Interview:上田実先生インタビュー(1/3)
上田実:1949年大阪府生まれ。東京医科歯科大学歯学部卒業、名古屋大学大学院医学研究科修了。再生医療の第一人者として知られ、幹細胞の分泌する生理活性物質が組織再生の主役であることを発見。それを含有する培養上清(ばいようじょうせい)液を用いた治療により日本再生医療学会ジョンソン&ジョンソン賞等を受賞。研究論文数は600以上、臨床症例数は100例を超える。名古屋大学医学部名誉教授。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)評価委員長、文部科学省新学術領域研究専門委員会審査員、日本学術振興会科学研究費委員会専門委員、東京大学・ベルゲン大学・ワシントン大学客員教授、その他多数を歴任。
「医学の目的は患者を治すこと」。上田先生の唯一のテーゼだ。我々文学者も生身の人として、癌、アトピー、花粉症など何かしらの患者もしくはその家族であろう。上田先生の言葉は、その患者一般の思いから一歩もずれることがない。インタビューでは、アカデミズムを超越した上田先生の明確な現実感覚と患者への共感性、だからこその世界初ALS症状緩和、末期癌の進行停止、アルツハイマーの回復、重度の糖尿病の改善等へ至った“機序”が明らかにされる。そしてそれを生んだのは、他でもない“芸術への志向”をくぐった“人への愛惜の念”でもある。
小原眞紀子
■培養上清という液体■
小原 文学金魚では主に文化・芸術のジャンルで優れたお仕事をなさっている方々にインタビューさせていただいていますが、コロナ禍でしばらく中断していました。このたび上田先生の培養上清による再生医療研究について、その多岐にわたる疾病への驚くべき治療成果、そこに至る芸術的なまでの創造性、またさらに新型コロナ後遺症等の肺線維化の治癒なども見えてきたことから、フロントインタビュー再開の初回とさせていただく次第です。
受精卵を使って人工的に臓器を作るES細胞や、受精卵を使わずにそれができるiPS細胞の名をよく耳にしますが、まだ実用化には遠いとも聞きます。一方で昔から注目され、すでに実用化されている再生医療がいわゆる幹細胞治療ですね。わたしたちの身体の中にある幹細胞、これが加齢などで減り、自然治癒力が低下する。ならば幹細胞を体外で増やして移植することで、さまざまな疾病を治そうというものです。
そして培養上清とは、幹細胞を培養するときに出る「上澄み液」のことですね。以前は廃棄物とみなされていたそれこそが、実は再生医療の最も重要なキーであった。これが上田先生のご発見です。
難しい話はさておき、読者の皆さんにまずは治療成果を紹介したいと思います。つい先日の六月二十一日「世界ALS/MNDデー」に、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行が止まり、症状が緩和したという先生の臨床試験結果が公開されました。ALSは通常、診断からの余命二年から五年と言われる難病中の難病です。その進行が止まった、症状が緩和したということは、死ななくていいということ、完治すら目指せるということですよね。これまで進行を遅らせることはできても、ALSの進行停止・症状緩和が確認されたのは世界初です。まずはこのALSの治療成果をもって、培養上清がどういうものか、なぜ効果があるのか、わかりやすくご説明いただけますでしょうか。
上田 医療が発達した現在でも原因不明で治らない病気がたくさんあります。例えばアトピーや花粉症。医者は原因がわからない病気があると、だいたいステロイドを投与するんですね。わたしたちが使っている培養上清もステロイドに非常に近い効果があります。ただ、違いはステロイドのような副作用がないことです。いくら培養上清を投与しても、それが莫大な量であっても、副作用は出ません。
小原 なんと。いきなり素晴らしいですね。
上田 病気というものは、なかなか難しいものです。例えばある時から右足がちょっと痺れるようになった、ゴルフをやっている時に突然腰が痛くなって立ち上がれなくなったというようなことがしばしば起こりますね。因果関係があまり思いあたらない痛み、病気の症状です。
小原 痛みは辛いです。原因がわからなければ不安でもありますし。
上田 夏樹静子さんが『腰痛放浪記 椅子がこわい』という本を書いておられますが、ものすごい腰痛で悩まれた。日本中の整形外科や神経内科を回っても治らない。自殺まで考えたそうです。そこまで追い詰められたけど、原因はどうやら心の病気だったらしい。それがわかってから治療法を変えて、うそのように腰痛が治った。
小原 心因性の腰痛、って聞いたことあります。売れっ子の作家さんは特にストレスが多そうですね。
上田 そういうこともありますから、世の中の病気は、わたしたちが考えているような理屈の通ったものばかりではありません。そこに怪しい医療がはびこる余地も生まれてきます。だからできる限り理論的でありつつ、多くの臨床研究から導き出した方法を学会などでいろんな批判を受けた結果、八割くらいの確率で治る、というものでないと一般医療には持っていけません。
小原 上田先生のご研究が画期的なのは、実際に人体に移植するには血栓、がん化やコストの問題がある細胞移植ではなく、幹細胞が生産する生理活性物質を含んだ培養上清という「液体」を人に投与することで病気を治療したり、予防したりできるという、美しいまでにシンプルなところだと思います。
「幹細胞から発生する培養上清液」をつかった次世代の再生医療
幹細胞を移植しないので、血栓やがん化のリスクがない。
■世界初のALS症状緩和■
上田 わたしがALSの治療を始めたきっかけは、まったくの偶然です。そもそもALSの治療は神経内科の仕事で、その先生たちが一生懸命ALSの治療法を探っておられた。ところがあの病気は原因がまったくわからない。だからほとんどの薬物療法、幹細胞治療がほぼ完敗といっていい結果になっていたんです。
そんな中、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の阿部康二教授と山下徹講師、東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授の共同研究グループがマウス実験で、Muse細胞を投与すれば症状進行抑制効果があると発表されました。ステミラック注®(骨髄幹細胞)でも脊髄損傷が治るという発表がありましたが、臨床経過を追うと、非常におかしなことになっています。NHKで大々的に番組が作られたりしましたが、その後、ステミラック注®による脊髄損傷治療は確固とした治療方法にはなっていません。その責任はどうなるんだろうか、という気もしますね。
小原 幹細胞治療でよく言われる「闇」の部分ですね。それについては、ぜひ後ほど詳しくお聞かせください。
上田 わたしとALSとの関わりは、はじめは動物実験でした。二〇一〇年以降われわれはほとんどの難病に対する培養上清の効果を網羅的に調べていましたから、ALSに対する効果も調べたのです。ALSに近い症状を持っているモデルマウスで実験しました。このマウスに培養上清を投与してみたら症状が改善した。そういう動物実験の結果は持っていたんです。
小原 マウスでの実験結果が、すでにあったのですね。
上田 はい。ただ、わたしも最初はALSという病気についてよく知らなかったのです。ところが神経内科の先生方に言わせると、「ALSに関してはわれわれは教導師のような役割だ」、と。つまりまったく打つ手がない。やれることは「死の宣告」だけだと。それほど深刻な病気だったのです。あるとき知り合いの方からALSの患者さんを紹介されて、じゃ、一回診ましょうということになって患者さんが来られましたが、想像を絶する状態でした。藁にも縋る思いで来られたわけですが。その患者さんに「ヒトでの効果はわからないけど、培養上清は副作用がないから、挑戦しましょう」ということで始めたんです。すると一週間も経たないうちに嚥下ができる状態にまで改善した。わたしたちもまったく想像していないことでした。
小原 それは世界で初めての治療成果ですよね。
上田 そうです。ALSの患者さんについては、指がちょっとでも動けばいいな、ぐらいでしたから。これまでのALS治療では、進行速度を緩やかにするくらいしか期待できなかったですから。
小原 ご本人もご家族も、どれほど喜ばれたか。ALSは、それが辛いところでもありますが、どんな状態でもしっかり意識がありますし。
上田 そのALS患者さんは、ある会社の社長さんから紹介されたのですが、紹介した方ですら「どうせダメでもとにかくやってください」という感じでした。
小原 いわゆるダメもとで、がんがん投与されたのですね。
上田 正確にいうと、わたしたちは培養上清の大量投与に関するデータを持っていました。重度の糖尿病の治療を中国でやったとき、かなりの量の培養上清を投与して、安全性を確認していたのです。そのときは、あまりの大量投与に、これは何か起きるかもしれない、と皆で徹夜で観察していました。悪い意味でね。でも悪影響はまったくなかった。それでちょっと自信をもっていました。
小原 つまり何か困ったことが起きるとしても、せいぜい「効果がない」ぐらいだと。
上田 もちろん、そのALS患者さんに培養上清を投与するときは、ちゃんとバックアップ体制を取っていました。近所の大学病院と連絡を取りながら始めたのです。そしたら数日後に患者さんのご家族が動画を送ってこられて。首や足が動いている動画でしてね。
小原 それはまったく普通じゃないですよね。いい意味で。
上田 はい。医学的には大成功でした。ただ費用の問題はのこっていました。世界初の臨床試験は皆さんの善意がたまたま集まって可能になったのです。お金を出してくれる善意の方がいて、患者さんの負担なく治療をやってください、と言ってくださったり。皆さん何かを狙っていたわけではなく、ただ新しいことをやりたい、困っている人を助けたい、という気持ちが集まって実現した臨床試験です。
そのALS患者さんは、68歳のご高齢でかつ重症度5という一番重篤な状態の方で、もの凄いスピードで症状が悪化していました。それが培養上清を投与すると、全身の強直がとれて足や首が動かせるようになった。
【ALS 重症度5 68歳 男性】初診時、四肢に強度の痙縮がみられたが培養上清の点滴治療で強直の緩和と首・足関節の随意運動が回復した。
小原 科学に違いないのですが、奇跡に思えます。
上田 この動画は先ほどお話をしたALSのモデルマウスです。治療前はほとんど動きません。人間のALSとほぼ同じです。このマウスに、尾静脈から培養上清を投与しました。するとこのように動くようになった。この結果があったので、人間の患者さんに培養上清を投与する臨床試験を行えたわけです。動画が一番わかりやすいですね。この動画の患者さんは5例目のかたで、はじめALSスコアが17点の完全介護の状態でしたが培養上清を投与すると寝返りが打てるようになった。それだけでも褥瘡(じょくそう)がだいぶなくなった、と言っておられました。点滴8回目にはALSスコアが24点に改善されました。こういった改善例自体がALSではないのです。ALSの患者さんは一般的には、もう死ぬしかないという状態になります。進行が止まって、なおかつ症状が改善するということはALS治療ではかつてなかったことです。培養上清治療で治癒の可能性が生まれたことはALS患者さんにとって朗報です。わたしたちは脳梗塞やアルツハイマー、ALSの治療を行っていますが、どれもこれまでは、ほぼ治らなかった病気ばかりです。
小原 やっぱり現代の奇跡かも。神さまっているのかな…。
上田 いえいえどれも科学的に説明がつく結果なので奇跡ではありません。ただALSという病気に対して、社会がだいぶ関心を失っていますね。アイスバケットチャレンジ運動(ALS研究支援のためにバケツに入った氷水を頭からかぶるか、またはアメリカALS協会に寄付をする)が盛んだった頃は、関心が集まりましたけど。本格的にALS患者さんを支援するなら培養上清を保険適用のできる承認薬にするか、国が特別枠を作ってALS患者さんを保護するかしかないでしょうね。お金儲けの上手な人が税金で取られるくらいならALS基金を作ります、というのもいい。
小原 ALSと言われても、ピンとこないという人もまだ多いですね。ホーキング博士のご病気、と言えばわかるでしょうか。ホーキング博士はなぜか、それこそ奇跡的に長生きされましたが。
上田 わたしたちの最初のALS患者さんの奥様がとても聡明な方で、ある意味腹をくくっておられて、「この臨床結果を世の中に出してください。それがわたしたちの役目です」とおっしゃってくださった。そこでプレスリリースしたら興味を持った患者さんがもっと来てくださるだろう、あるいは企業や国も応援してくれるかもしれないと思って、論文を投稿するタイミングでマスコミ発表をしました。実際、すごい数の患者さんが来られました。残念ながら重症の方全員を治療することはできないから、第二弾として、わりと軽症で若い方を十二人選んで治療を始めました。重症の方の約半分の量の培養上清を投与したんです。そうすると、重症の方よりももっと症状が改善されました。
小原 やはり若かったり、初期の症状だったりすると再生力が強いんですね。
上田 そうですね。実際のALSの患者さんは軽症や中等症の方が多い。だからこれは、社会を動かす力になるかもしれないと思ったんです。なぜ社会を動かさなければならないかと言うと、最初の重症患者の方のように、皆さんの善意でお金を集め、設備を用意していただいて、といったかたちでは、一点突破はできてもやはり限界があります。ALSの患者さんは日本では一万人近くいらっしゃいます。世界では四十万人くらいです。その全員が多額のお金と設備を使う治療を個人の善意だけで受けられるわけがない。培養上清はまだ未承認薬ですが、大勢の患者さんの治療を可能にするには、国民全員で支えなくてはいけない。培養上清を承認薬にして保険の中に組み込まなければなりません。そうすれば、すべての患者さんを治療してもたいした金額にはなりません。
小原 軽症のうちに治療効果が上がれば、医療費はさらに安くなりますよね。
上田 ALSの患者さんは、たいていご家族の方が家庭内介護をなさっています。ほとんどの場合、孤立無援状態です。これを改善するには世の中に訴えかけるしかない。そして行政や製薬企業を動かすしかありません。培養上清は認知症にも効果があります。しかも認知症の数はALSよりはるかに多い。治療方法を確立して、それを日本から世界に発信すればそれによって日本人の志の高さを世界に示すこともできるのではないか、と思うのです。
小原 日本の医療行政が変わりますね。
上田 培養上清を使った治療では、ALSの軽症、中等症の方ならめざましくよくなります。介助なしに歩けなかった人がひとりで歩けるようになるなど、目に見える形での結果が出ています。今後は世の中に訴えて、皆さんの共感を得て、国を動かしてみたいな、と思います。
■その他の治療法と展開スピード■
小原 培養上清治療は、本当にエキサイティングなところに来ていると思います。
上田 事前にいただいた小原さんのメモに、Muse細胞、ステミラック注®、それといわゆる「妖精の粉」にも興味があると書いてありましたね。これらは実は全部同じものです。わたしがやっているものと基本は同じなのです。少しずつ研究が進んでそれぞれの作用機序が解明されてゆくと、実は皆、同じものを見ていたんだということになるでしょう。いずれも新しい治療法ですね。
小原 なるほど。ただ原理が解き明かされるまで、患者さんは待ってられないです。
上田 学者の世界では論文を書いてそれだけですみますが、世間一般の方に対してはマスメディアを通してお話をしなくてはなりません。データもきちんと公開して。その治療結果を知っただけでも、治らないと思っておられる患者の方々には希望になります。京都でALS患者さんの安楽死事件がありましたでしょう。ALS患者さんは絶望的になって、あの方のような心境になりやすいようです。
小原 わたしの伯母もALSでした。食べられなくなってから、娘に迷惑がかかるからと、胃瘻(胃への栄養チューブ挿入)を拒否したと聞きました。緩慢な自殺だと思います。その夫である伯父は、九州で知られた公害病の患者さんたちのために戦いました。弟であるわたしの父と違って(笑)人格者でしたが、アルツハイマーを患いました。もちろん、人はいつかは死ぬんですが、もうちょっとなんとかならなかったか、と思うことがたくさんあります。
■アルツハイマー治療の劇的成果■
上田 二〇一九年の11月に、コロナが拡大する直前でしたが、わたしは東欧のセルビアという国に、アルツハイマーの培養上清治療のために行きました。いろいろ経緯があって招聘されたのですがそれはいわば、国家ぐるみで公開実験しろ、という申し出のようでしたので、正直、最初は躊躇しました。ウィリアム・テルが、自分の息子の頭の上に置いたリンゴを射貫け、と言われた物語を思い出したぐらいです。
小原 それも思い切ってなさったら、よい結果を得られたのですよね。
上田 はい。みごとに矢がリンゴに当たりまして、いっぺんに培養上清の信用ができました。いまもEUでの承認にむけて準備が続けられています。
小原 アルツハイマーを始めとする認知症に顕著な効果があるとなると、我が国も放っておかないでしょう。
【アルツハイマー病の改善 セルビア 76歳 男性】家族の顔すらわからなかった患者のMMSEスコアが、培養上清の点鼻投与だけで13点から20点に改善した。
上田 国を動かすのは世論しかないです。認知症の介護がどういうものか実態を知っていただきたい。例えば身内がアルツハイマー病になったら、ALSと同様家庭で介護するケースが圧倒的に多いです。娘・息子や奥さんが介護するのです。そうするとご家族は仕事もできなくなります。しかし病気が少しでもよくなれば、介護の負担はぐんと減って働きにでることができます。その分、国の生産性が上がることにもなるわけですね。
小原 培養上清治療はそういう可能性を持っているのですね。
上田 ぜひ皆さんにもっとこの治療の効果を、費用対効果という面でも考えていただきたいですね。
小原 そうなると国家財政的にも、介護費用を始めとする医療負担が大幅に減ります。
上田 再生医療の世界では幹細胞治療から、培養上清治療のような幹細胞を使わない治療に流れが移ろうとしています。ただ医療の実用化となると、基礎研究、臨床研究、そして医薬品の開発の順番です。現場はようやく臨床研究がはじまったところで、まだ医薬品開発までは行っていないですが。
小原 YouTubeでは、「幹細胞治療は直に移植できるから効果的だ」とか、「自分の幹細胞を使うからこそ安全だ」といった医院などの広告動画が見受けられます。そういったものには、時間稼ぎを疑われる節もあります。いずれは培養上清を使った治療、幹細胞を使わない手法に移行したいと思っていても、すでに幹細胞培養の設備投資をしているし、これまでのコストを回収するまでちょっと待ってくれ、みたいな。でもやはり患者さんには時間がありません。
上田 培養上清治療の現状について、あまりご存知ない医院の方たちなのかもしれませんね。それに誰だって、自分がやっていることは正しいと思いたいわけですから、それはそれでしかたないのかもしれないと思います。ただ医療は、科学的事実と臨床の結果だけ、つまり患者さんが治ったかどうかがすべてなので、自分が信じてるからといって間違ったことを言ってもらっては困ります。培養上清治療の是非については、いずれ臨床成績に沿った評価が出るだろうと思います。具体的に、わたしのパソコンのデータを見ながら少し説明しますね。
■幹細胞はいらない■
上田 わたしが広義の幹細胞治療で、幹細胞自体がいらないんじゃないかと思い始めたのは、動物実験をしていたときです。動物の骨に穴を開けて幹細胞移植をしていたのですが、幹細胞の量を多くしても少なくしても骨の再生量はあまり変わらない。どうしてだろう、ということになりますよね。どうやら幹細胞は主役じゃないぞ、という考えになっていった。じゃ、それ以外の何があるのか。医局で一緒に研究している人たちと話していたら、どうやら幹細胞が何かを出しているらしい。ケミカルメディエーター(生理活性化物質)ですね。それを調べようということになった。
【培養上清液の中のケミカルメディエーター】幹細胞はサイトカイン、成長因子、細胞外マトリックス、細胞外小胞(エクソソーム)などのケミカルメデイエータを分泌している。それらは培養上清に中に蓄積され、さまざまな再生現象に関与している。
生体の再生現象はこれらの幹細胞由来のケミカルメディエーターによって調節されている。
上田 幹細胞は非常にたくさんのケミカルメディエーターを出しているんです。その中のひとつにエクソソームという、脂肪の膜につつまれたカプセルみたいなものがあります。この中には遺伝子の断片なんかが入っています。このエクソソームが別の細胞に入り込んで、そこでサイトカインだとかタンパク質を作って、その細胞の働きを変える。われわれはサイトカインに注目していましたが、幹細胞がエクソソームやサイトカインを何千種類も出すことがわかった。極めて微量なサイトカインが何千種類か、それが一緒になったときだけ治療効果が上がる。
小原 不思議なものですね。
上田 ただサイトカインをいくら分析しても、それさえあれば十分というキーファクターがわからない。
小原 漢方薬もキーファクターや機序がわからないまま、効果が認められてますものね。
上田 アメリカでは、先ほどの「妖精の粉」が話題になりましたね。誇張された報道でインチキじゃないかとも言われましたが、指先を切断した男性が「妖精の粉」と言われる特殊な粉末を振りかけることで、元通りに指の組織が再生したんです。
小原 衝撃的でした。外科医が失職しそうで(笑)。
上田 あれは指先の皮膚の再生に成功したのであって、骨まで再生できたのではありません。つまり「妖精の粉」は、人間の自然治癒力を活性化させる触媒ですが完全ではない。妖精の粉は細胞外マトリックスというものなんですが、これが「粉」みたいな状態になっている。
あの当時は細胞外マトリックスだけを研究している人もいたし、わたしたちみたいにサイトカインだけに注目している人間もいた、またシンガポールのグループなんかは最近流行りだした細胞外小胞(エクソソーム)を使った研究を始めていました。ただ、どうやらこれら全部が培養上清の中に入っているとわかってきた。つまりサイトカインにしろ、細胞外マトリックス、また細胞外小胞にしろ、これらを取り出すには培養上清を使うしかないと。
小原 照準が絞られましたね。
上田 しかも、ただ一つのキーファクターだけでは治療効果が上がらない。培養上清の中に含まれるものの総合力で治療効果が上がると、わかってきたんです。そこで、何か一つの成分で治療効果を上げるのではなく、培養上清を未精製のまま活用しようということになった。
するとALSのように、一種類の物質からできた薬剤ではそれほど治療効果が上がらなかった難病が、培養上清まるごとの投与で症状が改善してしまった。
小原 まず治すことが先行ですね。
上田 はい。副作用がなく、ヒトで効果があることをまず確認して、その結果を踏まえて、もっと濃度を上げるなり、まだ若くて快復力がある患者さんに投与するなり、投与頻度を上げるなりして、完全回復まで持って行けるんじゃないか、ということで今、臨床試験を行っているところなんです。
小原 ALSの完全回復の例が出てくれば、希望がすごく膨らみます。
■ALS治療の投与量・濃度■
上田 最初の臨床試験では最も重症の方に、一回の点滴で240ミリリットル投与したんです。それを若い患者さんでは150、120ミリリットルに減らしたんです。するとどうやら150ミリリットルくらいに境界値があるようで、それ以下の投与量だと効かないんです。培養上清は市場では1ミリリットルあたり約五千円から一万円です。すると150ミリリットルでは一回の投与で七十五万円とか百五十万円になってしまう。これは個人では負担が難しいでしょう。そこはやはり国なり団体が援助しなければならない。そうするには、わたしたちのようにデータを持っている研究者が、そのデータを公開して皆に知ってもらう必要があります。
小原 数字、特に境界値が見えてくると、がぜん現実味を帯びます。
そういえば、Amazonで先生のご著書『驚異の再生医療』と並んで表示される、他の先生の本も読みました。幹細胞移植をされている先生ですが、「最近は培養上清も試みているけど、どうやって濃度を上げたらよいかわからない」と書いてありました。上田先生のところでは、培養上清の濃度を上げる確立された手法はありますか?
上田 ございます。簡単です。遠心分離機を使うんです。遠心分離機を使うと分子量の大きい細胞を弾くバンドが出てくるんです。それを活用して培養上清の濃度を上げます。
小原 量と濃度が数値化されれば、あとはやるだけですね。
上田 十人の患者さんに投与したら、だいたい八人には効果が出るというところを目指しています。そのための適正濃度はたぶんあるでしょうね。
小原 万人に効く、とは言い過ぎですが、患者さんの体内の幹細胞を活性化し、自然治癒力を引き出すとなると、これまでピンポイントの薬しかなかった難病にいろいろと効きそうです。
■新型コロナ後遺症・間質性肺炎■
上田 これは間質性肺炎の画像です。肺の壁が厚くなって呼吸困難になるという病気です。肺の細胞が線維化するんです。
小原 新型コロナ、COVIDー19の深刻な後遺症として知られていますね。
上田 線維化というのはコラーゲンがバンドを作って、細い線が束になって固い腱のような状態になることです。見た目は腱のようですが、硬い組織が肺に出来てしまってガス交換しなくなります。その線維を作る物質がありまして、α―SMAという蛋白質です。これが増えてくると肺が線維化する。この線維化のメカニズムはほぼわかっていまして、人間の身体のどこででも線維化が起こる。皮膚でも脳でも、あらゆる組織で起こる。つまりα―SMAという蛋白質を解毒してしまえば治療できる、ということになります。これの拮抗薬のような作用をする薬が見つかればいいわけです。
小原 線維化が元に戻るなんて驚きです。固くなって、そのまんまなのかと。
上田 線維だってずっと同じ状態であるわけではないですからね。代謝しているのです。石と違って物理的に同じではなく、生きているのです。血管もあれば、柔軟になるときもあります。このα―SMAをブロックできればいいわけですが、その作用が培養上清の中に含まれています。いったん固くなった組織でも、その固くなった程度はKL―6というマーカー値があるんですが、それをずっと調べてゆくと変動している。その変動を見ていると、培養上清を投与した患者さんはどんどんKL―6のマーカー値が下がってゆく。
【間質性肺炎の治験例 コロナ性肺炎後遺症 70歳 男性】肺の線維化がすすみSpO2<90%, 肺の線維化の指標であるKL―6が2000をこえていた。ネブライザーによる培養上清の吸引と点滴治療によりKL―6は正常化した。
小原 なんと。それも世界初ですね。
上田 線維化は厄介な疾病ですが、α―SMAを解毒してしまえば線維化しないということです。わたしのところで臨床試験をした患者さんは、KL―6のマーカー値を3年以上追った上で、培養上清を使い始めました。するとマーカー値がグンと下がった。その方は歩くのも困難でしたが、今は普通に生活しておられます。
小原 もう新型コロナも怖くない(笑)。
上田 ECMO(エクモ・体外式膜人工肺)を使っている人が、それなしで治療できる可能性があります。COVIDー19に感染する前に処方しても効かないが、感染して線維化した肺を元に戻せる効果があります。
小原 素晴らしいですね。それも点滴だと、簡単ですね。
上田 点滴もやりましたが、培養上清を霧にして鼻から吸い込んでももらいました。細胞ではそういうことはできませんが、培養上清のような液体なら可能です。難病と言われる病気はいろいろありますが、大なり小なり強い炎症が起こっています。培養上清治療はそれを抑えてしまうという効果は共通しています。
小原 自己免疫や炎症が関わっていて、今のところ特効薬がない病気に対する希望が持てますね。しかしさらにご著書には、脳梗塞にも効果がある、と。
■脳梗塞の回復■
上田 これは脳梗塞のラットです。脳梗塞になると血管が詰まってしまい、脳に血液が行かなくなります。するとラットは動けなくなる。ちょっとは動きますが、このダンボールの外には出られなくなります。人間の脳梗塞の症状とほとんど同じです。このラットに鼻から培養上清を吸わせると、それだけで普通に動くようになります。
【培養上清による脳梗塞の治療】運動ができなくなった「脳梗塞のラット」に1日0.5mlの培養上清の点鼻投与をおこなうと15日目には正常化した。
小原 鼻から吸わせて効果が出るまでに、どのくらいの時間がかかるんですか。
上田 この実験では十五日かかっています。
小原 毎日吸わせるのですか。
上田 はい。動物実験では1日1回ですが実際は何回やってもかまいません。患者さんには、できるだけ多く吸い込んでください、と言っています。それで、培養上清の濃度を上げてゆくと、どんどん脳梗塞の部分が小さくなっていくんです。
【培養上清による脳梗塞の治療】脳梗塞ラットに培養上清を静脈内投与すると「濃度依存的に梗塞部が縮小」した。培養上清が薬剤として働いていることを示唆している。
小原 数値化されている実験は説得力がありますね。
上田 このように濃度依存的に治療効果が上がるのは、薬物が治療効果の主役である場合の特徴です。幹細胞の場合、一億個投与したらちょっと回復した、という効果が得られたとします。じゃ、それを十億個にしたら十倍の効果が上がるかというと、そうではないんです。なぜかと言うと細胞は小さな物体なので、たくさん移植しても塊になってしまい真ん中の方の細胞は外側に効果を与えられない。そういう意味でも幹細胞は不利です。
小原 培養上清のように液体なら、拡散したり、薄く流れていったりできますね。
上田 この方は脳梗塞で倒れられたんですが、完全に意識を失っていました。この動画のように鼻からカテーテルを入れていますが、その尖端に小さな孔がたくさんあって培養上清が霧になるんです。鼻腔の一番奥に脳と通じている部分があって、そこから培養上清が脳に届きます。この方はどんどん良くなっていきました。動物実験ではすでに脳梗塞は改善していたのですが、初めて人間で臨床試験をやったときは、そこまでの結果が出るとは誰も思ってなかった。この方は最終的には歩くことができるようになった。
【培養上清による急性脳梗塞の治療① 56歳男性】
意識消失 右半身まひ 標準治療とともに培養上清の点鼻投与が行われた。カテーテルを鼻腔に挿入している。
【培養上清による急性脳梗塞の治療② 6か月後】培養上清の点鼻投与によって後遺症はなく、運動機能は完全に回復した。
小原 脳梗塞を起こしてすぐの方が、やはり効果があるんでしょうか。
上田 そうですね。ただ急性期だと治療効果が、培養上清のせいなのかどうかわからない、ということにもなります。軽い脳梗塞は自然治癒することもありますし、他の薬も使いますから。もちろん治療という面では、培養上清治療は脳梗塞の急性期、救急病院に運ばれた直後に施すのがいいと思います。培養上清治療が効くかどうかを検証するには、慢性期の患者さんに投与する必要があります。
小原 父にやってみたかった…。
上田 この方は慢性期の女性の患者さんで、左側の脳梗塞ですから、身体の右半身が動かないんです。脳梗塞を起こしてから二年半経過して、動画撮影はご主人ですが、もうリハビリもやめてしまっておられた。この患者さんのように、症状が固定してしまった状態で臨床試験するのが一番効果がわかりやすい。この患者さんにも培養上清を鼻から投与したんですが、最終的には車椅子を離脱された。脳梗塞はご家族が介護することが多いですから、その負担が社会的な大きな問題になっています。患者さんが車椅子から立ち上がって歩けるようになっただけでも、ご本人はもちろんハッピーですが、ご家族も負担が減るわけです。
小原 培養上清の濃度を濃くすれば、もっと状態の悪い患者さんにも効果が上がるかもしれませんね。後はコストの問題ですか。
上田 そうですね。科学としてはもう成り立っていますから。あとはコストの問題です。
小原 もっとポピュラーな病気に援用すれば、広く知られるのではないですか。
上田 わたしはやっていませんけど、更年期障害、男性も女性も更年期障害がありますが、それにも効果があります。培養上清を点滴するだけで、さまざまな症状がなくなります。
■進行癌の回復と癌の予防■
小原 癌はどうですか。
上田 癌に関しては標準治療があります。放射線治療などを行って、それで効果がなければ培養上清治療をやる、というのは今、行われています。
小原 癌細胞を攻撃するNK細胞、というものがあるそうですね。
上田 NK細胞は、これまで点滴で細胞移植をしていたんです。この治療も三百万円くらいかかるんじゃないでしょうか。
小原 これも培養上清が取って代わることができるのですね。
上田 このラットには、人間の扁平上皮癌を埋め込んだんです。何もしなければ癌がどんどん大きくなっていきます。最終的には癌が大きくなってマウスは死にます。こちらは扁平上皮癌を埋め込んでから三十五日目の状態です。しかし培養上清を与えると、癌は大きくならない。癌自体はなくなりませんが、大きくはならない。すると、癌もそんなに怖い病気ではなくなりますね。
【ナチュラル・キラー細胞の培養上清(NKCM)によるがん増殖抑制】マウスにヒトがん細胞を移植して15日目からNKCMを注射したところがん増殖は停止した((下段右)。しかし生理食塩水を投与した対照マウスではがんは増殖をつづけ(下段中)死亡した。
実際の患者さんにも臨床試験を行いました。この方は五十三歳の女性で乳癌です。この面積は免疫能を示しているんですが、培養上清を投与すると、それが上がります。この患者さんは末期癌の状態でいらっしゃったんですが、標準治療をさんざんやられて、しかし効果がなかった。そうなると悪液質といって癌特有の末期症状になるわけですが、培養上清を投与したら、そうならなかった。体重も変わらなかったし食欲もあった。QOL、生活の質を維持したまま癌と共存された。培養上清は副作用がないですから、考え方としては癌と共存して生命を維持していける、ということになります。
【乳癌ステージIVの患者さんの培養上清治療 53歳女性】
4回のNKCMの点滴治療で免疫機能の著明な改善がえられた。
小原 癌の標準治療とフレキシブルに併用して、培養上清で手術できる状態にまで持って行くとか、あるいは予防的に使う、というやり方もありそうです。
上田 予防的に使うことはできるでしょうね。今は「癌のリスク何%」と、遺伝子診断ができる時代です。ハイリスクの方が予防的に培養上清を使う際には、もちろん気分的な安心だけではなく、免疫機能のデータをちゃんと取る必要がありますね。
小原 怖い病気が一つずつ減っていきます。
■画期的な治療実績・慢性リュウマチ■
上田 これは慢性リュウマチの患者さんですが、培養上清の点滴治療によって、指が真っ直ぐになるほど回復なさいました。慢性リュウマチというのは、軟骨がなくなってしまうんです。関節のところで指が曲がるんですが、その軟骨がなくなってしまう。それが再生したんです。
小原 なくなった軟骨が再生した、というのはすごいですね。
上田 この画像がそうですが、青いところが軟骨です。慢性リュウマチで軟骨がなくなると、ギザギザの画像に写って見えます。関節軟骨が断裂しているんです。それが連続して正常な軟骨になった。少しでも軟骨が残っていれば、それが再生して正常な軟骨に戻る、という仕組みです。
【培養上清のよる関節リュウマチの治療 60歳女性】リウマチ症状が膝関節に発症した場合には培養上清の関節腔内注射を行う。手指関節に発症した場合には静脈内投与を行う。写真の症例は、治療前関節の変形・疼痛がみられたが点滴治療4回で関節の変形が修復され疼痛もほぼ緩解した。
小原 再生の元となる軟骨がまったくない、という状態の患者さんはいますか。
上田 それはほとんどいないです。慢性リュウマチの患者さんは、意外なほど簡単な治療で済みました。点滴しただけですからね。
小原 あっけないくらい…新しい薬ができたときって、そんなものかもしれません。
上田 この方は女性のハーブ奏者で、人工関節を入れろ、と言われたそうです。かなり初期の段階でしたが、それじゃ一回、培養上清の点滴治療をやりましょう、ということに。そしたら、ほぼ治ってしまった。
小原 さぞ嬉しく思われたでしょうね。ハーブ奏者でしたら指がいのち…。
■アトピーの治療実績■
上田 だから非特異的な炎症を抑えられるのだったら、ステロイドを使わないで、培養上清治療を施してみればいいと思います。アトピーもそうです。子どもさんのアトピーなんか、かわいそうですものね。
小原 副作用がなくてアトピーが治るなら、親御さんの目の色が変わりそうです。
上田 この画像はマウスの耳です。こっちは正常な細胞、こっちは病気を起こした細胞です。病気を起こした細胞に培養上清を入れると、色が少し薄くなります。画像の紫色の点々が炎症細胞で、ブツブツが多いところが炎症が強く起こっている箇所です。それを培養上清の投与でノーマルに近いところまで治療できる、という実験結果です。実際にアトピーの患者さんにも投与してみたんですが、痒みが一番消えるんです。
【アトピー性皮膚炎に対する培養上清の効果・動物実験】マウスの耳朶に過酸化酸素水を塗布して「アトピー性皮膚炎」を発症させる。皮膚は発赤し、アレルギーのもとになる肥満細胞が増殖する。しかし培養上清(SHEDCM)を塗るだけで、発赤は消退して肥満細胞の数も減少する。
小原 それはいいですね。アトピーで一番辛いのは痒みですからね。その他にも免疫の過剰反応で起こる病気って、意外と多い気がします。
上田 多いですね。原因がわからなかったら免疫を調べろ、と言いますもの。花粉症にも培養上清治療は効果があります。培養上清の中にはエクソソーム、サイトカイン、細胞外マトリックスの三つが発見されていて、それぞれが共同作業をして炎症をとる。簡単に言うと、そういうことです。ただ炎症をとるだけならステロイドと変わらないんですが、原因を取り除き、正常な細胞を再生させるところが培養上清の特徴です。
小原 すなわちいくら与えても安全な、自然治癒力を高める治療、ですね。
上田 自然治癒ができなくなるのは、人間の身体の中の幹細胞の数が減るからです。幹細胞が完全になくなってしまうことはないですが、幹細胞が出している物質が減ってしまうので、自然治癒力が低下する。その幹細胞が出している物質を培養上清で補填する、ということです。
(上編 了)
〈次回、中編では培養上清のさらなる安全性、それと比較される幹細胞治療の「闇」についてお届けします。〉
患者様等の培養上清治療に関するお問い合わせ先:
株式会社 再生医学研究所 https://saisei-ken.com/contact/
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