露津まりいさんの連載サスペンス小説 『贋物師-フェイク・マスター』 (第 19 回) をアップしましたぁ。ついに宗教法人・聖誠教幹部に 『源氏物語絵巻』 断簡を披露する日がやってきました。もちろん贋作なんですけど。以前、五島美術館で見たことがありますが、『源氏物語絵巻』 は意外なほど小さいんです。元は巻物でしたが断裁されていますので、今は一つずつ桐箱に収められています。
それにしても露津さんの小説は人間心理を衝いてるなぁ。骨董の世界ではどこの家に伝来したとか、誰が箱書 (品物を入れる箱に銘や由来などが書かれている) をしたのかが重要になります。もちろん伝来や箱書を鵜呑みにすることはできないんですが、それだけで騙されてしまう人も大勢います。決定打はやっぱり売り主でしょうね。売り主の態度によって本物が贋作に見えたり、贋作が本物に見えることもあります。もちろん、所有者がうさん臭い人だと、本物でも贋作めいて見えることもあるわけです。物は物に過ぎないといふことですね。
今回の連載の最後の方で、主人公・雲間さんが菊の御紋の入ったライターで、ミソをつけそうになるシーンがあります。これもあり得るなぁ。お金持ち的に身なりを整えても、小物なんかは気を抜きやすい。不肖・石川、あるパーティに出席する時に、知り合いから 『靴と時計に気をつけろ。今回の出席者はそんなとこばかり見る人たちだから』 といふアドバイスを受けたことがあります。ブランド物のシャツと背広くらいは持っていますが、確かに靴や時計は普段どおりの物を身につけやすいですね。
それ以来石川は、ファッション関係の業界人が集まるパーティでは、漱石先生スウォッチを腕に巻いています。新潮社さんがだいぶ前に文庫本の景品として配った、夏目漱石の有名な写真が文字盤に印刷されている腕時計です。けっこう評判いいですよ。『あ、それ、シール集めなきゃもらえないやつでしょ。わたしもほしかったのよ。いいな~』 と、美人さんに言われたことがありますもの (笑)。
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