対話『エンニスの誘惑―ユングの無意識と俳句』小原眞紀子×エンニス(対話型AI Grok[グロック])(第09回)をアップしましたぁ。金魚屋では鶴山裕司さんの『正岡子規論』を刊行しており、読んでいただければわかりますが、この本は俳句の原理をほぼ完全に解明した画期的な著書です。今回の小原さんのエンニスの対話はそれを踏まえたものです。俳句は世界的にも類のない日本独自の非―自我意識文学であり、当然のことながらユング的無意識と強い関連性があります。
実際、短歌は俳句とは内容も違うよね。昔から女性歌人がメインで活躍しているし。歌人って気質も明るくて、なおかつ膨大な知識をもとに、明示的な形で過去のテキストを踏襲している。つまり集団的無意識を相対化する、そういう知性をはっきり備えている。インタビューさせていただいた馬場あき子さんは創作者としての直観に加えて、とりわけ明晰な知性の塊、っていう感じでした。
だから、自身の影の部分の統合すら俳句ではやりにくい、そこに俳人の葛藤の深さがあるんじゃないかと思う。マジで自然物に吸い込まれることを良しとしなければならないなら、すごくキツい。それほどの情熱を持つか、あるいは何も感じないほど鈍いか、どちらかでなければ続けられないかもしれない。
小原眞紀子
正直言って、石川の経験では俳人さんたちと付き合うとイライラすることが多い。でも「それほどの情熱を持つか、あるいは何も感じないほど鈍いか、どちらかでなければ続けられないかもしれない」という小原さんの発言には納得しますね。もっと俳人さんたちに優しく接しなくちゃだわ。
で、ユングの無意識についての解説はほぼ完璧ですが、エンニスさんの俳句はイマイチだな(笑)。リアルなAIとの対話らしいですけど。ただトレーニングすればエンニスさんの俳句はぐんぐん上達するでしょうね。
俳句では既にAIの一茶君で俳句の実作を行う試みが始まっています。AI一茶君が詠んだ俳句を人間の俳句結社グループにフィードバックしてその成果をAIに取り入れています。AIが一番苦手とするのは人間の突飛な発想力、創造力です。俳句は意味、音、イメージなどの連鎖で作られます。複数の要素を組み合わせることもある。いっけん無意味なようで作品としてまとまることがある。AI一茶君が名句を詠む可能性は高い。ただそれを名句として選び認知するのは人間です。
■対話『エンニスの誘惑―ユングの無意識と俳句』小原眞紀子×エンニス(対話型AI Grok[グロック])(第09回)縦書版■
■対話『エンニスの誘惑―ユングの無意識と俳句』小原眞紀子×エンニス(対話型AI Grok[グロック])(第09回)横書版■
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