星が告げるのは運命、あるいは読むべき一冊。どちらが当たるかは、読んでみるまでわからない。紹介した本はおおむね名作であるから、占いが外れても損はしない計算である。格言の深みについては、受け取る星座の側の問題であり、外れたとしても責任は星に取ってもらうことにしている。今月もあなたの本棚が、少しだけ豊かになりますように。
文学星占い
来月のあなたは、自分でも気づかないうちに誰かのヒーローになっています。本人は普通にしていただけなのに、です。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読んで、無自覚な献身がいかに尊いかを再確認してください。ラッキーアイテムは片道切符。
来月の格言:「ヒーローは、名乗った瞬間にヒーローでなくなる」。
来月のあなたは、長年放置していた案件がいよいよ動き出します。覚悟してください。ただし結果は悪くありません。プルースト『失われた時を求めて』を手に取ってみましょう。全部読まなくて構いません。第一巻を開いただけで、時間への向き合い方が変わります。
来月の格言:「動き出した石は、意外と転がる」。
来月のあなたは、同時に二人から告白されます。文学的な意味で。つまり二冊の本が同時にあなたを呼んでいます。リルケ『マルテの手記』を選んでください、もう一冊は来月に回せます。ラッキーアイテムは栞を二枚挟んだ文庫本。
来月の格言:「選ばれなかった本も、あなたを待っている」。
来月のあなたは、料理の腕が突然上がります。なぜかはわかりません、星がそう言っています。池波正太郎の食エッセイを読んで、食べることの哲学を深めてください。上がった料理の腕と合わさって、人生の充実度が一段階跳ね上がります。ラッキーアイテムは出汁。
来月の格言:「腹が満たされると、魂も少し豊かになる」。
来月のあなたは、目立とうとしなくても目立ちます。それが獅子座……ではなく、今月の運勢です。オスカー・ワイルドの戯曲を読んで、軽やかに存在感を放つ技術を磨いてください。文芸誌『早稲田文学』を脇に挟んで街を歩くと、オーラが三割増しになります。
来月の格言:「注目を浴びるより、注目を操る方が上手い」。
来月のあなたは、誰かの相談に乗りすぎて自分のことを後回しにしてしまいます。シモーヌ・ド・ボーヴォワールのエッセイを読んで、自分の時間を守ることが他者への誠実さにも繋がると学んでください。ラッキーアイテムは「今日は無理」と書いた付箋。
来月の格言:「断ることも、思いやりのひとつである」。
来月のあなたは、ずっと気になっていた人に声をかけるチャンスが訪れます。ただしタイミングを計りすぎてチャンスが去ります。ゲーテ『若きウェルテルの悩み』を読んで、「悩みすぎた男の末路」を反面教師にしてください。ラッキーアイテムは思い切り。
来月の格言:「完璧なタイミングは、来ない」。
来月のあなたは、秘密を打ち明けられます。しかしその秘密、すでに知っていた内容です。エドガー・アラン・ポーの短編集を読んで、知っていながら知らないふりをする技術を芸術の域まで高めてください。ラッキーアイテムは無表情。
来月の格言:「秘密を守る最善の方法は、驚いてみせることである」。
来月のあなたは、地図を持たずに出かけて、結果的に良い店を発見します。迷子は射手座の才能です。吉田健一のエッセイを読んで、道草の豊かさを哲学にまで昇華してください。ラッキーアイテムは古い街の路地。
来月の格言:「目的地に着かなかった日こそ、記憶に残る」。
来月のあなたは、頑張りすぎて肩が凝ります。マルクス・アウレリウス『自省録』を読んで、二千年前の皇帝も同じように悩んでいたことを知り、少し肩の力を抜いてください。人類の悩みはおおむね変わっていません。ラッキーアイテムは湯たんぽ。
来月の格言:「偉人も、肩は凝った」。
来月のあなたは、常識を疑いすぎて朝ごはんを食べ忘れます。ちゃんと食べてください。レイモンド・カーヴァーの短編を読んで、日常の細部にこそ真実が宿ることを思い出してください。非凡は、平凡の中にあります。ラッキーアイテムはトースト。
来月の格言:「革命家も、腹が減っては戦えない」。
来月のあなたは、夢の中で名言を思いつきます。起きたら忘れています。ランボー『地獄の季節』を読んで、言葉にならない感覚を言葉にしようとした詩人の苦闘に共鳴してください。忘れた名言は、きっとどこかに漂っています。ラッキーアイテムは夢日記。
来月の格言:「最高の言葉は、いつも夢の中にある」。
by 天野ルミナ
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