第20回 金魚屋新人賞(辻原登奨励小説賞・文学金魚奨励賞)を以下の通り発表します。

■ 辻原登奨励小説賞受賞 ■
菅原美架「読書室~あるいは自己愛の解剖室」(小説)
【総評-辻原登】


* 金魚屋新人賞関連情報は「編集後記」にも随時掲載されます。
■ 辻原登奨励小説賞受賞 ■
菅原美架「読書室~あるいは自己愛の解剖室」

【受賞の言葉】
空が暮れかかる刹那の時間を感じたくて、いつもその頃に散歩に出かけています。夕闇が街をゆっくりと包み込んでいく気配、雨上がりの草の匂い、昨日とは違う風のそよぎ。街を行きかう人々の思いやカフェの窓越しから漏れる喧騒や音楽のリズム。何気ない景色にふっと目が留まったり、心を動かされたり、胸の奥から何かが込み上げてきたりする一瞬を、とてもいとおしく感じます。
世界はこういう「一見意味のない、けれど忘れがたい瞬間」で満ちているものです。日常のあちこちに散らばるいくつもの小さなかけらの中から、誰にも気づかれないような何かをすくい上げて、そっと目につく場所へ置くこと。私はそのために小説を書いているのだと、いつも実感しています。
特別なものを取り上げて声高に叫ぶのではなく、ただそこにひっそりと佇む街の灯りのように。読んだ人の心に確かな感触として残り続ける言葉を、これからもひとつずつ丁寧に重ねていきたいと思っています。
菅原美架
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