小原眞紀子さんの 『金魚エセー』 『 No.004 第 1 回 「土地と力」 シンポジウム 「天と地のコレスポンダンス」 』 をアップしましたぁ。10 月 21 日に多摩美術大学芸術人類学研究所主催で行われたシンポジウムのレポートです。国立天文台副台長・総合研究大学院大学教授の渡部潤一さん、心理占星術研究家・翻訳家・京都文教大学客員教授の鏡リュウジさん、それに金魚屋インタビューに登場していただいた多摩美術大学芸術学科教授・芸術人類学研究所所長の鶴岡真弓さんが講演をなさり、そのあとにお三方のシンポジウムが開催されました。小原さんは 『正直、最初に案内を頂いたときには、やや面食らった』 と書いておられますが、多摩美人類学研究所ならではのシンポジウムですね。
非常にスリリングなシンポジウムだったようです。天文学と占星術と芸術人類学はいっけん接点がないようですが、未知のなにごとかを希求し解明しようとする人間の営為だという点で深く繋がっているようです。天文学は最新テクノロジーを活用した科学のイメージですが、地動説からビッグバン理論に至る天文学史の根源にあるのは、宇宙と人間の関わり、つまり世界創造の仕組みを解明したいという人間の意志です。それは巨大な力を持つ宇宙が人間の生になんらかの影響を与えるはずだという占星術に繋がりますし、それを直観で認識把握して表現した図像を研究する芸術人類学にも関わってくるわけです。
ある意味、不思議でもなんでもないことなのかもしれませんが、古今東西の優れた宗教者の直観は、現代ビッグバン理論に現象的に非常によく似ています。ただシンポジウムで鏡さんがおっしゃったように、『ある 「出来上がった」 世界像に救いを求めるという心理は、「ヤバく」 て 「ダサい 」』。それを鶴岡先生は『 「成ったもの」 ではなく、「成りつつあるもの」 = becoming を見つめることが肝要』だと表現されています。
漠然としたものであれ、ある直観的確信があって探究を始めるのは学問も宗教もなんら変わりがありません。学問では探究を 〝研究〟 と呼び、宗教では 〝修行〟 と呼ぶだけの違いです。しかしそれが固着化してしまうと人間精神の堕落が始まります。渡部潤一、鏡リュウジ、鶴岡真弓さんの探究は、常に現在進行形で動き続けているから魅力的なのでしょうね。
■ 小原眞紀子 『金魚エセー』 『 No.004 第 1 回 「土地と力」 シンポジウム 「天と地のコレスポンダンス」 』 ■