山際恭子さんのTVドラマ批評『No.143 とと姉ちゃん』をアップしましたぁ。先頃完結したNHKさんの朝の連ドラです。高畑充希さん主演で唐沢寿明、相楽樹、伊藤淳史、杉咲花、及川光博、木村多江、向井理、坂口健太郎さんらが出演しておられました。脚本は西田征史さんです。このところNHKの朝の連ドラは絶好調ですね。『とと姉ちゃん』も高視聴率でした。

 

山際さんは『とと姉ちゃん』について、『そうそう、朝の連ドラってこんなもんだったよね、と思い出させてくれる。脚本の良し悪しとキャスティングは直接関係ないはずだけれど、女主人公の印象が残らないのも従来の朝の連ドラ的だ。その制度の中に組み込まれた人格に映るという。逆に言えば、このぐらいの仕上がりでも高視聴率にしてしまう朝の連ドラの企画力が、どれほど時代にマッチしているか、ということでもある。最近の路線は、「実在する女性実業家の伝記」だが(中略)そこに「我々が聞いたことのある企業の」が加わったとき大ヒットしている』と批評しておられます。

 

『とと姉ちゃん』は言うまでもなく、雑誌『暮らしの手帖』創刊者の大橋鎭子と編集者・花森安治がモデルです。山際さんは『広告を許さない NHK なのに、資本主義社会において公に認知された企業がコミットする場合に数字がとれるという。制作サイドがあくまで「フィクション」を強調するのはそのためかもしれない』とも書いておられますが、確かに悩ましいところですね。

 

古い時代は知らないのですが、石川がちらちら読んでいた1980年代でも『暮らしの手帖』は独特の雑誌でした。ファッション誌はもちろん、たいていのライフスタイル系雑誌は企業とタイアップして商品の良い面ばかりを強調するわけですが、『暮らしの手帖』は洗濯機や電子レンジなどの独自の耐久テストや性能チェックをしていたなぁ。レイアウトも素晴らしかった。たまに古本屋のワゴンに積まれていた『暮らしの手帖』のバックナンバーを買いましたが、活版時代にはちょっと考えられないレイアウトがよく採用されていました。花森さんはライフスタイル系雑誌の創始者といふだけでなく、斬新な編集手腕で業界で有名だったのでふ。

 

豊かになっても『暮らしの手帖』は創刊時からの編集方針を維持しておられます。ただそれは微妙に変わってきていますねぇ。豊かな社会で〝清貧〟を求める人々の嗜好に合った雑誌作り、といった感じになっているかな。連ドラの『とと姉ちゃん』も、そういった精神性があるからヒットにつながったのかもしれません。時代の大勢は大量消費社会ですが、それとは違う主張を続ければ、少数でもコアな支持者を得られるといふことでしょうね。ライフスタイル系雑誌に限らず、これはどのジャンルでも言えることだと思います。

 

 

山際恭子 TVドラマ批評 『No.143 とと姉ちゃん』 ■

 

 

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