連載翻訳小説 e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(第04回)をアップしました。クーマングスさん、拘留されてしまひましたね。自ら望んだわけで、これも偏屈な詩人の意地ですが。

 

 俺の荷物は刑務所の事務室で長官殿の入念な点検を受けた。長官殿に言われてひとつ残らず上下裏表をひっくり返した。巨大な薬莢に長官殿が驚いて目を瞠った。どこで手に入れた? ――フランス軍の兵士が形見にってくれたんですと言った。(中略)このたくさんのスケッチブックは、なにを描いている? ――長官殿、かんべんしてくださいよ、絵じゃないですか。――要塞のか? ――まさか。フランス兵とか、子供達とか、いろいろの廃墟とかです。 ――うぅむ。(中略)長官殿は(中略)そこに次のラベルを付ける(フランス語だ) 「カミングズ氏の荷物中に発見され本件には無用と見られる品々」。

(e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』)

 

こういった箇所を読むと、カミングスがこの小説を楽しんで書いていることがよくわかります。『伽藍』という小説は〝本件には無用と見られる〟事柄を書いた作品です。もちろんじゃあ〝本件とは何か?〟が小説のテーマになっています。

 

詩人のイメージは「崇高な観念を抱えた人」から「生活力のないロクデナシ」まで現実世界の上下を行ったり来たりしますが、どちらにせよ一般的規範を外れる創作者というイメージがつきまといます。でもポーズでそんなことやってもすぐ化けの皮が剥がれる。カミングスさん、まぢ偏屈です(爆)。剣呑で孤独ですが、強い精神力と創作者としての高い能力があったからこそ、平然と、彼にとっては愚劣な社会に背を向けていられたのです。

 

 

連載翻訳小説 e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(第04回) 縦書版 ■

 

連載翻訳小説 e.e.カミングス著/星隆弘訳 『伽藍』(第04回) 横書版 ■

 

 

第05金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

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