こんちわーわんわん。りょんさんですー。
また、えらい怒られそうなタイトルだよね笑。だけどさぁ、もしこれが「アイドルに人権なし」だったらどうだろう。ファンとしても、いやむしろファンだからこそ、そりゃそうだと思うんじゃないかな。だって、アイドルは人間じゃないじゃん。かつて南野陽子が言った通り、ウンチしないんでしょ?笑
前回、デヴィ夫人をちょっとだけ擁護したけどさ、つまり芸能界とか水商売とかっていうのは“性”にまつわる幻想、夢を売る商売のわけよ。キャバクラの女の子が身の上話で嘘言ったって、真に受ける方がどうかしてるよね。その嘘に本当らしいという幻想を与えることも含めてテクニックだよ。それを徹底して学ぶのがアイドルにとっての仕事で、ジャニーズ事務所のジュリーさんが言う「努力」なんだよね。南野陽子みたいな賢い人はそれをすべて相対化してみせるわけだ。しかしいつまでもキレイだよね。さすがプロ。
ジュリーさんは記者会見で、ジャニーズ事務所で出世した人たちのことを「努力してきたんだ」と涙ながらに語ったけど、でもさ、そもそも努力してない人なんているかいな。ジャニーズ事務所を早々にやめちゃった人たちも、集まっていたメディアの人たちも、わたしたち一人一人も皆、自分がせいいっぱい努力してるって思ってないですか。ようは一日24時間しかない中で、皆すごく努力をして、ただそれが報われた場合に爆発的な成果が上がるという芸能界には、人に夢を与えるだけじゃなくて、セレブの夢があるわけだ。その夢を目指して「努力してました」なんて、「目も2つあるし足も2本あるし」とか言ってんのとかわんないよね。
YouTubeで、長年被害を受けた挙句、大したオファーもなくて、結局は病んでやめてしまった元ジュニアが、かなり具体的な話をしてた。そんな恨みがましい感じじゃなくて、まぁ、ファンは聞きたくないかもしれないけど、デビュー組は被害を受けてないってことはないんだって。そこに10人で寝てたら10人ともやられるって勢いだったんだって。そういう世界だったからこそ「自分はあれに耐えられなかったから、今こんな冴えない状態なんだ」と思って、ずいぶん悩んだって言ってた。それが実態なんじゃないかと思う。もちろんそれ自体は、大きな夢を目指したけどドロップアウトしたって人が陥る一般的な心情だから、ジャニーズ特有のものではないけど。
まぁ、つまり一般に「枕営業」って言われるけど、その業界に特有の一種の「契約」の側面があったってことだよね。少なくともジャニーさんはそう思ってたんじゃないかな。芸能界にかぎらず似たようなことはよくある。それは今でこそコンプライアンス違反の汚い取引だけど、かつての当事者たちにしたら、それを受け入れたことで、仲間意識、信頼感が生まれたんだって解釈の中で生きてたんだよね。
もっと一般的なことだと、女の人が理由もなく出世を阻まれるってのは、結局、男同士のような腹を割った話ができない、と、男たちが思い込んでるってのはあるよね。色欲がらみの話を受け入れた同士だと、いわば弱みを共有しているわけだから、ビジネスでもツーカーになりやすい。それは日本特有のものかというと、海外でもある。ファッション業界とか、ほぼ性的嗜好を一にしている仲間がギルドを作っているし、とりわけ幻想を売って爆発的な利益を狙うような特権的な世界はそういうことがある。そして、そんなことを受け入れるほど一生懸命なんだ、努力して価値観を理解しているんだという言い方や解釈だってある。
それは旧態然とした忌むべき、汚らわしい契約ではあるけれど、違法ではない。ただジャニーさんのしたことは、契約としてオファーすらされてないよね。女優さんに枕営業を持ちかけるのだって、いきなり手籠めにしたりはしないそうだ。本人が理解できる年齢でもなく、親にも知らせずに行為をして、呆然とした状態で手懐けるなんてのは、犯罪以外の何ものでもない。仮に契約として納得した部分があったとしても、見合ったものを与えられずにキャンセルしたいと思っても、奪われたものが戻ってくるわけではない。傷つけられた肉体と精神は回復しようもなく、ただ今まで積み上げてきたキャリアがなかったことにされるだけ。これは契約としてもあまりに不均衡で、違法といえる。
世界、そして日本の企業はこういった不透明なビジネスを一掃すべく、コンプライアンスという概念を掲げてチェックを厳しくしてきた。だからここへ来てのスポンサー各社の対応は当然というか、ぬるいくらいだと思う。それに対して「切ればいいのか。起用してきたクライアントの責任は」とか言い出すのはまったくわけがわからない。ジャニタレを切ればいいという話どころじゃなくてさ、巨額の損害賠償請求をした上で契約解除だろが。それが世界のジョーシキだ。
そもそもタレントはさ、“自己実現“の場としてよそ様のCMに出る権利があるわけじゃないでしょ。事務所からの仕事としてやっている。仕事が与えられるということは、メリットがあると思う人がお金を出してるってことだよね。そのメリットがなくなった、むしろマイナスになったなら被害が出たんだよ。クライアントこそ「被害者」だ。もしタレントが気の毒だと思うなら、それを心配するのは事務所の仕事だろう。
りょんさんは、もう大昔だけど、ある大企業に仕事に行ってさ、そこの従業員が「薬師丸ひろ子、1億円だって〜」って言ってるの聞いた。もちろん、その広告費全部が薬師丸ひろ子さんの懐に入るわけじゃない。だけど安月給の社員たちからしたら、びっくりするような金額でしよ。企業の経営者が守るべきなのは、この従業員たちのモチベーション、この人たちがそれこそ日々努力をして作り上げた製品でしょ。その製品を皆が知ってくれたら、薬師丸ひろ子さんのおかげで、会社のイメージもアップしたら、そしたら社員も嬉しいから、彼らの血と汗の努力で生み出された1億円を払っている。
クライアントだってジャニーさんの性癖は知っていただろう、って。知るかよ、そんなことって、言いたいと思うよ。だってまともな企業は、いつだって広告どころじゃない。それに割くべき能力や人材がかぎられているからこそ、プロと称する広告代理店や芸能事務所、テレビ局に依頼してるんじゃないか。だいじょぶ〜、とかって売りつけたのはどこのどいつだよ。クライアントを騙しておいて、クライアントに責任を問うなんて正気かよ。
と、まぁ各企業の担当者は、そんなふうに言いたいだろうね。だけどアタマお花畑な消費者やジャニオタのことを慮って、そうキツくも言えない。腸煮えくり返ってると思うよ。結婚詐欺にあった男が、人聞きが悪いからって相手の女を訴えないってこともよくあるけど、かといってその被害者の男に向かって、他人が説教すんのかっつー話だよ。
そりゃね、誰もが知る大企業の取締役のおっさんとか見たら、スゴい力があるような気がしてさ、こんなおっさんが、カワいいジャニタレの〇〇クンを切るなんて、って気持ちになるのはわかるけど。そのおっさんたちはさ、何千何万という社員のことや、彼らが残業して作り上げた製品を守るために、やっぱ必死で努力してきたんだよ。〇〇クンがステージに上がる前にジタバタ練習したり、ジャニーさんに文字通りナメられてもじっと耐えてきたのとおんなじに、頑張ってきたのよ。
そのおっさんが守るべき従業員たちってのはさ、考えてみればわたしたち自身であり、わたしたちのお父さん、お母さんでもあるんだよね。従業員の給与や株主に還元されるべき企業利益から、目の玉が飛び出るような金を払わせたあげく、イメージを上げるどころか妙な評判を立ててさ、それでクライアントにも反省を促すってアッタマオカしい。ほんとにかわいそうなのは誰だよ。事務所のチカラで実物以上の存在に見せられていたアイドルの心配じゃなくて、わたしたちと等身大の、1の努力で1しか返ってこなくても、それで毎日暮らしている人々の立場を考えたらどうかな。それがイヤだから現実逃避させてくれるジャニタレしか見ないようにしてるんだろうけどさ。一皮剥けば、みーんなおんなじ大きさの人間だよ。だから「人権」が問題になるんじゃんか。
自分と同年代のオトコのコの給料なんか足もとにもおよばない大成功だの知名度だのを得るってのはある種、人間離れしたことだよね。その天にも昇る人間離れしたチカラをさ、メディアすら支配下においた事務所が与えてくれるっていうんだから、普通の人の「人権」は手放すんだろうね、ってことだよ。それに対して考える時間も与えず、ただ奪っていったのは紛れもないな犯罪ではある。天皇陛下と芸能人には、普通の意味での人権はない。秋篠宮家の眞子さんは、立場を選ばせてもらえなかったことが辛いって、それはスジの通った訴えではあるよね。ジャニタレだって選ぶ権利はあったわけだけど、天に昇ろうとした者にとってはさ、少なくとも普通の人のようにかわいそうがられるってのは、必ずしも本意ではないんじゃないのかな。
りょん
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