大野露井さんの新連載小説『新故郷』(第01回)をアップしましたぁ。『故郷-エル・ポアル-』→『故郷-エル・ポアル-』注→『新故郷』と〝エル・ポアル〟を巡る作品は変化しながら続いているわけですが、ここに来てようやく大野さんの作家としての目鼻がついてきたような気がしますな。〝エル・ポアル〟は大野さんの自伝的小説ですが、これを書き尽くさないとこの作家は前に進めないようです。こういう作家の欲望はアリですね。
また大野さんには明らかに前時代的な文学趣味がありますが、それを徹底しないと深まることも、そこから抜け出したり、それ以外の方向に進むこともできないでしょうね。今は過渡期でポスト・モダン的な文学(文化)のあり方を探る作家がいる一方、旧時代の20世紀的文学神話を探り、あえてそこで生きようとしている作家もいます。
文学金魚はもちろん21世紀的なフラグシップ・メディアを目指しているわけですから、新たな文学の創出は必須と考えます。ただ個々の文学作品の質だけから言えばどっちゃでもよろし。要は人が、読者が、作家仲間が呆れるくらいの没入があれば作品は力を持ちます。どんな主題でも表面を撫でるような作品ではダメということ。文学に正解はありませんが、作家はなにかに徹底しなければいけません。
現代人はみーんな忙しい。文学に関わっているとそこが世界に思えてしまいますが、もちろん世界の一部に過ぎません。文学関係者は、ネットも見なきゃならない、音楽も聴かなきゃ、ゲームの時間も欲しいし、ネットTVで流行のコンテンツも見なきゃと思っているような人が本を買って読んでくれることを漠然と期待している。でも漠然と本が読まれて売れるくらいなら世話はないですよね(笑)。
忙しい現代人で、ちょっとは文学に興味はあるけど、どーしても読みたい、読まなきゃならない本以外は読まないという人たちの興味をどう惹き付けるのか。なんらかの形で〝こりゃすげぇな〟と人に思わせるような没入がなければ、読む動機を獲得することはできないでしょうね。
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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■ 予測できない天災に備えておきませうね ■