【連載開始に際して】
文学金魚で『金魚詩壇』というメニューを新設することになり、管理・編集人の石川良策さんの要望で詩を連載することになりました。短めの抒情詩をおおむね月一回、一、二篇ずつ連載していきたいと思います。
僕は一九八〇年代に自由詩に親しみ始め、田村隆一、鮎川信夫、吉本隆明らの戦後詩、入沢康夫、岩成達也らの現代詩から大きな影響を受けました。また晩年の吉岡実に私淑して、詩人という文学者の在り方を、ほとんど肉体的刻印といっていい深さで感受しました。
ただ僕は八〇年代当時から、詩についてさまざまな疑問を抱いてきました。その一つが詩人の〝不自由さ〟です。詩は形式的にも内容的にもまったく制約のない表現ジャンルです。そのため詩人たちは、無限の自由を狭める形で詩人個々の〝形式〟を作り上げてきました。そして一度自己の形式を確立すると、ほぼすべての詩人が晩年に至るまで、その形式に沿って窮屈そうに作品を書き続けるのです。それは詩本来の〝自由〟と矛盾します。
二十世紀の半ば過ぎに生まれた詩人の倫理として、僕は戦後詩や現代詩の成果を真正面から受け継ぎたいと思います。また一方で、詩本来の〝自由さ〟を奪還したいと考えています。連載抒情詩『羽沢』はそのための手始めの試みです。
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■ 予測できない天災に備えておきませうね ■