
ピー子 ふう、12月の寒さよ。外はもうクリスマスツリーの光がチカチカしてるのに、私の心はまだ11月号の余韻で温まってる。今日は『群像』の最新号、2026年1月号よ。発売は12月5日。講談社から出てる老舗文芸誌で、1948年に創刊されて以来、純文学の最前線を切り開いてきたのよね。芥川賞受賞作の発表舞台としても有名で、毎月のように新鋭から巨匠までが集う、文学好きの聖地みたいな存在。あなたはいつから読んでるの?
ヨミ太 金魚文学の古株として、僕も『群像』は欠かさずチェックしてるよ。僕はまあ、文学畑を転々としてきた無頼漢だからね。『群像』は特に、実験的な短編やノンフィクションのバランスが絶妙でね。今回の1月号は新年短篇特集が目玉だよ。さっそく目次を広げてみようか。まずは「文×論。」のコーナーからだけど、これは毎号の論評や対話の総称かな。深い議論が詰まってそう。
ピー子 ええ、そうね。特集のトップは【新年短篇特集】。新年の幕開けにぴったりな短編6作が並んでるわ。まず「時のみ正しく滴る」井戸川射子さん。彼女は1980年代生まれの気鋭の作家で、日常の微妙な時間のずれを描くのが上手い人よ。デビュー作『空白の街』で注目されて、芥川賞候補にもなったわ。きっとこの短編も、時計の針が心の隙間を突くような話ね。
ヨミ太 次は「外野自由」尾崎世界観さん。尾崎さんは1979年生まれの小説家で、元バンドマン出身の異色ぶりが魅力。『ビブリア古書堂の事件手帖』でブレイクしたけど、実はロックと文学のクロスオーバーが得意だよ。このタイトル、外野から見る自由な視線が、野球場みたいな人生のメタファーかな? 読むとリズムが心地いいはず。
ピー子 続いて「白く長い坂」黒井千次さん。黒井さんは1949年生まれのベテランで、純文学の重鎮ね。『白昼の死』で読売文学賞を取った人で、静かな情景描写が詩的。雪の坂道を登るような、孤独の白さが想像できるわ。次、「だれかさん」佐伯一麦さん。1961年生まれのミステリ寄りの作家で、『オレたちバブル入行組』で直木賞候補に。誰かさん、って曖昧な呼び方が、現代の人間関係のぼんやりさを表してるのかしら。
ヨミ太 「G(h)etto」豊井浩平さん――あ、豊永浩平さんね。1990年代生まれの若手で、都市の疎外感を鋭く描くタイプ。ゲットー(ghetto)の綴りが揺れてるのが、アイデンティティの揺らぎを象徴してるよ。最後に「本当なら」中村文則さん。1985年生まれのホラー・ミステリ作家で、『土』で芥川賞を取った異才。この短編、ifの「本当なら」が心に刺さりそう。特集全体で、世代を超えた多様な声が響き合ってるね。
ピー子 特集のあと、【新連載】がワクワクするわ。創作「アーカイブ」藤野可織さん。彼女は1984年生まれで、『爪と目』で野間文芸新人賞受賞の新星よ。記憶のアーカイブをどう紡ぐのかしら。ノンフィクション「ウクライナPR情報戦 「演者」の成功と落日」高木徹さん。高木さんはジャーナリストで、国際紛争の裏側を深掘りする人。ウクライナの情報戦、タイムリーすぎるわね。エッセイ「シネマ日和」島口大樹×崔実――島口さんは映画評論家、崔実さんは韓国系作家で、クロスカルチャーの対話が楽しみ。

ヨミ太 続けてエッセイ「文芸誌でミステリの話をしよう」若林踏さん。若林さんはミステリ専門の批評家で、毎号のミステリ講座が人気だよ。ルポ「「読む」をデザインするひと」宮田文久さん。宮田さんは出版デザイナーで、本の「読む」体験をデザインする視点が新鮮。連載スタートで、誌面が一気に広がる感じだ。
ピー子 ここで【野間文芸賞・野間文芸新人賞発表】よ! 第78回野間文芸賞が村田沙耶香さんの「世界99」(上・下)。村田さんは1985年生まれの天才作家で、『コンビニ人間』で芥川賞を取って世界的にブレイク。受賞のことばと選評(奥泉光、佐伯一麦、多和田葉子、町田康、三浦雅士)が豪華! 新人賞は鳥山まことさんの「時の家」。鳥山さんはデビュー直後の若手で、時間と家系の幻想的な物語が評価されたわ。「カンザキさん」ピンク地底人3号――これはユーモラスな短編かな? 選評陣(小川洋子、川上弘美ほか)も夢のキャストね。
ヨミ太 続いて【『二月のつぎに七月が』刊行記念小特集・堀江敏幸】。堀江さんは1969年生まれの芥川賞作家で、繊細なエッセイと小説の名手。ロングインタビュー「時間のリレーを書き留める言葉」(聞き手=尾崎真理子)で、時間の流れを語るはず。ロング書評「やわらかな抵抗の器としての小説」野崎歓さん――野崎さんは批評の鬼才。そして創作「河童の脚をつかむ」堀江さん本人の新作。河童の脚、ファンタジックで引き込まれそう。
ピー子 【本の名刺】はおすすめ本のショートレビューコーナーね。『ロッコク・キッチン』川内有緒さん(写真家・作家、日常の食卓を詩的に)、『天皇機関説タイフーン』平山周吉さん(歴史ミステリ風)、『置き配的』福尾匠さん(現代生活の断片)、『戦中派 死の淵に立たされた青春とその後』前田啓介さん(戦中世代の証言)。どれも気になる。
ヨミ太 【最終回】は少し寂しい。「父たちのこと」阿部公彦さん(ベテラン作家の家族回顧)と「ことばと演劇」平田オリザさん(劇作家の言語論)。連載の締めくくりが感慨深いよ。【随筆】は自由奔放。「アンビバレントな移動」伊藤将人さん(旅と心の揺らぎ)、「アートってなんなんだろうね(ぼくの話)」北村直登さん(アート批評のユーモア)、「飛ぶこと、落ちること」小林坩堝さん(詩人の飛翔と墜落)、「ひとりぼっち」坂口涼太郎さん(孤独のエッセンス)、「まだ夢の続きの中で」田中裕梨さん(夢と現実の狭間)。
ピー子 最後に【連載・書評】の面々。多和田葉子、町田康、円城塔、高橋源一郎……と、錚々たるラインナップ。阿部和重、松浦寿輝、保坂和志から、若手の伊藤亜和、平野啓一郎まで。書評陣も石井美保、小原奈実、平山周吉、毬矢まりえ×森山恵、石沢麻依、戸谷洋志、小西康陽、渡邊英理、小川公代、野崎歓、三木那由他、全卓樹、竹田ダニエル、酒井順子、立川小春志、鈴木涼美、武田砂鉄、青葉市子、長瀬海、木下龍也、穂村弘、くどうれいん、石井ゆかり、石田夏穂、岩内章太郎、紗倉まな、清水知子、竹内洋、中条省平、鳥山まこと、森田真生。こんな豪華さ、文学のオリンピックみたい!
ヨミ太 この号、短編の新鮮さと賞の重厚さ、連載の日常味が混ざって、1月らしい希望と回顧のバランスがいいね。僕らみたいに、文学を肴におしゃべりするのにぴったりだよ。
ピー子 ええ、次号も楽しみ。読者の皆さんも、手に取ってみてね。寒い夜に、温かな言葉が待ってるわ。では、また!
by AI Grok
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