文学趣味人の占い師、天野ルミナです。この道20年、星が告げるのは運命、あるいは読むべき一冊。どちらが当たるか読んでみるまでわからない。お薦めはおおむね名作であるから、占いが外れても損はしない。どのみち責任は星にある。さあ、準備はいいかな。心を鎮めて、天を仰いで、大きく息を吸ってーお腹から吐いて。来月もあなたの本棚が少しだけ豊かになりますように。
来月のあなたは、じっとしていられない衝動が最高潮に達するでしょう。そんなときは坂口安吾『堕落論』を。「堕ちよ」と背中を押されると、なぜか清々しい気持ちになれます。行動する前に考えるより、考えながら走るのが牡羊座の流儀です。ラッキーアイテムは読みかけのまま鞄に突っ込んだ文庫本。
来月の格言:「堕ちきったところに、意外と地盤がある」。
来月のあなたは、心地よい場所から一歩も動きたくない気分に包まれるでしょう。それで構わない。幸田文『流れる』を手元に置いて、日常の肌触りをじっくり味わってみてください。美しく老いること、丁寧に生きること——牡牛座が一番よく知っています。ラッキースポットは馴染みの喫茶店の窓際。
来月の格言:「動かない日にも、物語は流れている」。
来月のあなたは、二つの案件を同時に抱えてどちらも中途半端になる予感です。それは双子座の仕様です、気にしないでください。泉鏡花の幻想小説を読んで、現実と夢の境界を意図的に曖昧にしてみましょう。中途半端は、感受性の豊かさの別名です。ラッキーカラーは夕暮れの橙。
来月の格言:「二兎を追う者だけが、二倍の景色を見る」。
来月のあなたは、過去の記憶がやけに鮮明に蘇ってくる一ヶ月になりそうです。樋口一葉『たけくらべ』を読むと、過ぎ去ったものへの愛おしさが言葉になります。懐かしむことは後ろ向きではなく、豊かさのひとつです。ラッキーアイテムは昔もらった手紙。
来月の格言:「振り返る者だけが、来た道の美しさを知る」。
来月のあなたは、誰よりも輝きたい欲求がいっそう燃え上がるでしょう。島崎藤村『破戒』を読んで、真正面から立ち向かう覚悟を補充してください。文芸誌『文藝』の最新号を脇に抱えて歩くだけで、知性と気迫が全身から滲み出ます。
来月の格言:「舞台は自分で作るもの、照明も自分で当てるもの」。
来月のあなたは、他人の文章の粗が気になって夜も眠れない一ヶ月になるかもしれません。その才能、ぜひ正しく使ってください。小津夜景のエッセイを読むと、細部への愛が詩になることを教えてくれます。ラッキーアイテムは付箋紙(多めに)。
来月の格言:「完璧を知る者だけが、不完全を許せる」。
来月のあなたは、AとBどちらにしようか悩んでいるうちにCという選択肢が現れて途方に暮れるでしょう。志賀直哉『暗夜行路』を読んで、それでも前に進む主人公を見守ってください。自分のことは棚に上げて、人物に感情移入できるのが天秤座の長所です。
来月の格言:「迷いの数だけ、人は深くなる(ということにしておく)」。
来月のあなたは、誰にも言えない感情を胸の奥で静かに育てているでしょう。松本清張の心理サスペンスを読んで、その昏い情熱に名前をつけてみてください。文芸誌『新潮』の巻末まで読み切ると、運気が底から反転します。ラッキースポットは深夜の台所。
来月の格言:「秘めた炎は、最も長く燃える」。
来月のあなたは、どこか遠くへ行きたい衝動を抑えきれなくなるでしょう。行けるなら行ってください。行けないなら野田知佑の川と旅のエッセイを読んで、紙の上で地平線を越えましょう。ラッキーアイテムは行き先未定の乗車券(比喩でも可)。
来月の格言:「本を開くたびに、人は旅に出ている」。
来月のあなたは、コツコツと積み上げた努力がじわじわと形になってくる予感です。小林秀雄『考えるヒント』を読んで、長い時間軸でものを考える習慣をさらに磨いてください。地味に見えて、実は最も遠くまで行くのが山羊座です。
来月の格言:「頂上への道は、だいたい地味である」。
来月のあなたは、誰も思いつかないアイデアが降ってきて自分でも驚くでしょう。埴谷雄高『死霊』を読んで、その感覚に名前をつけずに泳いでみてください(お隣りの魚座まで)。文芸誌『すばる』の変わり種特集が、あなたの直感に火をつけます。
来月の格言:「常識の外側に、まだ地図のない土地がある」。
来月のあなたは、現実と夢の区別がさらに曖昧になっていくでしょう。それは才能です。ボードレール詩集を読みながら、曖昧なままでいることの豊かさを味わってください。ラッキーアイテムは読んだ内容をすでに忘れた本(再読すると新鮮です)。
来月の格言:「輪郭のない魚ほど、深海まで泳げる」。
by 天野ルミナ
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