大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『No.100 文學界 2016年05月号』をアップしましたぁ。第121回文學界新人賞発表号で、砂川文次さんと渡辺勝也さんが受賞されました。おめでとうございます。新人は文学の世界の宝です。優れた作家が一人でも多く登場してほしいですね。とは言うものの、先はうんと長いです。

 

 ただあらゆる作家は、他者が書いた作品にはどうしても満足できないから自ら作品を書き始める。新人賞という形で評価された作品を読めば、新人でもベテランでも得るところはあるだろう。砂川氏と渡辺氏の受賞作は技法的にはまとまっているが、まだ作家独自と呼べるような強さは感じられない。しかし新人賞を受賞して第一関門は突破なさったわけだ。つまり編集部に原稿を持ち込めば、編集者が必ず読んでくれるという特権を得たのである。

 新人賞受賞で得られる報酬は、本質的には社会的栄誉でも金銭でもなく、広く社会に作品の存在価値を試すことができるきっかけを掴んだということである。雑誌編集部以上の社会的評価を得なければ、毎年誰かに与えられている新人賞の栄誉などすぐに忘れられてしまう。次の関門は二作目、三作目を掲載することであり、その先には単行本を出してある程度の売上実績を積むという関門が待っている。どの関門も軽々と超えていっていただきたい。

(大篠夏彦)

 

ちょっと厳しいですが、大篠さんが書いておられるとおりです。新人賞受賞はおめでたく、喜んでいいことですが、もらってしまえば『なんだ、こんなものだったのか』といったくらいの冷静さを取り戻すのが力のある新人の姿だと思います。

 

文学金魚新人賞選考委員長の辻原登先生は、『新人は絶対甘やかすな、いい気にさせるな』と口を酸っぱくして言っておわれますが、多分ご自身のちょっとほろ苦い経験と、選考する側として多くの新人賞受賞者を見てこられた経験がそう言わせるのだと思います。

 

『作品を書いて、発表して、出版する』、このサイクルを可能な限りストレスなく軌道に乗せるのが作家の理想追求というものです。それ以外の活動は基本的には作家の余技です。もちろんかなり難しい。たいていの作家は激しく苦しみます。でもどんな仕事でも、見失ってはならない軸はあるのです。

 

 

大篠夏彦 文芸誌時評 『No.100 文學界 2016年05月号』 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

第04回募集要項_cover_01

 

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