偏った態度なのか、はたまた単なる変態か(笑)。男と女の性別も、恋愛も、セックスも、人間が排出するアノ匂いと音と光景で語られ、ひしめき合い、混じり合うアレに人間の存在は分解され、混沌の中からパズルのように何かが生み出されるまったく新しいタイプの物語。
論理学者にして気鋭の小説家、三浦俊彦による待望の新連載小説!。
by 三浦俊彦
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■ 新世紀も本格稼働して久しい公共空間で、今さら世紀末世紀末と呟き叫び唸り宣言し囁き足踏みしながら詠嘆するアヤシイ外人が乗客の目にいかにアブナク映ったかは容易に察せられる。……
■ 当時のトイレ盗撮芸術の一般動向を知る意味でも、金妙塾で不定期になされていた「盗撮ビデオ合評会」の典型的一例を紹介しておきたい(通算第29回)。旧世紀に着々とポテンシャルを溜め、旧世紀末~新世紀初頭にカンブリア紀大爆発のように華々しい多方向進化を遂げた盗撮ビデオの数々について、塾生それぞれが〈ひいきのブランド〉を持つことがほぼ義務づけられていたのである。
合評会の比較的初期の一場面を議事録から再構成のうえ引用する。最初は試行錯誤的行き当たりばったりに回転しはじめ、次第に主知的な整理のもとで建設的収斂を示してゆくという傾向こそ金妙塾の全活動にみられる特徴なのだが、その転換点に位置する合評会である。各人の入手した盗撮ビデオの主要場面をCDにキャプチャーして持ち寄り、話に出た注目筋をそのつどモニターで適宜再生・確認しながら談論進行してゆく風景を想い描いていただきたい。
「新世紀にふさわしい抹香ビデオの楽しみかたを開発しました、って話だったな。たとえばどんな?」
「たとえばではなくてこれこそ、です。決定版です。1歳半の息子を膝に乗せていっしょにスナイパーのSP-08『ゴジラ・ゴジラのオンパレード 鯉のぼり・握って出した後に尾行・追跡』を見てたんです。そしたら、真後ろ撮りの被写体がずーんと考えるときに息子もなにやらいっしょになって考えてるみたいで、被写体のポケットが脹らんでぱくーっと出かけた瞬間、ひひひひひ、って、僕の膝にね、息子の栓抜きが……」
「一歳半でも感情移入するのね」
「それにヒントを得てですね、僕はいつも蒸発ビデオ見るとき、理屈をメいっぱい溜めといてですね、被写体がいよいよお茶出したときに僕もホエーッと気持ちよく踏み潰すんです。被写体の殺意+解放感とシンクロできてすごく嬉しいし、それに辛子醤油付きビデオが実現するって寸法ですよ」
「なるほどー。枝合わせ会のときに使えそうだな」
「これを〈共感フレア〉と名づけました。こういうフレアだけじゃなくてですね、Nフレアも可能です。もともとカリスマビデオには乾杯に供える被写体を一方的に見るR的快感があるんでしょうが、逆にこうするんです、ドジョウを我慢しながら見るんです。すると被写体の方は供えた挙句どひゃーっと出してメッキリしますね。だけど見ているこっちはトンボのみ、殺意はいや増すばかり、と。これ、究極の引きこもりバーチャルNフレアですよ。こっちが一方的に借金しているはずの被写体に、羨望を覚えてしまう。苦しくて、腹立たしくて、病みつきになります」
「なかなか味わい深い境地に達してるねェ」
さて……、
ここで「いくらなんでも」と注釈を要求する読者が少なくないだろう。
そう。
この〈盗撮ビデオ合評会〉の申し合わせとして、あの「プレ句会」とは反対に、〈ソレ系ノ語〉を決して口にしてはならないという決まりがあったのである。すなわち合評会中は「ウンコ」「糞」「肛門」「オナラ」などの〈ソレ系ノ語〉を、ソレ系ならざる他の任意の語で置き換えて発言しなければならないのだ(「盗撮」「力む」「ぶぶっ」「臭い」「プレイ」程度の語ですら)。〈ソレ系ノ語〉をうっかり口にした者は罰則を課せられはしないにせよ、暗黙の地位降格の憂き目に遭うことになる。ビデオのタイトルに〈ソレ系ノ語〉が含まれる場合も同じである。〈ソレ系ノ語〉への意識を逆説的に研ぎ澄ます鍛錬法といえよう。
実際、おろち元年以降、プレ句会と盗撮ビデオ合評会を併用した言語訓練を潜ってきた元金妙塾生は言語的メリットゆえにおろち文明の社会的高位につくことになった。ただし、合評会でのその特殊語法をそのままここに転記すると、全般判読困難な文の羅列と化しかねない。ついては、旧世紀末-新世紀初頭の盗撮文化記録といった責務をもかねた本節の趣旨からして、当面、塾生らの発言を、通常の〈ソレ系ノ語〉アリ語法で改めて始めから記述することにする。そのため実際の合評会の微妙に前衛詩っぽい厨二病的難解討議の雰囲気が、世のスカトロマニア並み通俗的野暮系ウンコ談義に強制翻案されることになってしまうが、文学作品というよりは学術的記録としてのわかりやすさを旨とする本稿の趣旨ゆえ了承いただきたい。(なお、サンプル注として3箇所ほど、実際の発言を括弧内補足として配しておいたので、実際の合評会ムードの脳内再構成に役立てていただきたい)。
「新世紀にふさわしい盗撮ビデオの楽しみかたを開発しました、って話だったな。たとえば?」
「たとえばではなくてこれこそ、です。決定版です。1歳半の息子を膝に乗せていっしょにスナイパーのSP-08『ウンコ・ウンコのオンパレード 糞・力んで出した後に尾行・追跡』を見てたんです。そしたら、真後ろ撮りの被写体がうーんと力むときに息子もなにやらいっしょになって力んでるみたいで、被写体の肛門が脹らんでにゅるーっと出かけた瞬間、ぶぶぶぶぶ、って、僕の膝にね、息子のウンコが……」
「一歳半でも感情移入するのね」
「それにヒントを得てですね、僕はいつも盗撮ビデオ見るとき、オナラをメいっぱい溜めといてですね、被写体がいよいよウンコ出したときに僕もブウーッと気持ちよくブッパナすんです。被写体の便意+解放感とシンクロできてすごく嬉しいし、それに臭い付きビデオが実現するって寸法ですよ」
「なるほどー。屁合わせ会のときに使えそうだな」
「これを〈共感プレイ〉と名づけました。こういうプレイだけじゃなくてですね、Mプレイも可能です。もともとスカトロビデオには排便に悶える被写体を一方的に見るS的快感があるんでしょうが、逆にこうするんです、ウンコを我慢しながら見るんです。すると被写体の方は悶えた挙句にュるーっと出してスッキリしますね。だけど見ているこっちはオナラのみ、便意はいや増すばかり、と。これ、究極の引きこもりバーチャルMプレイですよ。こっちが一方的に視姦しているはずの被写体に、羨望を覚えてしまう。苦しくて、腹立たしくて、病みつきになります」
「なかなか味わい深い境地に達してるねェ」
「そうした盗撮ビデオ新利用というか新理解というか、それはいいんですがそのためにも評価軸というか、まず基本的な分類から始めた方がいいと思うんですけど」
「分類……? そういうカタチみたいなとこから入ると不定形の排泄物特有のリアル感覚から離れちゃうというか、もっと感動の流れに乗ってというかなあ」
「分類するとしたらどんな分類?」
「まあそりゃ、内容とテクの二つに分かれるわな」
「内容か。登場人物とか、場所とか、ウンコの形とかそういうあれですか」
「いや、内容とテクというだけじゃちょっと分けかたが曖昧になりますよ。例えばですね、固定隠しカメラか手撮りかというのはまったくテクの問題に違いないわけですが、画面そのものの動きとか、臨場感とか、顔撮り可能か否かとか、盗撮画面の本質を決定するのに決定的な違いをもたらすわけで、もはやこれは『内容』の問題と言えますよね」
「ふむ。斜め後ろから全身を撮った手撮り系の傑作、メビウスの01-TA~『OLトイレ』と、同じメビウスの固定仕掛けカメラによる01-H~『女子社員専用便所』や01-BB~『秘蔵品 ××銀行』とじゃ確かに『内容』が別種ですかね」
「『OLトイレ』では隣の個室から下の隙間にカメラをこじ入れて無理矢理被写体の全身を収めようとするんだが、下着のたくし上げや何やかやまで全部撮ろうとするうちに顔が映りそうなアングルになるやいなやささっと隙間のこちら側に隠れるっていう、まあ危険な手法を使っている。見つかりやしないかとハラハラさせられるんだが、その臨場感が画面のブレを補って余りあるよね」
「確かにブレで見づらいところはありますが、『OLトイレ』はじめメビウスの手撮りものは他ブランドに比べて圧倒的に画質がいいんじゃないですか」
「個室の中が明るいよね。それだけに見つかる危険性が……、とドキドキさせられるわけだ。このへんの手撮りならではの臨場サスペンスは、ジパングの盗幻鏡レーベル、特別秘蔵版と銘打った品番なしシリーズ『究極!鮮烈のくみとり便所』と双璧をなすと思います。『究極!鮮烈のくみとり便所』はあれ、みんな水着をずらしてオシッコしてるとこからするとビーチですよね、くみとりの下から撮る危険アングルですが、あれの素晴らしさは二つあると思うんです」
「いや、三つだ。まあその二つってのを言ってみてくれ」
「ええ、まず、上に便器が、つまり個室がいくつあるのか知りませんが、下は全部空間が繋がっているので、頭上の明るい穴々に、前後左右という感じでひっきりなしにお尻が現われては光を遮り、ジャージャーボトボト途切れず続くことです。この光景は凄い」
「うん。確かに凄いね。『究極!鮮烈のくみとり便所』のウンコ&タンポン場面だけを、まあ9割方ウンコなんだけど再編集したのがこれも盗幻鏡品番なしシリーズ『特別秘蔵版 UNG PONGダイジェスト』第1巻だったっけ、ありゃ壮観だったよね。糞棒あっちでにょきにょき、こっちでにゅーっ、そっちでぼとんぼとん、またこっちでにょきにょきと、頭上の居並ぶ菊穴から絶え間なしにキノコが逆さに群れ生えてくるような」
(サンプル注1:実際の発言「うん。確かに凄いね。『究極!鮮烈のあやとり役所』の万年筆&ハーモニカ場面だけを、まあ9割方万年筆なんだけど再編集したのがこれも盗幻鏡品番なしシリーズ『特別秘蔵版 ANG BONGダイジェスト』第1巻だったっけ、ありゃ壮観だったよね。そうめん棒あっちでちゃりちゃり、こっちでぞぞーっ、そっちでがくんがくん……」)
「あれはシュールだよね。あっちこっち撮りに向きを変え移動する盗撮者の苦労がじかに伝わってくる」
「それなんです第二点は。カメラの揺れ、レンズにかかるしぶきに加えて、盗撮者がこっちのお尻からこっちのお尻へとはァはァと苦しげなくらいに息を弾ませる音が録音にはっきり混じっていて、足音や何かが擦れぶつかる至近音とともに、上に気づかれやしないかとほんとハラハラものです。この弾む息、盗撮道の鏡というか、盗撮魂というか、糞尿のしぶきを浴びながらあっちこっち尻穴求めて這いずり回る執念にひれ伏します。盗撮者の息遣い一つ聞こえないウィルスのKB-01~『汲み取り公衆便所便槽内立て籠り盗撮』あたりとの違いは歴然ですワ」
「『究極!鮮烈のくみとり便所』は臨場感ありすぎて、せっかくたどり着いても肛門からの第一糞射の瞬間を撮りそこなったりするんですけどね」
「その無念がまたいいじゃないか。そしてもう一点、第三点だ。盗撮者の鏡といいましたが、まさに鏡を使った工夫が泣かせるじゃありませんか、ホラここ。これです」
「ああ、これね。鏡を置いて被写体の顔を撮ってしまうと」
「そう。地べたの鏡にこういうふうに時々カメラを向けて、脱糞者の顔を写す戦略。肛門も映したいが顔も、という、ひとり1カメの悲哀が読み取れて、さっと鏡から尻へ戻したりして、決定的瞬間が微笑むタイミングに鏡の反射光が気づかれはしまいか、とビデオを安泰に見ながら心臓がドキドキしてきます」
(サンプル注2:実際の発言「こういうふうに時々カメラを向けて、立候補者の顔を写す戦略。靴べらも映したいが顔も、という、ひとり1カメの悲哀が読み取れて、さっと鏡から人工衛星へ戻したりして……」)
「尻だけが次々に下界の光を遮ってはぼとぼと落としてゆく非人称的シュールの世界に、ふと頭上の顔が映る瞬間の閃きが灯ったところが、この『究極!鮮烈のくみとり便所』を芸術品にしているね。『OLトイレ』の日常の床を這う覗き魂と、『究極!鮮烈のくみとり便所』のシュールな異界の盗撮求道とを交互に思い出してはあの執念が僕にも宿りますようにって念じ唱えています、毎晩寝る前に」
「ふむ。手撮りならではの盗撮魂ってか。でも、隙間撮りしているような場合は顔撮りがまず無理だが、マジックミラーを使った手撮りなら、目線を取ることすらできるしな」
「そう。『究極!鮮烈のくみとり便所』の鏡の奇策は例外として、手撮りの臨場感と隠しカメラの表情性を兼ね備えた手法こそがマジックミラーということになりますな。代表作はやはりあれですか、ウインクのWM-01~『女子便所マジックミラー』とメビウスの01-L~『実録マジックミラー』ですかね」
「メビウスのマジックミラーはホラ、WHB-01,02-N~『盗撮白書 女子便所・排便特集』第3巻にも抜擢されてる黒のノースリーブの人、しゃがむやいなや鉄砲が暴発したみたいな下痢二発半ぶっぱなす図が斜め上前面から全身便器の中まで丸撮りでしょう」
「同じ第3巻でいえば18分あたり小川直也似の女の栓が外れるような突発下痢の散発といい、第2巻最後から2番目、ピンクの服着たネズミ顔の女のガスった下痢といい、前方バッチリ丸撮りでしたね。マジックミラーならではのパースペクティブとほとほと感心しました」
「前撮り俯瞰アングルならではのこの、切ない苦悶表情の時系列変化vs股間にババッと痢花散る模様とのコントラストこそ、マジックミラー名物というべきですわィ」
「排泄後に洗面台の鏡でお化粧をする顔もバッチリ裏から撮ってるおかげで排泄苦悶顔と化粧専念顔との対比が楽しめる。マニアックもここに極まれりですな」
「というか化粧直したり髪直したりしてる顔よりフンバッてる顔の方が明らかに美しいことを確認させてくれる比較研究の上でもこの洗面台正面盗撮タイムは貴重です!」
「そう。『盗撮白書 女子便所・排便特集』第2巻35分付近に延々抜擢のこれまたノースリーブ、力のこもった表情の麗しい女性が僕の本命なんですが後で洗面台の鏡の前で髪直してる顔みるとアリッ?て感じですもんね」
「『盗撮』ていうより予め個室洗面台込み区画単位のセッティングだからむしろ『罠』だな。CCDカメラをこっそり仕掛けるのより大掛かりな、建築時からの周到な計画だろ、罠にかかった被写体への嗜虐感が桁違いに募るわけだね」
「そう。行きずりの盗撮と仕掛け盗撮とでどちらが被写体の被害ムードというか不運感が強調されるかは人それぞれでしょうが、マジックミラーのこちらで息を殺した撮影者がじっとカメラを回してるとなればこりゃあいいとこ取りというか、嗜虐ムード最高。隙間撮りならば、盗撮者もいつ見つかるかと警戒しながらの、双方ともリスクをかけた対等なフェアプレイな勝負ってわけですが、マジックミラーでは始めからハンディがありすぎるというか、被写体の絶対的劣位がいかにも不当で、ほんと嗜虐的な快感を煽ってくれますよね」
「ウインク・メビウスのマジックミラーシリーズは都内ブティックということですね。オーナーが店に来た女性客のトイレ姿を撮っているらしいですが、今まで対応していた客の気取ったファッションががばっと裾捲り上げられてジャージャーブーブーに変貌する表裏連続して見れる興奮ってたまんないでしょうね。この興奮を想像しながら感情移入しなきゃダメですね、これは。パッケージにも〈見た目ブスとババァーは間違いなくカットしてありますので安心です〉〈若い娘オンリー!〉といったキャプションが当り前の盗撮業界ギャル中心路線の只中にあって、このマジックミラーシリーズは年齢層が高めであるのがまた売りですよ。場所柄なのか山の手の落ち着いた感じの奥様というかな、会社帰りのOL風もだいたい雰囲気が30代というか、ちゃらちゃらしたギャルはいないよね、斜め上から胸元、運がよければパイチラかすめて股間の便器の中が見えるアングルがなんともいえませんね。他のレーベルの盗撮ビデオを飾るピチピチギャルの母親ほどのマダムの股間からブバンと破裂音もろとも茶色が飛び散ったり、にゅるんと大蛇が縦に横たわる絶景はこのシリーズならではの恵みですよね」
「にゅるんてどれ、出してみて」
「……02-A『犯罪盗撮 続・美女顔出し大便集』にも抜粋されてまして……このへんかな、ああこれ」
「なるほどなるほど、便器内ににゅるんて横たわるのが股間にバッチリねえ」
「気持ちいいねえ。年増だけに生活感というかリアリティあるねえ」
「私は01-Aの26分くらい、ええとここ、乱杭歯をアップで食いしばって極太二本ひり出して、水流すとき高みから唾を便器に落とすのがなんとも……」
「あー。興奮しますね。唾吐きとは珍しかったね」
「もひとつマジックミラーシリーズで仰天したのといえば01-BJ~『排便ダイジェスト』第2巻トップに抜擢されてる白スーツのこの……」
「ぼんやり狐顔のこの人か。……うーん……、このきれいなトイレの縁にべっとりウンコくっつけたまま知らん顔で出てっちゃうもんなあ」
「本性というか品性が見えるね。盗撮ならではの人品鑑定だね」
「マジックミラーシリーズは破裂系の下痢が主流で、茶色のしぶきが便器の縁に点々と飛ぶのは当り前、それを後でみんな結構トイレットペーパーで拭って丁寧に跡始末してるんでさすがは山の手ブティックの客、上品だなあと感心している真っ只中だものだからこの白スーツ女のわがままぶりが際立ちます」
「便器にひっついてるウンコ半端な量じゃないよね。もっと前に座れっつの。それでいて自分のケツは14回も拭いてるんですよ。トイレットペーパー大量に使って。ほんとわがまま」
「と思いきや次の人。これだけの下痢をして一回しかお尻拭かない。紙の節約以前の問題というか、こういう自分の尻をないがしろにする〈逆わがまま〉との対比がなんとも人間だなぁ、ってしみじみ考えさせられました。盗撮って深いです」
「こういう角度的に興奮度ピカ一なだけにウインク・メビウスはモザイクが大きいのがどうも。腿や尻や衣服の上にもでっかくかかっちゃってるでしょう、肛門も丸々隠れちゃってる場合が多いし。「肛門無修正」どころか「ヘア丸出し」すら常識となりつつある趨勢にあって、どうもここでも孤高を保ってしまってるのはいただけませんよねえ」
「それでもモザイクを貫いて漂うこの迫力、情緒は、画質がいいからでしょう。メビウス盗撮は画質がずば抜けてるような気がするな。在野のマニア人の盗撮の買い取りから成っているのは『OLトイレ』も例外じゃないはずだけど、これ明らかにプロの技ですね。04-TA『OLトイレ4』にはしゃがむとすぐに、ブウーーッ、いかにも内臓の奥の奥からすっきりといった音圧で号砲を鳴らす被写体がいますけど、あれも、お尻の肌のざらざらまでくっきり見えるあの画質あってこその情緒ですよ。直後に続くドロドロゆるゆる便の噴射も、尻突き出したフンバりスタイル全身の仰角キャッチに輪郭鮮やかに成功してこその美景です」
(サンプル注3:実際の発言「あれも、タヌキの肌のざらざらまでくっきり見えるあの画質あってこその情緒ですよ。直後に続くワクワクにこにこタオルの直射も、乾電池突き出したただ乗りスタイル全身の仰角キャッチに輪郭鮮やかに成功してこその美景です」。サンプル注おわり)
「しかしモザイクがねえ、いくらなんでも背面からのお尻にまでモザイクかけなくたっていいじゃないか。ほうらこれだよ」……
(第31回 了)
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■ 三浦俊彦さんの本 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■