私は舞台芸術、特に日本の伝統芸能である能楽を研究しています。この分野を選んだのは、人が夢見て、想像して、創造するものに興味を持っているからです。伝統芸能でも、現代演劇でも、人の夢が形となって、作り手がその夢を周りの人と共有できるような表現になります。一生このようなものを見つめれば、人間についていつも新しい発見があり、常に自分も成長できて、より多面的で豊かな人間の生の意味に触れることができるだろうと思い、このような学問を選びました。
自分の出身国はルーマニアです。西と東の狭間にあって、西洋の文化と東洋の文化が出会う場所だと言われる、東ヨーロッパのあの国です。色々な文化が交差する土地で生まれ育って、世界中の人が何を夢見て、何を大切にし、何を希望しているかに興味を持つようになりました。人の性格は、自分にインスピレーションを与えてくれる人、物語、場所などとの出会いに養われていて、その中に自分の生まれた国のものも、そうでないものもあります。
幾つかの文化が交差し、互いを生かし合う環境の中で育ちましたので、自分の世界観や考え方がその環境の影響を受けました。このエセーでは故国ルーマニアのことはもちろん、自分が体験した物語とそのグローバルな交差、混交の諸相について、気ままに書いてゆきたいと思います。
ラモーナ・ツァラヌ
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■