連載リレーエッセイ〝あなたが泣けるもの〟鶴山裕司『No.004 あなたが泣けるもの4』をアップしましたぁ。ぽんぽん話が飛びながら、まとまっているやうなまとまっていないやうな、やっぱりちゃんとまとまっているエッセイらしいエッセイです。漱石さんの『三四郎』についてちょっと書いておられます。

 

 引用は、今は三四郎池と呼ばれている東大の中の池のほとりで、三四郎がヒロイン・美禰子(みねこ)と初めて出会うシーンである。白い花の匂いをフンフンかぎながら歩いてきて、三四郎をじろっと見て花を落としてゆくことからわかるように、美禰子ちゃん、かなり思わせぶりである。当時のことだから積極的に三四郎にモーションをかけることはないが、明らかに彼に自分の存在を意識させて気を惹いている。

 ただまあ、そんな美禰子ちゃんにまんまと乗せられて、ハヒハヒ言いながら走っていって、花を拾ってしまうところが身につまされる。男の子だなぁとしみじみ思う。中学生くらいの時に、好きな女の子の前でカッコイイところを見せようと、生け垣を跳び越えようとして思いきり木に足を取られ、すっ転んで爆笑された思い出なんかが甦ってくる。カッコ悪い。でも「たゞ(だ)何だか矛盾であつた」としか表現しようのない男の子の直情である。漱石先生にはほかにも恋愛小説があるが、三四郎と美禰子の出会いほど新鮮なシーンはない。

(鶴山裕司『あなたが泣けるもの4』)

 

エッセイは簡単なようで難しい。小説は書けてもエッセイはダメという作家はたくさんいます。物語を作る方が難しいように思うのですが、そうでもないんですね。ただエッセイばっかり書いていると、小説などの長い作品では息切れしてしまうやうなところがあるから難しい。ただ何事にもコツはあると思います。エッセイは迷ったらアウトですね。流れに沿ってスラリと書き抜ける。じっくりお楽しみください。

 

 

連載リレーエッセイ〝あなたが泣けるもの〟鶴山裕司『No.004 あなたが泣けるもの4縦書版 ■

 

連載リレーエッセイ〝あなたが泣けるもの〟鶴山裕司『No.004 あなたが泣けるもの4横書版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

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