大野露井さんの『故郷-エル・ポアル-』注(第01回)をアップしましたぁ。大野さんの自伝的小説『故郷-エル・ポアル-』は第1回金魚屋新人賞受賞作ですが、今月からその〝注〟の連載を始めます。作家自身による自伝的小説の自注ということになります。このような試みは皆無ではありませんが珍しいと思います。またそれは『故郷-エル・ポアル-』という小説が一種未完の小説であることを示唆しています。
どうしても書きたいこと、表現したいことがあるのが純文学作家の必須要件だと以前書いたことがあります。この必須要件を原理的に捉えれば、多作である必要はありません。プルーストはほぼ『失われた時を求めて』一作しかまともな小説を書いていないのです。本当にそれだけが書きたいのなら、純文学作家は生涯一作だけでもよい。大野さんがこれからどのように小説家として活動されてゆくのかは石川にもわかりませんが、様々な形で『故郷-エル・ポアル-』だけを書き続けてももちろんいいわけです。
いずれにせよ今回の『故郷-エル・ポアル-』注を踏まえて、実際の刊行は少し先になると思いますが、大野さんの単行本の骨格が決まってゆくと思います。金魚屋に限らずどの出版社でも、どの本が出版されどの本が出版されないのかは端で見ているとわかりにくいと思います。石川は説明できますが説明しません。ただ金魚屋のように新人作家ばかり出版するメディアの場合、本を出す〝時期が来ている〟作家を順次刊行してゆくことになります。早すぎても後が続かない。また本一冊で何かが決定的に変わることは稀です。その後の道をどう切り拓いてゆくのかは、結局のところ作家次第です。
■ 大野露井『故郷-エル・ポアル-』注(第01回)(縦書)版 ■
■ 大野露井『故郷-エル・ポアル-』注(第01回)(横書)版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■