ラモーナ・ツァラヌさんの『青い目で観る日本伝統芸能』『No.029 能と物語の生命力―〈佐保山〉』をアップしましたぁ。1月27日に国立能楽堂で行われた金春会定期能です。能〈佐保山〉、狂言〈佐渡狐〉、能〈巴〉、能〈鞍馬天狗〉が上演されたやうです。ラモーナさんは、『能の愛好者は、新年に初めて観る能公演を初夢と同じくらい重んじている。初夢に富士山などのめでたい物を見ると喜び多い年になると思われるように、新年初めての能鑑賞会では、できるだけめでたい演目を観たいと思うのである』と書いておられます。

 

その代表が能『翁』です。この能だけはシテが面を付けずに登場して、能舞台上で翁の面をつけます。んでもんのすごく乱暴な言い方をすると、『わしゃ神ぢゃ』という意味のことを言って、後は目出度い舞を舞うのですなぁ。『とうとうたらりたらりら たらりあがりいららりどう』は翁の有名な詞章ですが、いまだに明確な意味としては解釈できていません。でもその方が神秘的な感じがしてよーござんす。『翁』は神能に分類されますが、ラモーナさんがご覧になった『佐保山』も神能の一つです。

 

内容は羽衣伝説を下敷きにしています。『藤原俊家が近くの佐保山の上に白い雲のようなものがかかっているのを見て不審に思い、従者とともに佐保山に登る。山の上に着き、白雲の正体は里女たちによって干されている白妙の衣であると知る。(中略)天人が天の羽衣を竿に乾したことからこの山は「さお山」と呼ばれ始めたそうで、その天人は、春日明神の奇特によりこの山に降りてきた佐保姫だという話である。夜になり、都から訪れてきた者たちの前に佐保姫は再び姿を現し、月に照らされながら舞を舞い、めでたい世を称える』(ラモーナさん)という内容です。

 

ラモーナさんは『能が拠り所にする物語は伝説や謂れとして伝わり、または種として歌に宿るものである。能作者はその種を集めて能の言葉にし、舞台の上で花を咲かせる演目を作った。それにより、能を上演するとその花が私たちの目に見えるようになる。伝説から歌へ、そして歌から能へと形を変える物語は、語り続ける私たちを通していつまでも生きていく』と批評しておられます。格調高い公演だったようです。

 

 

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ラモーナ・ツァラヌ 『青い目で観る日本伝統芸能』『No.029 能と物語の生命力―〈佐保山〉』 ■