小原眞紀子さんの連載 『源氏物語』 論 『文学とセクシュアリティ 第012回』 をアップしましたぁ。『蓬生』 と 『関屋』 の巻を取り上げておられます。今回から 〝テキスト曲線〟 に加えて 〝媒介変数〟 が加わりましたね。文学は図や数式とは無縁に思われていますが、そんなことはありません。概念を図や数式で表現した方が遙かにわかりやすい場合があります。万が一数学が苦手な方は、すっ飛ばしても問題ないと思いますのでご安心くださいませませ。
そんで小原さんは、光源氏を 『女たちの下僕そのもの』 と捉えておられますが、これは正しいだろうなぁ。あ、文字通りの意味で 『下僕』 とおっしゃっているわけではもちろんありませんよ。詳しくはコンテンツをお読みいただければと思いますが、光は女性たちの物語を引き立たせるための媒介 (メディウム) だと思います。
すべての古典は多面的で、時代や読者によって違う表情を見せるものです。光って見える部分が違うわけですね。でも 『源氏物語』 は紫式部という宮中女性によって書かれた作品です。光の女性遍歴を語るのが物語の主題であるわけがない。『源氏』 からしばらく遠ざかっていると、ふと心に浮かぶのは女性たちの姿です。光は近くて遠い存在ですが、女性の登場人物たちは、ある肉体的な艶めかしさをもって迫ってくることがあります。
■ 小原眞紀子 連載 『源氏物語』 論 『文学とセクシュアリティ 第012回』 ■