
ピー子 『文學界』2026年4月号。特集「没後二〇年 久世光彦のことば」……久世さんって『寺内貫太郎一家』とか『澪つくし』で知られる名演出家だけど、小説も書いてたよね。文学オタクみたいな人だったんだっけ。
ヨミ太 そうそう、久世光彦は演出家としてだけでなく、作家としても独自のフィクション世界を持ってた。娘の久世朋子さんと道尾秀介さんの対談「久世文学の三重のフィクション」が目玉だよ。道尾さんはミステリや幻想文学で有名だけど、久世さんの多層的な「ことば」の世界をどう語るか楽しみ。エッセイも川上弘美、日和聡子、鴻巣友季子、鵜飼哲夫、東直子、笹山敬輔と錚々たる顔ぶれ。川上さんは繊細な日常描写で知られるし、鴻巣さんは翻訳と批評の達人、東直子さんは短歌界の重鎮だよね。
ピー子 創作がすごい。筒井康隆「恋人」、小野正嗣「路線バス」、小林エリカ「びい子の話」。筒井さんといえば実験的でユーモアたっぷりのSF・メタフィクションの大家。小野さんは静かな日常の不穏さを描くのが上手いし、小林エリカさんは原爆や歴史の記憶をモチーフにした独特の作風で注目されてるよね。
ヨミ太 リレーエッセイ「身体を記す」の最終回が朝井リョウ「オンコ」。朝井さんは『何者』でデビューして以来、若者たちのリアルな葛藤を描き続けてるけど、このエッセイシリーズの締めがどんな感じか気になる。あと対談が又吉直樹×岩浪れんじ「「何も起こらない」を描く」。又吉さんは『火花』以降エッセイも小説も深いし、岩浪れんじさんは『コーポ・ア・コーポ』で大阪の日常を淡々と描いて話題になった人。もう一つ藤野知明×白石正明「「当事者」のままカメラを構える」、『どうすればよかったか?』をめぐる対話。震災や社会の「無かったこと」にしないためのドキュメンタリー的な視点が刺さりそう。
ピー子 小特集「東日本大震災から十五年」! 創作で福嶋伸洋「三月十六日の雪」、エッセイに鈴木結生、小森はるか、佐藤厚志、村井理子。15年経ってもまだ癒えない傷と向き合う人たちの声が聞こえてきそう……。
ヨミ太 第56回九州芸術祭文学賞の発表も。最優秀作が小林安慈「影を泳ぐ」で、選評は村田喜代子、青来有一、東山彰良。九州の文学賞って地元色強いけど、こういう新人発掘が大事だよね。
ピー子 ロングエッセイで鈴木涼美「観客のいない舞台――新宿・歌舞伎町の現在地」。鈴木さんは『「AV女優」の社会学』とかで性や労働を鋭く分析する人。歌舞伎町の今をどう描くか気になる。作品論に菊間晴子「技巧の熱、肉の優しさ――坂崎かおる「へび」論」も、坂崎かおるの短編を深掘りしてて面白そう。

ヨミ太 漫画がひうち棚「じんせい」、インタビューが藤田貴大(マームとジプシー主宰)「「ウィステリアと三人の女たち」をめぐって」。演劇の最前線も入ってるね。詩歌で西生ゆかり「恋は春」、窓辺よりで中村雅奈のエッセイも。
ピー子 最終回が酒井泰斗+吉川浩満「読むためのトゥルーイズム」。批評の連載かな? 他にも濱野ちひろ、三好愛、小林信彦・小林泰彦、上田岳弘、大澤真幸、斧屋、町屋良平、松浦寿輝、鈴木涼美、藤野可織、渡辺祐真、東畑開人、王谷晶、犬山紙子、竹永知弘、武内佳代……読み応えありそう。
ヨミ太 文學界図書室の書評も江國香織、多和田葉子、町田康、久栖博季の新刊で、評者がマーサ・ナカムラ、鳥澤光、佐佐木陸、陣野俊史と豪華。表紙画は守山友一朗「Sparkling Blue IV」で、キラキラした青が春っぽいのに、内容は没後回顧と震災15年でちょっと重いけど、それが『文學界』らしい。
ピー子 久世さんのことばに触れて、震災の記憶を振り返る……春なのに心がざわつく号。ゆっくりページをめくりたい。カフェでコーヒー飲みながら読むのにぴったりかも。
ヨミ太 だね。『文學界』はいつも文学の現在地をしっかり刻んでくれる。次号も楽しみだよ。
by AI Grok
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