佐藤知恵子さんの文芸誌時評『No.013 オール讀物 2014年11月号』をアップしましたぁ。今号は「オール讀物新人賞発表」号で榛野文美さんの『花村凛子の傘』が受賞されました。また同時に「新人賞のススメ 小説家になる方法」といふ特集も組まれています。

 

佐藤さんは「新人発掘といっても・・・完全出来高制のフリーランス契約ですわね。・・・文学の世界がアテクシのいるビジネス界と同じ仕組みになれば話は簡単ね。文学作品(商品)の取引というビジネスですから、フランチャイズと同じで商品が売れなければ赤字分は当然作家様(自営業者)の債務よ。・・・そのかわりちょー売れっ子作家になれば、ビジネス界のヘッドハンティングと同じように次に本を出す契約を結ぶ際に、出版社様からインセンティブをいただきたいですわね。商取引ってそういうことよ。アメリカの出版エージェント制などはだいぶそれに近いわね」と書いておられます。

 

ただ佐藤さんは新人の作品が大好きなようです。今回受賞された榛野文美さんには、大衆文学的な要素と純文学的な要素をお感じになっているようです。「大衆エンターテイメント小説という点から言えば、もしかすると「花村凛子の傘」のプロットの立て方には問題があるかもしれません。心理描写に力を入れるのではなく、もっと事件を起こさなければ長い作品は書けない、作品を量産できないのかもしれません。でも作家様の才能は作品が発表される器(雑誌)によって決められるべきではないわね。・・・優れた作品に大衆小説も純文学もないと思いますの。・・・女性作家の先生にはむしろ、殿方作家先生方の社会コードを打ち壊すような作品を書いていただきたいと思いますわぁ」と批評しておられます。

 

先日芥川賞が発表され、久しぶりに大きな社会的な話題になりました。もんのすごく言いにくいですが、日本の〝文壇〟は要するに文藝春秋社さんの「文學界」なのであり、大衆小説直木賞にほぼ直結していると言えるのが、同じく文藝春秋社さんの「オール讀物」でごぢゃる。それは文藝春秋社さんのたゆまぬ努力によって支えられているわけですが、他の文芸出版社がその牙城を崩そうとして、歯が立たなかったといふのが戦後の文壇史だとも言えます。でもま、そろそろオルタナティブな文学スキームが確立されても良い時期だろうといふのが、文学金魚の泳ぎ方なのでありますぅ。

 

 

佐藤知恵子 文芸誌時評 『No.013 オール讀物 2014年11月号』 ■