総合文学ウェブ情報誌 文学金魚

私達の故郷は日本語です。金魚屋プレス日本版は、日本語で書かれるあらゆる文学の方向を見極め、私達の精神の行く末を照らす光りを見出そうとするものです。 金魚屋プレス日本版はその光りのすべてを広義の文学と呼びます。

金魚屋プレス日本版代表 齋藤都

ラモーナ・ツァラヌ『交差する物語』
『交差する物語』について

『交差する物語』について

     私は舞台芸術、特に日本の伝統芸能である能楽を研究しています。この分野を選んだのは、人が夢見て、想像して、創造するものに興味を持っているからです。伝統芸能でも、現代演劇でも、人の夢が形となって […]
No.027 私たちの中に眠る飛翔の夢

No.027 私たちの中に眠る飛翔の夢

     20世紀の美術を代表する彫刻家の一人であるコンスタンティン・ブランクーシの生誕から、今年でちょうど140年になる。彼は1876年2月19日にルーマニアのゴルジュ県にあるホビツァという村で生ま […]
No.026 教会と反抗期

No.026 教会と反抗期

東京復活大聖堂(ニコライ堂)      年末年始はキリスト教ではいくつかの大事な祭日が連続する。まずはクリスマス(キリストの誕生を祝う日)があり、25日から27日の三日間教会では礼拝が行われている。次 […]
No.025 平和に暮らすこと

No.025 平和に暮らすこと

     この間ひょんなことをきっかけにちょっと不思議な悟りの瞬間を体験した。文京シビックホールでコンサートを見に行ったある日の昼頃だった。開演20分前に会場に着き、昼ご飯を食べる時間がないが、コーヒ […]
No.024 松浦(下)

No.024 松浦(下)

     鳥居を通り抜けて道路に沿って登山をはじめてから間もなく、雨が降り出した。山登りには妨げにならない穏やかな霧雨だった。リュックの中から折りたたみ傘を出して傘をさしながら歩き続けた。スマフォの地 […]
No.023 松浦(中)

No.023 松浦(中)

     福岡空港への便は朝6時頃出発予定だったので、終電で夜中に成田まで行き、出発までの4、5時間を空港で過ごすことにした。唐津までどうやって行けばいいか調べてみると、国内線が便利だと分かった。成田 […]
No.022 松浦(上)

No.022 松浦(上)

     能〈松浦〉の研究を始めてからちょうど1年間になる。ゼミの参加者はそれぞれ一つの能作品を選んで、上演の歴史から詞章の変遷まで、色々な視点から作品について研究報告をすることになった。私は思い切っ […]
No.021 Atlantykron

No.021 Atlantykron

©Bogdan Banarescu      毎年7月後半になると、国の友達から連絡が来る。「島に来ないか?」という連絡。「島」はルーマニアの南東にあるチェルナヴォダという町から20キロくらい離れた、 […]
No.020 花の名前

No.020 花の名前

     スチャヴァ県の田舎を走る各駅停車の車窓から、遠く彼方に並ぶ、山と山の麓まで広がる緑の野原が見える。外の眩しい景色に見とれて、わぁ~いと声を出してはしゃぐ4歳ぐらいの私は、一人の兵士の膝の上に […]
No.019 懐かしい影に魅せられて

No.019 懐かしい影に魅せられて

     この間J・R・R トールキンの『指輪物語』のことを思い出した。映画『ロード・オブ・ザ・リング』の基になった、架空の世界「中つ国」を舞台としているあの物語である。映画化されてから世界中で一気に […]
No.018 ショウブの季節

No.018 ショウブの季節

     花を相手にする時、頭の中の言葉のざわめきが落ち着く。花は一言も発声しないのに、とてもたくさんのことを教えてくれる。生け花は、手元に来る花一本一本の話を聞くようにするところから始まる。人(ヒト […]
No.017 神様の居場所

No.017 神様の居場所

© Karina Botis      この間はイースターの日だった。春の訪れとともにキリストの復活を祝うこの日は、キリスト教徒にとってはもっとも大事な祭日で、教会にめったに行かない人もイースターは守 […]
No.016 写真に、愛を試される瞬間

No.016 写真に、愛を試される瞬間

     荒木経惟の写真に出会ったのは大学3年生の頃だった。大学の近くに新しく出来た本屋には、日本文化関連の本として前から馴染んでいた岡倉天心の『茶の本』、鈴木大拙の『禅』やルーマニア人作家による日本 […]
No.015 ヨーロッパの女がズボンをはいている訳

No.015 ヨーロッパの女がズボンをはいている訳

     3月8日は国際女性の日で、ルーマニアでもこの日とその前の立春の日(3月1日)には女性がプレゼントをもらう。日本ではひな祭りもホワイトデーも3月にあり、春の季節が始まる今月はなぜか女性がちやほ […]
No.014 ヨーロッパという名の幻想

No.014 ヨーロッパという名の幻想

     日常的な周りの人との会話で、日本人が抱くヨーロッパのイメージと自分の持っているヨーロッパのイメージの間に、かなりのズレがあることに気付かされる。この間知り合いに実家から届いたチョコレートをプ […]
No.013 咲

No.013 咲

     ルーマニア語に”haz de necaz”(ハズ・デ・ネカズ)という言葉がある。大変な時にこそ笑うという意味なのだ。困った時、ひどい目に合った時、本当は泣きたい時など […]
No.012 人生を変えるような出会い(下)

No.012 人生を変えるような出会い(下)

     大学2年生から日本文学の勉強をはじめた。既に一年間、日本語の勉強をしていたが、さすがにまだ原文で古典を読むことはできなかった。『源氏物語』の最初の九帖はルーマニア語に翻訳されているが、それ以 […]
No.011 人生を変えるような出会い(上)

No.011 人生を変えるような出会い(上)

     能楽に出会ったのは高校の時だった。その頃、演劇に興味を持つようになり、学校の先生が行っていたEnglish Dramaという授業に通い始めた。この授業のコンセプトは、英語を使って文化祭で上演 […]
No.010 心への窓

No.010 心への窓

     前回はクリスマス関連で少し東欧のキリスト教の話をした。実は東欧の国々だけではなく、ヨーロッパ全体について何かを語ろうとすると、ある段階から必ず宗教の話に入らざるを得ない。あまり認められていな […]
No.009 クリスマスの日

No.009 クリスマスの日

     この前、しばらく連絡を取っていない地元の友達からメールが来て、クリスマスの次の日に共通の友人達の集まりがあるので、参加しないかと誘われた。クリスマスの時には帰省するのが当たり前なので、わたし […]
No.008 二つの世界を結びつける音楽-『故郷のバラード』

No.008 二つの世界を結びつける音楽-『故郷のバラード』

     髙樹のぶ子著『百年の預言』という小説をご存知の方もいらっしゃるかと思う。25年前の東欧における政治的革命を背景にした二人の男女の恋愛物語で、ルーマニアの作曲家チプリアン・ポルムベスクが作った […]
No.007 故郷とそこから見える風景(下)

No.007 故郷とそこから見える風景(下)

     学校と家が生活の軸になっていて、子供がそれ以外のことを何も知らずに過ごしてしまうのは、多分どこでもよくあることだと思う。高校2年ぐらいまでは、自分の生まれ育った町を詳しく知っていたとは言えな […]
No.006 故郷とそこから見える風景(上)

No.006 故郷とそこから見える風景(上)

     海の景色を目の前にして育った人は何を考えているだろうか、ずっと知りたかった。空と海の境界線が曖昧になって無限になるその風景は、地平線がはっきりしている風景しか見ていない人を少し不安にさせる性 […]
No.005 森の向こうの国

No.005 森の向こうの国

     そろそろ正体を現してもいい頃だと思う。私は実はドラキュラの末裔で、実年齢は300歳ぐらいである。(200歳を過ぎたあたりから正確に数えるのをやめた。)300年前のある日、畑仕事をしている間に […]
No.004 ブカレストという時間の渦(下)

No.004 ブカレストという時間の渦(下)

     大学2年から住み始めたのは、ブカレストの東にあるアヴリグ横丁のあたりだった。ブカレストには6区があり、今回の家は第2区の区役所の近くにあった。緑が多くて、割と静かな場所だった。そこで同じ大学 […]
No.003 ブカレストという時間の渦(中)

No.003 ブカレストという時間の渦(中)

     高校の頃、けっこう早い段階からブカレストの大学に進学すると決めていた。大学で何を勉強したいかは未だによく分からなかったのだが、場所だけは決まっていた。ブカレストのことをもっと知りたいという気 […]
No.002 ブカレストという時間の渦(上)

No.002 ブカレストという時間の渦(上)

     私はルーマニアの北にあるスチャヴァ市に生まれ育った。スチャヴァから首都のブカレストまでの旅は、車でも、電車でも7時間ぐらいかかる。    ブカレストは私が大学時代を過ごした町で、思 […]
No.001 変わり続けるルーマニアの変わらないもの

No.001 変わり続けるルーマニアの変わらないもの

© Karina Botis      自国ルーマニアの話をどこから始めればいいか、長らく戸惑った。ルーマニアの社会は実は、非常に速いペースで変わり続けるのであって、国の現在の様子は把握しにくい。日本 […]
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