鶴山裕司 安井浩司研究 No.029 安井浩司 第二句集『赤内楽』関連資料(四 『赤内楽』最終)をアップしましたぁ。早いもので今回で連載30回ですね。安井浩司さんの「赤内楽」ノート篇最終なので、鶴山さんが例によって明快な解説を書いておられます。
安井氏の俳句思想はここでは詳述しないが、ノートの句を読めば肉感的にそれを感受できるだろう。安井氏は自動筆記的にノートを書いている。自動筆記と言ってもシュルレアリスムのそれとは微妙に違う。正岡子規が提唱した写生に近い。
まずある単語(観念語を含む)が選ばれる。それは歳時記的な季語などとは無縁の方がよい。俳句の新たな表現領域を開拓できるからだ。それに沿って視覚的、あるいは言語的意味内容や音の連鎖から次々に俳句が書かれる。制作中は文字通り〝夢中〟だろう。しかし安井氏は夢中で写生した子規がそうだったように〝夢から覚める〟。醒めた目でノートを見つめわずかでもある本質に触れている句だけを句集に選ぶ。この〝ある本質〟とは〝俳句の本質〟のことであるのは言うまでもない。
鶴山裕司『安井浩司 第二句集『赤内楽』関連資料』解説
鶴山さんは安井俳句は奇矯に見えますが、基本は有季定型俳句だと一貫して論じておられます。俳句の核となる季語の選び方とその展開が違うだけで、本質的には子規写生俳句に極めて近い方法で書かれている。ただそれが赤黄男・重信から続いた前衛俳句の極点であり終着点であるのも言うまでもありません。ここからが現存俳人たちの正念場。まあ実践・理論両面で安井―鶴山俳句理論に付いて来られる俳人はいそうにないですが(笑)。
■鶴山裕司 安井浩司研究 No.029 安井浩司 第二句集『赤内楽』関連資料(四 『赤内楽』最終)縦書版■
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