寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』（第19回）をアップしましたぁ。クライマックスに近づいてきた気配です。女がらみで子どもが生まれることに決着をつけようとするところはさすが。ブレませんね（笑）。
お水の世界はなんやかんや言ってちょっと特殊なところがあります。男も女もそうですね。女性の場合、まあ言ってみれば『源氏物語』的な上昇も可能です。光源氏は天皇の子どもですから皇位継承権がある。でも源氏姓になり臣下に下った時点でそれは事実上不可能になっています。それは光の同輩たちも同じ。男は出世できると言っても限界がある。これは平安の昔の話ですが、今もまあそれほど変わらない面があります。
でも女性は生まれに関わりなく美貌と知性で権力の中枢に食い込めたりします。松本清張や有吉佐和子が好んで描いた主題というか筋道です。まああんまし言っちゃいけないのかもしれませんが、今話題の木原官房副長官の件もそれに似通ったところがありますね。
で、『オトコは遅々として』に即すとお水の女性の純情といったものはあります。その反対にすんごい怖い面もある。後者は向田邦子さんが描いたりしました。両極端に触れるところがこの主題の面白いところです。意識と無意識の間から純情と地獄が生じるから面白い。お水の男性を主人公にするともっと邪念が交じるかな。
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』（第19回） 縦書版■
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