しかそれを証明できないってこと」

 残りのトマトを平皿に盛りつけて窓辺の椅子に腰かける。白いキャンパスにトマト色が寝そべっていた。固い背もたれにノブアキも寄りかかる。いつの間にかリムジンは消えていて、人だかりも無くなっていた。遠くの景色は蜃気楼のようにぼやけていた。塀の上を一匹の猫が歩いていた。

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 「じゃあ今もそうね」

 「今も?」

 「今アタシの存在を証明できるのはノブアキだけね」

 「なんか違う気がするけど」

 メトロノームがゆっくりとリズムを刻んでいる。空に浮いていた円盤が向こう町の建物に突っ込んだ。低く鈍い破裂音がした。猫があくびをした。

 「ホットケーキが食いたい」

 「パンケーキじゃなくて?」

 「どう違うんだ」

 「バターを添えて蜂蜜をかけるのがホットケーキ、メイプルシロップをかけるのがパンケーキよ」

 「両方かけたら?」

 返事はなかった。

 ぶつけられた建物は食べかけのパンケーキのようにひどく中途半端な代物となっていた。消防車のサイレンが鳴っていた。後ろを振り返りながら坂を下ってくる者が何人かいた。やかんの表面が汗で濡れてきた。

 「喉乾いたな」

 「お茶作ってるの? アタシも」

 ちょっと待ってて、という言葉と足音が響いた。受話器口に漂う体温が冷めていくのを感じた。トマトをもう一切れつまんだ。冷たさが薄れてほど良い甘さが舌の上を抜けていった。少しだけ乾きを忘れた。瓦礫の山と化した建物のすぐ上、粉塵が低い場所を飛びまわっていた。雲はほとんどなくなって日射しもだいぶ伸びてきた。部屋の埃が照らされて浮かびあがり、風もないのに辺りを舞っていた。

 「きれいはきたない、きたないはきれい」

 ノブアキは呟いた。幽霊的なその言葉は誰も聴いていなかった。窓から腕だけ出してみる。樫の木でできた椅子は動かすたびに軋んだ。

 「お待たせしちゃった?」

 「身体が腐るほどに」

 「身体なんて捨てちゃいなさい」

 心の一部でしかないんだから、と続ける。やかんから湯気が吹いていた。慌ててノブアキは立ちあがると火を止める。素足で歩くフローリングの床は冷たい。

 ナミが言った。

 「アタシは畳みのほうが好きだな」

 「紅茶派のくせに」

 「アフタヌーンテーよ」

 下手くそな発音だな、とノブアキは思った。

 時計は午後3時を指していた。誰かが部屋で流している音楽がここまで聴こえてきた。何の曲かはわからなかったが、ブルースだということは何となくわかった。

 「太るぞ」

 「午後の紅茶どきくらいお菓子を食べさせてよ」

 「そもそも3時のおやつって過食症だったイギリスのお姫様が発端なんだけどな」

 トマトをさらに一切れつまむ。小窓から眺める表通りに並ぶ街灯は空気のようにひっそりと立っていた。半分裂けた建物は朝のダンスホールのように何かが終わっていた。

 「雨降ってきた」

 「こっちはまだ降ってないけど」

 裂けたビルの上からきらきらと舞い落ちているのはガラスか何かだろう。いずれにしろ雨は降っていない。

 代わりにもう一度訊いてみた。

 「両方かけるのは?」

 「贅沢よ」

 「それがゴースト的な美しさだったり」

 「ノブアキもわかってきたじゃない」

 コツン、と軽い音がした。受話器口を爪で叩く姿をノブアキは想像した。

 点けっぱなしだった台所の電気を消した。明るさは変わらなかった。一目で見渡せる程度の狭い部屋は決定的に何かが間違っているような気がした。

 テーブルに置き去りにしていたハンガーを元の位置に戻した。カチカチ、とメトロノームが鳴っていた。日射しが斜めに射す場所に手を触れると暖かい。ノブアキは椅子に座る。猫はすでにいなかった。

 すぐそばにあったリモコンの赤いボタンを押すと、テレビにスイッチが入った。午後のニュースには誰かしらのあくびが混じっているような気がする。

 

 

 ――たった今、N国よりT型爆弾が投下されました。近隣の県に住まわれる方なども至急避難してください。

 

 

 ノブアキは窓から外を見た。遠くでキノコ雲が上がっていた。

 「ナミ」

 「なに?」

 猫はここにいた。

 いつの間に電話の向こうにいってしまったんだろう、とノブアキは不思議に思った。

 トマトはまだ半分残っていた。

 自分の証明はナミがしてくれるだろう、と少しばかり安心した。

 そしてノブアキは言った。

 それを。

おわり

(第14回 了)

 

 

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* 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』は毎月24日に更新されます。

 

 

 

 

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