池田浩さんの文芸誌時評『No.013 三田文学 2016年冬季号』をアップしましたぁ。朝吹亮二さんと川上未映子さんの詩を取り上げておられます。池田さんは『「現代詩」とかつて呼ばれた書き方を出ることのない二つの詩は、期せずして同じテーマである。すなわち恋愛、性愛、それを前提とした私とあなた。そもそも「現代詩」の書き方では、どんな思想も表現できなくなっているのではないか。「現代詩」の書き方が読者への伝達性はもちろん、書き手間の共有性すら失った今、古来からの最も普遍的なテーマにのみ限って書かれようとするのは、最低限の知性の選択なのだろう』と批評しておられます。
相変わらず自由詩の世界は苦しいなぁ。石川が見ても、自由詩の世界にもはや〝詩壇〟は存在しないと思います。詩壇が成立するためには、まず抽象的なものであれ詩人たち共通の思想的関心が存在し、それが詩人グループや賞といった現実組織・制度として形成されている必要があります。しかしもはや詩人たち共通の思想的関心は存在しない。もちろん現実組織・制度はまだ存在しているわけですが、その存在理由が空洞化している以上、力を持ち得ないのは当然です。簡単に言えば、詩人の数だけ思想的関心が存在するわけで、それに正比例したちっこい詩壇が無数に存在している。でも現実組織・制度は詩人たち個々の関心を集約できていないな。
この低迷した状況は、これからもだいぶ長い間続くと思います。でも永遠には続かないでしょうな。文学史なんてそんなものです。新しい才能が現れれば、近過去の、今は恐ろしく時代遅れに見えてしまふ詩作品が、それによって再評価(再構成)されるようになります。
自由詩のアポリアが『脱現代詩』にあるのは明らかです。詩人さんたちは、詩の原理を踏まえて〝現代自由詩〟とでも呼ぶべき詩を生み出してゆく必要があると思います。今の自由詩の状況を短期的に言えば、〝一抜け競争状態〟だと言えるかもしれません。誰がこの膠着した状況を破り、その先へと抜けられるかといふことです。詩人たちは過去の実績を棚上げして新たな試みを形にしないと、過去実績すべてが灰燼に帰してしまうでしょうね。
■ 池田浩 文芸誌時評 『No.013 三田文学 2016年冬季号』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・場所:近日中に発表します
・参加費:3,500円
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!